2009-08-11

オカモノアラガイに寄生したロイコクロリディウムの幼虫です。


目黒寄生虫館

目黒寄生虫館は世界で唯一の寄生虫を専門とする博物館です。小さなビルの1階と2階だけが一般に公開されており(3階から上は研究所)、様々な標本や模型が展示されています。入館料は無料です。

科教協埼玉大会の帰りに寄ってきました。私にとっては2回目の訪問です。

特別展示「寄生虫の巧妙な侵入戦略」

2009年9月27日までの特別展示は、ロイコクロリディウム(Leucochloridium)の宿主への特異な侵入戦略についてでした。

カタツムリに寄生したロイコクロリディウムの幼虫は、その行動を操って目立つところに移動させるだけでなく、カタツムリの眼に移動しそこで妖しく脈動します。その動きは芋虫のようで、目論見どおり鳥に食べられることで終宿主(鳥)への移動を果たすのです。その体内で成虫になると、鳥はロイコクロリディウムの卵を含む糞を落とし、それをカタツムリが餌とともