(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2005-143294(P2005-143294A)
(43)【公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
(54)【発明の名称】若い男性の人格形成の方法
(51)【国際特許分類第7版】
   0000  0/00    
【FI】
   0000  0/00         
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【公開請求】
【全頁数】94
(21)【出願番号】特願2005-29878(P2005-29878)
(22)【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
(71)【出願人】
【識別番号】304033502
【氏名又は名称】廣瀬 行博
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区生麦四丁目6番15-416号
(72)【発明者】
【氏名】廣 瀬 行 博
【住所又は居所】神奈川県横浜市鶴見区生麦四丁目6番15-416号



(57)【要約】
【課題】男性の人格形成において、特に、社会的正義感を醸成し、犯罪の少ない世の中とし、また、ニート、フリーターといった層が増大するのを、いくらかでも防止し、ひいては、日本国家と日本国の産業の発展に寄与する為の、若い男性の人格形成の方法を提供することを課題とする。
【解決手段】若い男性の人格形成において、社会的正義感を持つ人格形成を行う為に、映画の持つ効果を活用することを特徴とする、人格形成の方法。映画が、任侠映画あるいは、任侠映画に類似した作品であることを特徴とする、人格形成の方法。映画が、女優藤純子が主演または、準主演しているものであることを特徴とする、人格形成の方法。
【選択図】 図1
イメージ ID=000003



【特許請求の範囲】
【請求項1】
若い男性の人格形成において、社会的正義感を持つ人格形成を行う為に、映画の持つ効果を活用することを特徴とする、人格形成の方法。
【請求項2】
映画が、任侠映画あるいは、任侠映画に類似した作品であることを特徴とする、請求項1記載の人格形成の方法。
【請求項3】
映画が、女優藤純子が主演または、準主演しているものであることを特徴とする、請求項1記載あるいは請求項2に記載の人格形成の方法。











































【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
男性の人格形成において、社会的正義感を有する人格形成を行う為の、映画の持つ効果を活用することを特徴とする、人格形成の方法に関する。つまり、本発明は、凶悪殺人犯罪、振込み詐欺、幼児誘拐殺人等々、特に比較的若い年代層の男性の残忍な事件が続発する世の中となり、このような事態を少しでも解消するための、一手段を提供することに関する。
【0002】
これらの犯罪の増大は、警備システム、防犯設備、防犯グッズの提供という、あらたな産業を活性化させる意味においては、それなりの産業的意味があるとは言えるが、やはり、多面的な施策を講じて、犯罪の少ない世の中にすることが、社会資本投資の無駄をなくし、国民の生活の向上と、日本社会の産業の育成に必要なものと考える。
【背景技術】
【0003】
一方、近年の情報産業の発達は、デジタル情報機器・ソフト(DVD記録・再生装置、大画面テレビ、ビデオレコーダー、デジタルカメラ、高性能プリンタ、インターネット情報システム、HDDタイプ音楽フレーヤー、映画・音楽・ゲームソフト)等の発達により、高度に発達した。ある意味では、映像・音楽の入手は手軽で安価となり、膨大な情報を活用できるようになった。しかしながら、これらの情報産業の諸産物は、それを、享受する者の人格形成に大きく影響を与えるものと考えられる。
【0004】
本発明においては、本発明者が男性であることから、男性の人格形成について論ずるものである。本発明者は、映画という娯楽が、秩序ある日本社会の形成にとって有効に機能することの可能性を検討した。
【0005】
映像のソフトウェアの提供は、法的に問題とされるものでないかぎり、どのような内容のものを提供するのかは、ほとんど自由の世の中であり、快楽的なものから、科学的なものまで、最終的には、格個人が好むるのを楽しむことについて、何ら制限を受けるものではない。しかしながら、本発明者の経験に基づき、偏見もありつつも、どのような映画が、本発明者の人格形成にとって、結果的には有益であったかを実体験に基づいて論述し、今後の映画界、映像情報産業界の発展に寄与し、さらに大袈裟に言えば、今後の日本国社会、日本の産業において、将来を担う、正義感のある若者育成の為の一施策を提供したいと考える。
【0006】
人格形成に関する、先行特許文献についてながめてみると、下記のようなものがある。
【0007】
特開2003-24467号公報(特許文献1)には、予防医学の観点からも、健康を損なってからの対症療法よりも、常日頃の健康維持の方が有効であるが、目標とする健康維持メニュー(体操予定項目)の実行は必ずしも楽しいばかりではなく、むしろ相当の努力を強いられることが多い。そこで、健康維持増進のための体操等を楽しみながら継続できるようにしたシステム及び方法が望まれていた。目標とする健康維持メニューに対する達成意欲増進手段として、前記メニューの実行段階における、進捗状況に関連して進展し、利用者に与える面白さ・楽しさ・悦楽の度合いが、健康維持増進目的を達成するように制御された仮想体験ソフトウェアを備えたものを提供することが開示されている。
【0008】
特開平11-57222号公報(特許文献2)には、ゲームの進展や、キャラクタの成長が主人公の自立的な意志を持って、進行するようなゲームにする。表示ドット及びこのドットの色彩と色彩の濃度と輝度により、名前等の属性により特定される主人公のキャラクタの映像を電子表示装置に表示し、ゲームの制御回路で擬似的な時間を進行させる。キャラクタを擬似的な時間の進行とともに、同一人である範囲内で、映像上で成長させるとともにに変化させる養育ゲームに応用する。主人公のキャラクタを、プログラムされたゲーム上の仮想の社会環境に投入し、人格と身体を育てる。複数の社会環境に繰り返し投入して、前記主人公の人格と身体を最終段階まで変化させて育てる。ことが開示されている。
【特許文献1】特開2003-24467号公報
【特許文献2】特開平11-57222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
男性の人格形成において、特に、社会的正義感を醸成し、犯罪の少ない世の中とし、また、ニート、フリーターといった層が増大するのを、いくらかでも防止し、ひいては、日本国家と日本国の産業の発展に寄与する為の、若い男性の人格形成の方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、本発明者の実体験に基づいて着想したものであり、他にもいろいろな方法があると推察する。男性の人格形成において、社会的正義感を有する人格形成を行う為の、映画の持つ効果を活用することを特徴とする、人格形成の方法に関する。つまり、本発明は、凶悪殺人犯罪、振込み詐欺、幼児誘拐殺人等々、特に比較的若い年代層の男性の残忍な事件が続発する世の中となり、このような事態を少しでも緩和するための、一手段を提供するものである。これらの犯罪の増大は、防犯設備や、防犯グッズの提供という、あらたな産業を活性化させる意味においては、それなりの産業的意味があるとは言えるが、やはり、多面的な施策を講じて、犯罪の少ない世の中にすることが、社会投資の無駄をなくし、国民の生活の向上と、日本社会の産業の育成の基礎作りに必要なものと考える。
【0011】
本発明者は、今までの自らの経験から、若き日(大学生時代)に、映画により、精神的な影響をかなり受けた。本発明者のいうところの映画とは、任侠映画であり、さらに具体的には、東映の1966年の「日本大侠客」に始まり、1972年の「関東緋桜一家」に終了し、女優藤純子さんが準主演で出演していた、約50作あまりを言う。なお、相手役は、高倉健さん、菅原文太さんのものであることに結果的に限定され、これらは、すべて、藤純子さんの父、俊藤浩二さんが、プロデュースしたものである。
【0012】
すなわち、本発明は、下記の構成を要旨とする。
(1)若い男性の人格形成において、社会的正義感を持つ人格形成を行う為に、映画の持つ効果を活用することを特徴とする、人格形成の方法。
(2)映画が、任侠映画あるいは、任侠映画に類似した作品であることを特徴とする、人格形成の方法。
(3)映画が、女優藤純子が主演または、準主演しているものであることを特徴とする、人格形成の方法。
現在、これらの映画は、一部、ビデオ、DVDにより、販売されている。しかし、全作品を入手することは困難であり、今後、インターネット等により、容易に多くの作品が、若者にも、提供されるようになることが期待される。
【発明の効果】
【0013】
本発明者の経験から、(1)から(3)を実施することにより、青年期において、社会的正義感が醸成されたと考えている。(当時、1970年前後は、女優藤純子の全盛期であり、特に「緋牡丹博徒」8作は大ヒットした。)
【実施例】
【0014】
なお、本発明を実施例によって、さらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。
本発明者は、以下のことを実践し、社会的正義感を醸成ことができた。
(1)1968年から1972年初春にかけて、藤純子さんの映画を多数観た。
(2)40歳後半からの中年になってからは、ビデオやDVD(一部図書も)コレクションして、1970年前後において、ピークになった藤純子主演の映画を繰り返し鑑賞し、自分の人生の生き方について、任侠映画がかなり大きな影響を与えていたことを再認識するとともに、勧善懲悪という単純な哲学の奥深さと、日本の様式美が具現化されていることに改めて感動した。簡単に言えば、自分の生き方に正義感とそれに対する自信を得たということである。(1)については、直接映画館にかよったが、(2)については、当然ながら、ビデオソウト、DVDソフト、およびそれらの再生装置を利用している。なお、私自身の経験からは、ホームシアターとか、大型画面のテレビとかは、基本的には必要ないと考える。要するに、ソフトのコンテンツが最も重要な要素となる。ただ、若き日の人格形成において、存在が大きかったのは、(1)であり、(2)は、中年になってからの心の癒し的効果のほうがむしろ大きいとも言える。
【0015】
<結果>東映任侠映画の鑑賞により、男として生きることの一種の価値観を比較的、若い時に形成することができた。ただ、勧善懲悪という単純な哲学は、裏も表もある現実の社会生活において、狡猾に生きるという面ではマイナスの面もあったと思われる。したがって、社会で大きな権力を握ろうとする男性には、あまりお勧めできないし、また、登場する悪役の生き方の方が参考になるかもしれない。これは、各人の価値観の問題であるが、「正義」という言葉が死後になりつつある現代社会において、東映任侠映画はその価値が再評価されるべき時代に来ているものと考える。
【0016】
ただ、東映任侠映画の場合、藤純子に加え、高倉健、鶴田浩二、菅原文太という、稀有なスーパースターの存在によって、具現化された世界であり、たまたま、俊藤プロデューサーの企画により、1966年から1972年初春にかけて、日本の社会に大ヒットした、きわめて一時的現象であった。特に、藤純子の存在なくしては、成立しない世界であり、日本映画界が、品位の低下した娯楽的テレビ番組にすでにとってかわられつつあった時代に、日本の映画世界に最後の花を咲かせた作品群であった。
【0017】
なお、以下は、藤純子の演じた任侠映画というものを、知らない若年世代が大部分を占める世の中になったので、そういう世代のために、藤純子の出演した任侠映画とはどういうものであるか、藤純子(現在、富司純子)さんへのファンレターを紹介し、東映任侠映画と藤純子さんの紹介としたい。
【0018】
富司 純子 様
拝啓
一目だけでもお会いして、お礼を申し上げたいのですが。
私は、貴女の緋牡丹博徒以来の大ファンで、昭和24年生まれの男です。今年の6月9日で50歳になりました。子供は、3人で男、女、女の3人です。長男は貴女の長男とほぼ同じ歳で今年の8月に22歳になります。今年はひどい就職難でしたが、なんとか就職も決まりほっと一息ついているところです。
貴女の舞台を見るのは、7月26日(1列19番席)で4回目です。最初は芸術座で祇園の姉妹を見させていただきました。2回目は帝国劇場で山田五十鈴さんと出ておられたのを見させていただきました。3回目は7月13日に本所深川ふしぎ草子をついこないだ見させていただきました。いつも一番前の席を採るようにしていますので、ほんとに間近に見させて戴いており感謝しております。
実は私、4年前から鬱病にかかり、最近はいくらか回復してきましたが、最初ころは自殺願望が強く苦しみながら会社勤めをしている毎日でした。
そんな時、私を救ってくれたのは新宿TSUTAYAで見つけた貴女の数々のビデオです。何の楽しみも見出せなかった私に、生きる喜びを与えていただきました。そうこうするうち、緋牡丹博徒シリーズは東映ビデオから発売されましたので、1巻~8巻までをすべて揃え、すでに100回ずつぐらい見させていただいております。
また、3年ぐらい前の徹子の部屋や、ついこのあいだのスタジオパークもビデオに採り、これまた何十回となく見させていただいております。
貴女の追悼記念番組が組まれるころは、多分私は世の中にいないとは思いますができるだけ長く、貴女の舞台を見ていきたいと思っております。
また、藤純子の写真集を東映が出してくれないかと願っております。(貴女の本は国立国会図書館に行かないと見られませんので。)
私は字が下手でワープロで書いて申し訳ありません。どうかこの手紙が貴女のお目にとまりますように。
敬具
平成11年7月18日
[作品の大筋]
置いてけ堀に現れる岸涯小僧は、浮かばれない漁師や魚屋の生まれ変わり。魚屋だった亭主を亡くしたばかりのおしずの耳に、そんな噂が飛び込んできた。思いあまって出掛けた置いてけ堀でおしずは意外なものを見る『置いてけ堀』。人殺しが起きた場所で「落ち葉さえなければ」と呟く茂七の言葉を聞き、毎夜落ち葉を掃除するお袖。そんな彼女に物陰から視線を送る男がいた『落ち葉なしの椎』
。本所深川七不思議を題材に、人情味溢れる物語を集めた時代編。
【0019】
富司 純子 様
拝啓
お元気ですか。先日(10月17日)に、妻と二人で「音菊天竺徳兵衛」を拝見させていただきました。菊五郎様は、はじめて拝見いたしましたが、男っぷりのいい方で、さすが、貴女が19歳の時心を動かされたものと感心いたしました。
菊之助様は、菊五郎様にも似ておられましたが、純子様にも似た雰囲気があって、緋牡丹お竜がすっと立った様をどことなく感じたしだいでございます。
ところで、私は貴女が、会場にいらっしゃらないかと時々、音羽会の受付付近を見ておりましたところ、最初の幕間の時にお見かけして、たいへん幸福な気持ちになりました。
近づいて声をおかけするには恐れ多いことでしたので、10メートル程はなれた位置で拝見させていただきました。貴女が、会場入口付近に座っておられた女性のグループの方へ歩いて来られました際、私の方に向かって軽く会釈していただき(私の気のせいかもしれませんが)大変幸福に感じたしだいです。
なんといっても、貴女の着物の着慣れた着こなしにほれぼれいたしました。
10月23日には、ドリームメーカーを見ましたが、朗らかなお母さん役が、お竜さんとはまた違っていい雰囲気でした。
来年の1月16日には、(音羽会に予約はしてあるのですが)券が採れれば、
妻と二人で、「滝の白糸」を拝見させていただく予定にしております。
お体を大切に、主婦として、大マネージャーとして、大女優としてがんばって下さい。
敬具
平成11年10月27日
【0020】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしでしょうか。11月の歌舞伎座公演中で忙しい中、このような私の手紙を読んでいただけるとしたら、かえってご迷惑をかけていることになっているとは思いつつも又手紙を出してしまいました。
貴女には、不本意なことかもしれませんが、11月6日には「日本女侠伝・侠客芸者」を新宿の映画館で見てきました。貴女の美しい芸者姿にほれぼれしたしだいです。1969年の作品ですからもう30年も前の作品になるのですね。残念なことですが山下耕作監督もすでになくなられましたし。
実は以前にも同じ映画館で「日本大侠客」という映画も見ました。主演は鶴田浩二さんで、たしか貴女は、「お竜」という鉄火芸者の役で、最後に自殺してしまうかわいそうな役でしたね。こちらは1966年の作品ですから今から33年も前の作品です。貴女は、日本映画史の最後の大女優だったのだなあとつくづく思います。
私は、女渡世人シリーズを見たことがないので、ビデオ屋さんにもないし、上映されたらぜひ見たいと思っております。
1971年8月10日号キネマ旬報「任侠藤純子おんなの詩」のP100に渡辺武信氏の評が、「藤純子の澄んだ切れ長の眼、それは見ひらかれれば、火のように燃え、微笑する時、そよ風のようにゆらぎ、ひとたび伏せられると夜のように暗い」と書かれております。今でもそうですね。2000年1月の「滝の白糸」の舞台を拝見させていただくのを楽しみにしております。
敬具
平成11年11月7日
「日本大侠客」
九州の侠客議員として知られる吉田磯吉の長男・敬太郎が書いた自伝をもとに、マキノ雅弘監督が鶴田浩二主演で映画化。明治中期、新工業地帯として胎動し始めた北九州の港町・若松を舞台に、熱烈な郷土愛に燃える吉田磯吉が青春の全てをかけて悪徳ヤクザ一家に敢然と闘いを挑む。磯吉を慕い、彼のピンチを救う鉄火芸者・お竜を藤純子が好演。この役は後年、藤純子の当たり役である“緋牡丹博徒”シリーズの女侠客・緋牡丹のお竜の原型となった。
【0021】
富司 純子 様
拝啓
お元気で、多岐にわたり、ご活躍・お過ごしのことと思います。
来年の1月は楽しみにしておりますが、もう「滝の白糸」の練習は始められてお忙しいのでしょうか、それとも12月に入ってからの練習でしょうか。
ところで、貴女の方にはすでにサンプルが届いていることと思いますが、最近、東映から「傑作シリーズ」のCDが発売されているのを見つけましたので、さっそく貴女の主演作品のものを購入しました。(いまさら、昔のものが発売されて貴女にとっては、不愉快かもしれませんが?)サウンドトラック版ですから、あの手の商品は貴女には印税も入らないのでしょうか。入らないとしたら、まったく貴女にとってはまったく不本意な商品でしょうね。
1ファンとしては、眼も疲れませんし、ビデオにはない良さがあって楽しませていただいております。
つまらない、手紙の内容で、もしお目にとまり、貴重な時間を割かせてしまいましたらごめんなさい。
ではお元気でご活躍下さい。
敬具
平成11年11月14日
【0022】
富司 純子 様
拝啓
ついついまた、手紙をまた書いてしまいました。貴女が高倉健さんのファンだったのを、この間のNHKスタジオパークで聞き、私も若い時から男優では高倉健さんが一番好きですので、大変嬉しく思いました。(「鉄道員」は5回も見ました。「おもちゃ」は1回でしたけれど。)
ところで先日は、高倉健さんのCD(キングレコード)を買ってみようかと思い、「決定版・高倉健」というのを買いましたところこれが、なんと大当たりでした。途中に「昭和残侠伝・死んで貰います」の健さん(秀次郎)と貴女(幾太郎)の再会の場面と、「日本侠客伝・昇り龍」の健さん(玉井金五郎)に貴女(お京)が刺青を入れるのを頼む場面等が歌と歌の間に収録されているのです。貴女はこのCD持っていまいすか?もっとも貴女にはCDを聞く時間などないとは思いますが。でも記念に持っておかれたら、よいかと思いますが。「死んで貰います」と「昇り龍」はどちらも名作ですね。「昇り龍」では最後に貴女が死んでしまう悲しい役でしたが。健さんと貴女が着流しで並んだ姿の美は、空前にして絶後ですね。私も同世代にこの世の中に生きてこれてほんとうによかったと思います
また、最近、東映から出た傑作シリーズ(藤純子)もなかなかの逸品でした。
被牡丹シリーズも良かったのですが、Vol.2の関東緋桜一家の音楽はなかなかいい曲ですね。最後の方で、貴女(鶴次)が「に組(?)」の着物を着て健さんの後を追いかけるシーンが思い出されます。夜寝る前に聞きますと静かな気持ちになりよく眠れます。
富司純子の名を名乗られてからは、「あ・うん」とNHKの「詩城の旅びと」が印象に残っております。貴女(水田たみ)が豆を上に飛ばして口に入れるシーンとか、緒方拳さん(木村企画部長)に「通子さん(中川安奈)をお好きなのですね。」と言われるシーンとかが。フランス語はいつ練習されたのでしょうか。(お忙しい身でありながら。)
またまた、とりとめもないことを書いてしまってごめんなさい。
では、お元気でますますがんばって下さい。
敬具
平成11年11月18日
【0023】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしですか国立劇場、歌舞伎座、新橋演舞場と続けて、旦那様、菊之助様が出場されていますので、忙しい日々をお送りのことと思います
ところで、12月2日には、「滝の白糸」の1月16日の観覧券が到着し、希望の席がとれていましたので、大変悦んでおります。妻と二人で見に行く日を心待ちしております。
もう稽古は、始まったのでしょうか。貴女は、家の内外でいろいろな役があって大変な忙しさですね。まあ美空ひばりさんなんかは、3回練習すれば、本番のレコーディングOKという話しを聞いたことがありますが、貴女も東映時代にマキノ監督に鍛えられて、そんなに練習しなくても体が自然に動いていくのでしょうか?それとも影で、いろいろな努力をなさっているのでしょうか。
結婚ラプソディ「東京の女対大阪の女」はビデオに撮ってあり、時々見ますが、貴女の作り上げてきたイメージとは違って、なんだか妙な感じがしました。
12月10日からは、鶴田浩二さんと共演の「総長賭博」と高倉健さんと共演の「死んで貰います」が、新宿の映画館で上演されるので見に行くつもりにしております。
では、お元気で、がんばって下さい。
敬具
平成11年12月3日
【0024】
富司 純子 様
拝啓
お元気ですか。徒然なるままに、目前にNHKのビル(澄みきった日は、富士も目に入るのですが)を見ながら、お昼休みにまたワープロをたたいてしまった私です。
電車の中吊り広告を見ていたら、尾上菊之助の記事が出ているとの案内があり、読んでみました。菊之助様は、ほんとうにハンサムで精悍な感じですね、目付きは、純子様に似ているのでしょうか、切れ長の眼がすてきですね。で、その先を読んでいくと富司純子様の記事が載っているのですね、「滝の白糸」には1ヶ月は練習するとか書いてありました。1月16日がますます楽しみになってきますが、私のようなファンは、貴女の芸がどうこう等の話しは、ある意味では、どうでもいいことです。富司純子様には、他をもって替え難い魅力がある(黒柳徹子様の言葉を借りれば)訳ですから、貴女を見ているだけでいいのです。私のようなファンが多いと思いますよ。どうか気楽にさばいて下さい。
あの記事の中で、女優としては、娘も対等というような事が書かれておりましたが、女優の世界はきびしいですね。(歌舞伎の世界の方が、菊五郎様と菊之助様は師匠と弟子の関係ですものね。)
では、お元気で、練習に、家事にお励み下さい。
敬具
平成11年12月6日
輝くようなみずみずしい美貌と清潔な色気。明日の歌舞伎界を背負う若手スターの旗手。女方も二枚目もいい。祖父・梅幸や父・菊五郎の役をしっかりうけ継ぎつつ、歌舞伎以外にも積極的に出演して意欲をみせている。
【0025】
富司 純子 様
拝啓
お元気ですか。12月12日は、新宿の映画館で、「総長賭博」と「死んで貰います」を見ました。「総長賭博」は、1968年の作で、若山富三郎さんの女房役で、若山さんが鶴田さんに殺されてしまう悲しい役でした。貴女の出演場面もあまり多くなく大して大きな感動を覚えませんでした。昭和残侠伝「死んで貰います」のほうは、1970年の作ですが、貴女の芸者姿が、とても色っぽくすてきでした。「止めやしません。だけど死なないで下さい。・・あとは、私の義理に生きて下さい」という最後の部分の台詞が印象的でした。とはいえ、30年ぶりに見た高倉健さんの、鍛えられた上半身の裸姿が、筋肉質の胸板といい、太い腕といい、男心に改めてほれぼれいたしました。
12月31日からは、加藤泰監督の名作「三代目襲名」が上映されます。あの映画では、たしか、初江とかいう遊郭の遊女の役だったと思います。まだ東映に所属して間も無い時期の映画だったかと思いますが、今から楽しみにしております。もちろん、1月16日の「滝の白糸」は一番の楽しみですが、映画のスクリーンには舞台にはない迫力がありますね。
では、年末、お元気でおすごし下さい。
敬具
平成11年12月13日
昭和残侠客伝「死んで貰います」
大正末期。家を飛び出して放浪していた花田秀次郎(高倉健)は、賭場でのケンカがもとで服役。面会に来た寺田(中村竹弥)と妹に、「世話になった」という芸者見習の幾江(幾太郎)
(藤純子)という女性に金を渡してもらうよう頼む。服役中に関東大震災が起こり、秀次郎は家族を案じるが何もできない自分に苛立つ。時代は移り昭和初め、出所した秀次郎は生家の深川の料亭に戻ることにする。震災で妹は亡くなり、母は視力を失っていて、店は板長の重吉(池部良)が切り盛りしていた。寺田の計らいで、今は一人前の売れっ子芸者となった幾江とも再会でき、秀次郎は素性を隠してカタギとして板前修業を始めることに。しかし、一旦ヤクザな身となった秀次郎が足を洗うのはそう容易いことではなく…数ある『昭和残侠伝』シリーズの中でも、名作と名高い1本です。(私はまだ2本しか観れてないけど…)大元の筋の、老舗の組が新興ヤクザの無茶な勢力にやられ、義理堅い主人公が殴り込みに…という筋はそのままに、親子の情や、男の友情などの人の情けの描写の方に重点が置かれて、またそれがとても自然で、細やかに描かれてて、情を知ってる人間なら、誰もが涙することでしょう。古き良き日本人の姿があります。秀次郎と幾江の純愛も、ヘタしたらすんごくクサくなりそうな話なのに、やっぱりいいな~と思ってしまう。あんなヒトなら何年でも待っていたくなるよ。
【0026】
富司 純子 様
拝啓
お元気ですか。「滝の白糸」お疲れ様でした。13、16、20日と結局3回も見てしまいました。長いせりふが続いて、せりふを覚えるのもたいへんですね。16日は、最前列の席が採れましたので、よく見させていただきました。
貴女の黒いストッキングから見える足が、新鮮でセクシーな印象に残りました。
貴女の足は、緋牡丹博徒の立ちまわりの時少し見えるだけでしたから。
流し台の上に乗って空間を飛び交う時は、最初は、怖くありませんでしたか?
今後の出演スケジュールはあるのでしょうか?音羽会からのたよりを待っていればわかることなのですが。
敬具
平成12年1月26日
【0027】
富司 純子 様
拝啓
お元気ですか。相変わらず忙しい毎日を送っておられることと思いますが、「滝の白糸」が終わって一息ついているころでしょうか。
私は,2月5日に新宿で「昇り龍」を見てきました。1970年12月3日封切りの映画ですね。貴女は25歳ぐらいでしょうか。当時の映画としては、やや長編で110分ぐらいのものですね。高倉健さんと貴女のからみのシーンが一番多い作品ではないでしょうか。話しの内容は、まさに美人薄命といった感じのものですが、貴女があまり美しくシャシンになっているので、見とれて涙を出す暇がありません。
NHKのスタジオパークで、貴女も高倉健さんのファンだったと知りましたが、ファンの方とあれだけ長いシーンを撮ると、その時だけは、ほんとに好きになってしますのでしょうね。(かたせ梨乃さんが、極妻の映画の話で擬似恋愛をするものだと話しておられましたからこれもスタジオパークですが。)
「昇り龍」は、映画館に当時のポスターガ残っていて貼られていました。今あんなポスターを手に入れようとしても高価で手が出ないとおもいますが。
映画館には、結構人が入っていました平均年齢は、60歳ぐらいだと思います。今度の貴女の出演映画のスケジュールは未定ですが、また行きたいですね。
正月上映された「三代目襲名」は体調を崩して見逃してしまいました。
では、お元気で、ますますご活躍下さい。
敬具
平成12年2月7日
【0028】
富司 純子

拝啓
お元気ですか。先日は、高倉腱さんの、CD「東映傑作シリーズ
昭和残侠客伝」を購入しました。収録されている2作品共、共演が三田佳子さんであるのが残念なところです。唐獅子牡丹はしょうがないにしても、もう一作は「死んで貰います」を収録してほしかったですね。現在「日本侠客伝」も注文中です。このようなマニアックな商品は、一回ある程度の数製作すると、あとを作らなくなるようで、売り出した時に買うのを躊躇すると、もう手に入らなくなります。
それにしても、貴女の「傑作シリーズ」はvol.1、2共に、手に入れておいてよかったと思います。毎日寝る前に聞いております。
ところで、3月10日からは、新宿の映画館で「日本大侠客」が上映されます、貴女のスクリーンからあふれるようなお色気をまた見ることができるのを楽しみにしております。
菊五郎様と菊之助様の歌舞伎は、財源的な理由もあり、見ることができなく、申し訳ありません。
ではお元気で。
敬具
平成12年2月19日
【0029】
富司 純子 様
拝啓
お元気ですか。東映傑作シリーズ高倉健主演作品のVol.4も購入しました。日本侠客伝の第1作に貴女は、出演なさっていたのですね。Vol.4は、日本侠客伝の第1作と第2作が収録されているのですが、第2作には、貴女は出演しておりません。「昇り龍」を収録してくれたなら、最高に幸せでしたのに、残念です。
私は、日本侠客伝の第1作をまだ見たことがありませんので、時間がとれたら、新宿のTSUTAYAで借りて来て、見たいと思っております。出演者の順番もまだ、藤純子様が数名のあとに書かれていますので、まだまだ本格的に人気の出る前の作品ではないかと思いますが、その意味で逆に見る価値がありそうです。
今回も、つまらない内容の手紙で、申し訳ありません。
次回は「日本大侠客」を見たあとの感想など書かせていただきます。
敬具
平成12年2月25日
【0030】
富司 純子

拝啓
お元気ですか。
さっそく、日本侠客伝シリーズの第一作のビデオを見てみました。1964年の作品で、今から36年も前の作品なのですね。私は、まだ15歳ぐらいで、貴女も19歳ぐらいの時の作品かと思います。高倉健さんの恋人役で、出る場面もまだまだ少なく、とても初々しい感じがしました。貴女は、緋牡丹博徒をやられるようになったころから、また一段と美しくなられたのですね。9年間の藤純子としての女優の間にも、女性としてどんどん成長されていった様子がよくわかります。
ところで、新宿のビデオ店を見ていましたら、東映傑作シリーズ藤純子主演作品のVol.3が置かれておりました。内容は、日本女侠伝シリーズで、「真っ赤な度胸花」と「鉄火芸者」が収録されておりました。私は、「侠客芸者」は見たことがあるのですが、この両作品は見たことがありません。ビデオ化もされていないようで、ビデオ店をさがしても見当たりませんでした。Vol.3をさっそく購入して聞いてみましたが、緋牡丹シリーズと違って、歌が入っていないのが残念でした。
また、つまらない内容の手紙で申し訳ありません。
敬具
平成12年2月28日
今は亡き木場政に恩義のある客分の清治は長吉に迷惑をかけまいと女房のお咲に別れの挨拶をすると一人沖山組に殴り込んだ。悽惨な死闘の甲斐なく清治は息絶えた。清治の死体を見た長吉の心は決った。『男の喧嘩は一生に一度しかない』という親分の言葉を思いつつ。子分を連れた長吉は祭りの騒ぎにまぎれ沖山組に殴り込み決死の戦いを挑んだ。悲惨な戦いであった。沖山兄弟を倒し、この殴り込みに一人生き残った長吉も今は獄中で静かに判決を待っている。木場は元通りに活況を呈し、深川は平穏を取戻した。
【0031】
富司 純子 様
拝啓
お元気ですか。優秀助演女優賞の受賞おめでとうございます。(最優秀に選ばれるのではないかと思っておりましたが、少し残念でした。)
3月12日は、2回目ですが「日本大侠客」を見てきましたが、貴女が20歳ぐらいの時の作品で、貴女のお色気が画面から飛び出しそうでした。鶴田浩二さんの相手役よりも、やはり高倉健さんの相手役が似合いますね。
3月31日からは、昭和残侠伝「唐獅子仁義」が始まります。前回見ました「昇り龍」、今回の「日本大侠客」、次回の「唐獅子仁義」の三作とも、最後に貴女が死んでしまう、かわいそうな役ですね。
高倉健さんと共演さけたのは、「あ・うん」が最後だと思いますが、私を含めた日本映画のファンのためにもう一度共演作が世に出ることを期待しております。我々昭和40年代の東映任侠映画ファンもだんだん歳をとってきました。当時の藤純子様の写真集が出版されることを期待しております。
舞台出演も期待しておりますので、お忙しい中がんばって下さい。
敬具
平成12年3月17日
(日本大侠客)
この映画は、俊藤プロデューサーの娘でもある藤純子が大抜擢されて、一躍売れっ子になった作品としても有名。映画の中で藤純子は鉄火肌の芸者・お竜を演じてピストルをぶっ放すが、これが後の『緋牡丹博徒』へとつながって行く。マキノ監督は『緋牡丹博徒』シリーズを1本も撮っていないのだが、間接的な生みの親になったというわけだ。
俊藤プロデューサーはこの作品を「マキノの親父には名作傑作が数々あるけど、これはまちがいなくその一本だと思う」と言っているのだが、僕の見立てはちょっと違う。確かに面白い映画なのだが、この映画の鶴田浩二は最初から立派すぎると思うのだ。幼い頃から定職に就かず、朝鮮に出稼ぎに出ても無一文で帰ってきたあげく、料亭に嫁いだ姉の居候になっている磯吉。彼はあちこちから借金をして姉や義兄に迷惑をかけているものの、それでもどこか憎めない人間的魅力の持ち主です。
【0032】
富司 純子 様
拝啓
お元気で、忙しく、おすごしのことと思います。
5月は旦那様、菊之助様が歌舞伎座に出演中で特に大変ですね。5月末から6月初めにかけては、寺島しのぶ様も出演なされてご家族全員活躍の程喜ばしく思います。また、7月にはいよいよ新橋演舞場で、「巧名が辻、山内一豊」千代役で出演ですね。音羽会で7月20日の切符を入手させていただく予定です。私は、とにかく顔を拝見できればいいので、妻の反対を押し切って最前列を希望しました。
ところで4月30日には、新宿の映画館で「緋牡丹博徒(第1作)」を上映しておりました。娘さんの時の感じとお竜さんになった時の感じが、すっかり変わるのに改めて驚きました。山下耕作監督が、お竜さんにあえて地味な着物を着せて見せたかったと書いておられましたが。
でも、何と言っても、もう一度観てみたいのは、「お竜参上」ですね。貴女が一番美しくシャシンになっているのではないでしょうか。
なお、私事ですが、長男(貴女の長男、菊之助様と同じ歳と思いますが)は、福岡に着任しました。家業のない者のつらさで、私自身、故郷をはなれてはや30年近くになります。
敬具
平成12年5月9日
やまのうちかずとよのつま(1557~1617年)夫、一豊は織田信長の部下。一豊のために嫁入り仕度のお金で馬を購入、その馬の手入れをした。信長はそれを喜び、ほめたたえた。
【0033】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしのことと思います。ところで妻から聞いたのですが、来年はNHKの大河ドラマに出演されるそうですね。私は通常は、大河ドラマを見ません(渡哲也さんの織田信長の時は見ましたが)。来年は毎週楽しみにして見ようと思っております。
また、今月の26日からは、新宿の映画館で、「一宿一飯」が上映されます。学生時代に見た、相手の男が傘の上を空を描いて舞い、池に落ちて行くシーンと鮮やかな緋牡丹を見せる黄色の着物のシーンが思い出され、これもまた楽しみにしております。
敬具
平成12年5月16日
明治十七年秋。上州の農民たちは、高利貸倉持に収穫物をカタに取られ困っていた。・・一方、笠松はひそかに倉持と結託、上州一帯の生糸の総元締会社設立を図っていた。この計画を察知した戸ヶ崎は、農民に犠牲を強いる笠松のやり方に怒り、笠松一家に殴り込んだ。その時は、お竜は戸ヶ崎のはからいで四国の熊虎一家を訪ねていた。戸ヶ崎が殴り込んだことをお竜はそこで聞いたが、戸ヶ碕一家は笠松一家によって全滅したのだった。お竜は急ぎ上州に戻ったが、そこはもう日の出の勢いの笠松一家の勢力圏になっていたのだ。後日のことを考慮した戸ヶ崎によって彼の娘まちと結婚して戸ヶ崎組の跡目を継いだ勇吉は血気にはやって殴り込んだが、逆に私刑を受ける有様だった。お竜はそんな勇吉を何かと助けていたが、関八州の親分の一人宮内がその後楯となってくれた。一方笠松は邪魔なお竜を消そうとして襲ったが、一匹狼周太郎に阻まれた。しかし、笠松にはもう一つ企みがあった。戸ヶ崎組の経営する郵便馬車の権利を手に入れることだった。笠松はまちを脅し、ついにその権利書を手に入れたのだ。憤怒に燃えた勇吉は、笠松組と争いなぶり殺したあってしまった。ここに至っては、お竜も決心せざるを得なかった。周太郎とともに勇吉の葬合戦とばかり、笠松組に欧り込み、笠松を倒したのだった。
【0034】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしのことと思います。旦那様、菊之助様は5月大歌舞伎で、純子様にとってもお忙しい毎日のことと思います。
ところで、私も昨日(21日)には、一番列車に乗り、朝7時には一幕見の切符購入の列に並び源氏物語を見ることができました。双眼鏡片手に遥か遠くの舞台を見下ろすのもなかなかいいものでした。特に3幕目の菊之助様の若紫は、とても美しくて素敵でした。まだ本物を読んだことのない私ですが、源氏物語の外郭がわかったようで、たいへん楽しい一日でした。
また、夜には大河ドラマで秀頼の役で出演されているのを拝見しまして、冨司純子様の若き日を思い起こさせるような気がしました。
28日は、「一宿一飯」を見に行く予定ですが、何とその日に「花と龍」も上映されるということです。今から楽しみにしております。
敬具
平成12年5月22日
歌舞伎源氏が初演されたのは昭和26年。1951年3月のことです。東京大空襲で焼失していた歌舞伎座がようやく再建されました。戦争中にも上演予定があったそうですが、当時は源氏物語がタブーとされていた時代で上演できませんでした。戦争が終って帝も現人神から人間天皇におなりあそばし、ようやく源氏物語が文学や芸術として大手を振って歩けるようになったわけです。
初演の時光源氏を演じたのは、今回光源氏を演じる市川新之助さんの祖父、十一世市川團十郎でした。当時歌舞伎役者の中でもダントツのイイ男でした。写真を見ると新之助さんによく似ています。新之助さんは今の歌舞伎界の若手のホープでかつお祖父さん似のイイ男という評判です。
また、昭和45年、58年の上演組は、今回光君、紫の上、頭中将を演じる「平成三之助」こと新之助、菊之助、辰之助の父に当たる当代團十郎、菊五郎、故初代辰之助という、当時の歌舞伎界を背負って立つ人気若手組でした。源氏物語ファンだけでなく、ずっと昔から歌舞伎を見つづけてきた歌舞伎ファンにも非常に思い入れのある演目なのです。
【0035】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしのことと思います。5月大歌舞伎も終わり、ほっと一息といったところでしょうか、それとも、いよいよ「山内一豊の妻」の役作りで忙しくなるのでしょうか。
5月28日は、「花と龍」「一宿一飯」を見てきました。貴女のみずみずしい美しさが両方の映画にあふれており、楽しませていただきました。「一宿一飯」で貴女が、緋牡丹の刺青を見せる時、涙が出ていたのですね。スクリーンを注意して見ておりましたら、気がついたのですが、あれは、肌を見せることに対する悔しさ、それとも演技でしょうか?
6月には、貴女の出演する映画の上演は組まれておりません。残念ながら・・・。でも、7月にはいよいよ新橋演舞場で貴女の舞台が見られます。双眼鏡も10倍のものを買いましたし、あとはチケットが来るのを待つばかり。
ところで、「舞ちゃん」という雌犬のほかに、まだ2匹犬がいるということですが、まだ元気ですか?私の家には、4歳の「モモ」という猫が一匹いますが、元気です。
当面は、昨年のNHKのスタジオパークのビデオと貴女の東映のCDでも聞いて過ごしましょう。
またつまらない手紙になってしまって申し訳ありません。
敬具
平成12年5月29日
山尾組を追放され、愛するマンを連れて彦島を離れた金五郎。昔の仲間と組を立ち上げた彼は、併合組の集会で女賭博師のお京と再会する。
【0036】
富司 純子 様
拝啓
猛暑のおり、連日の新橋演舞場でのご公演大変なことと思います。
7月13日と20日は、巧名が辻を拝見させていただきました。13日は3階席で、20日は一階最前列で。(渡辺徹さんは汗をたらたら流しながら演技されていたのですね。)
7月3日には、徹子の部屋に出演なされていたのをビデオで撮っておきましたので、楽しませていただいております。(音羽会の案内では、7月5日になっていましたので、あやうくビデオを撮り逃がすところでしたが、娘が新聞のテレビ番組表で見つけてくれました。)貴女のトークビデオは、3年前の徹子の部屋と、1年前のNHKスタジオパークとで、3本目を収集したわけですが、今回のチャイナドレスの容姿が一番すてきに見えました。ただ、コマーシャルが多く、実質30分もないのが残念です。
7月15日は、新宿の昭和館で、「お竜参上」を見てきました。30年前の映画になると思いますが、今さらながら加藤泰監督の傑作だと思います。
同じ月に30年の時間を隔てた両方の貴女を観るのは、30年を経てもなお、美しくていらっしゃるのに驚くばかりです。
ところで、12月には元禄港歌が再演されるとかで、チケットが手に入るのを楽しみにしております。
名古屋の中日劇場の10月公演とお忙しい日々が続くようですが、がんばって下さい。
敬具
平成12年7月24日
東映任侠映画といえば、活気のあった日本製娯楽映画全盛時代の良さがあるよね。いわゆる定番のプログラム・ピクチャーなんだけど、水戸黄門のごとく安心して見ていられるのだ。この映画も最初から最後までお約束だらけ。いいヤクザと悪いヤクザがいて、悪いヤクザは悪行三昧、いいヤクザは我慢に我慢を重ねて最後に怒り大爆発。もちろん最後は正義が勝つ!その単純さが許された時代っていいな。見所はなんといってもお竜さんの大活躍だ。どんな問題もお竜さんが出れば万事解決。悪人どももお竜さんには敵わない。1人で切って切って皆殺し。そんなバカなとも思うが、かっこいいからいいじゃん。無敵の渡世人ながら女っぽさも忘れない藤純子の艶やかさが素敵だ。菅原文太と交わすストイックな愛情表現もいい。そして嵐寛寿郎親分の貫禄ときたら、もう渋すぎます。定番ネタの中に自分流の美学を忘れない加藤秦のこだわりの演出もこの映画の魅力です。
【0037】
富司 純子 様
拝啓
猛暑の中、巧名が辻もあっと言う間に終わった感じがしますが、ご本人はやっと終わったという感じでしょうか。
貴女の舞台を観られる機会も、私の人生において、この先、さほど数多くはないと思いつつ、3回も観覧させていただきました。
ところで、最近マガジンハウスから「銀幕の名花」というタイトルの図書が発行されておりましたので、購入してみました。本がビニールでシールされていましたが、表紙には貴女の写真が載っていましたので、本文の中にも掲載されていることは、確実にわかるものの、いったい貴女のために何ページ割かれているのかわからず、一種の賭けで、思い切って購入してみました。実際に割かれていたのは6頁でした。(大女優は、6頁、その他の女優さんは1頁でした。)6頁の中で掲載されている写真の中では、鶴田浩二さんと一緒に写っている写真が印象的でした。(当然のことながら、鶴田浩二さんも、30年前は、若々しくおられたのですね。ガンのために意外と早く亡くなられたのが、いまさらながら残念です。)
日本映画の歴史において、貴女は、最後の大女優と言われており、日本映画も「関東緋桜一家」を最後に黄金期の終わりを告げることになるわけですが、貴女の若き日の9年間における約90本の映画出演の偉業は、永遠に残るものと思います。
そう言えば、5月ごろ、新宿で「車夫遊侠伝・喧嘩辰」を見ましたが、あの映画では貴女のキスシーンが出てきてびっくりしました。貴重なシーンを見た気がしました。キスシーンは、あれ一つでは、ないでしょうか?(大奥丸秘物語にキスシーンがあったかどうか忘れましたが。)
8月のお盆前後には、新宿で、「おたの申します」が上映されます。郷里に帰っている期間を短縮して、ぜひこれを見ようと思っております。
8、9月はご主人の菊五郎様は夏休みで、貴女もごゆっくりされるのでしょうか。ご主人様と良き夏休みを過ごされることを期待しております。
敬具
平成12年8月1日
【0038】
富司 純子 様
拝啓
暑さが続くおり、いかがお過ごしでしょうか。
8月16日には「おたの申します」「侠客列伝」を見てきました。「おたの申します」では、藤純子さんが、指を詰めるシーンがあったのですね。いたいたしい感じが鮮烈な印象として残りました。
「侠客列伝」も始めて見たのですが、最後に愛する鶴田浩二さんが死んでいくのを見取る貴女の演技が印象的でした。
9月8日からは、「関東緋桜一家」が上映されます。貴女の藤純子時代の最後の映画ですが、ちょうどその後、私は学生生活を離れ、社会人としての生活を送ることになりました。貴女は、その後、尾上菊之助様との結婚生活にはいられたのですね。「関東緋桜一家」が上映されてから、もう28年の歳月が流れたのですね。我々が世の中からいなくなるころには、あの映画館も世の中から消えるのでしょうね。
そんな意味でも、「藤純子」の映画女優時代の写真集が出版されることを期待しております。
ところで、夏休みはいかがお過ごしでしたか。有意義な夏休みを過ごされたことを期待しております。
敬具
平成12年8月22日
【0039】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしのことと思います。
旦那様と有意義な夏休みをお過ごしになられているのではないかと想像しますが、それとも広尾で菊之助様、お弟子様お犬のお世話をされているのでしょうか?
先日(10日)は、「関東非桜一家」と「博徒一家」を映画館で見ました。「博徒一家」は1970年上映の映画ですから、どちらかと言えば引退が近くなってからの作品だったのですね。ビデオ店でも置いていないので、私自身は始めて見たことになります。「関東緋桜一家」は、ビデオも持っていますので、もう何度も見た作品ですが、映画館で見ると、さすがに殺陣の場面の迫力が違います。しかし、だんだんフィルムも傷ついてきて途中で時々飛んだりしているのを見ると、当時の映画もしだいに世の中から消えていくのではないかと思うと少々残念な気がします。
さて、今年の秋から来年の春にかけては大活躍ですね。10月の名古屋の「祇園の姉妹」、12月の川口での「元禄港歌」、1~2月大阪での「近松心中物語」、3~4月明治座での「近松心中物語」と連続していますね。私は、川口の「元禄港歌」、明治座の「近松心中物語」を観たいと思っております。
では、健康で元気に、過密スケジュールを乗り切り、私達ファンを楽しませて下さることを期待しております。
敬具
平成12年9月12日
【0040】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしのことと思います。
そろそろ旦那様の夏休みも終わりに近づいたことと思いますが、貴女には、オリンピックを見る時間などあったでしょうか。
10月の予定は知りませんが、11月は中日劇場で「祇園の姉妹」(今まで10月と思い勘違いしておりましたが、インターネットで確認しましたら11月になっておりました。)の公演がありますね。約1ケ月の名古屋でのホテル生活でしょうか。
ご存知のこととは思いますが、「日本女侠伝シリーズ」が最近東映ビデオから発売されました。さっそく、5作品とも購入しました。私は、「侠客芸者」しか映画では見たことがありませんので、楽しみにしております。
12月21日には、音羽会の懇親会があると聞いておりますが、一生の思い出にぜひ一度、近くでお顔を拝見したいものだと思っております。
それでは、ますますのご活躍(ほんとうに最近のご活躍はすごいですから)をお祈りしております。
敬具
平成12年9月26日
【0041】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしのことと思います。
いよいよ11月は名古屋ですね。名古屋弁がうつらないように気をつけて下さい。名古屋弁は、品がないですから。聞いていると楽しい言葉ではありますが。
ところで、日本女侠伝シリーズのビデオを全部見ましたが、なかなか面白かったのが、「激闘ひめゆり岬」でした。ズボンに帽子の姿がなかなかすがすがしいものでした。1971年11月の上映ですから、東映をやめる直前の作品ですね。沖縄女性の雰囲気を出すための化粧も色っぽく感じました。当時は返還前で撮影もそれなりにご苦労があったのではないでしょうか。相手役が菅原文太さんで、高倉健さんでないのもピッタリしていたようです。(高倉健さんが最後に銃殺される役ではかわいそうですから。)
昨年のスタジオパークで、沖縄ロケのために大型の運転免許をとられた時のお話をされていましたが、この映画のためだったのですね。しかし、東映を辞める直前にも大型車の免許をとらねばならないとは、役者は大変ですね。
それでは、11月の「祇園の姉妹」がんばって下さい。
敬具
平成12年10月27日
与那嶺ゆりは、戦死した両親の意志をつぎ、運送会社を経営していた。ある夜、暴力団岩松組にからかわれていた花売娘を助けたことから、ゆりの母親の郷里新城部落の悲惨な現状を知る。
【0042】
富司 純子 様
拝啓
お元気でお過ごしのことと思います。11月の名古屋の「祇園の姉妹」も、川口の「元禄港歌」も終わり、いよいよお正月を迎える準備に忙しいというところでしょうか。(我々の正月は、まったく静かなものですが。)
「元禄港歌」は、10日と17日の2回見させていただきました。(いつも、初回に見る時は貴女ばかりを見ていて、ストーリーがわかりませんので、2回目にやっとストーリーがわかるといった具合です。/頭がわるいのかもしれませんが。)
来年は、NHK大河ドラマに出演されるので、久しぶりに大河ドラマを見てみようと思っております。恐らく録画撮りは、すでに終わっていることと想像して
最終更新:2005年11月07日 18:37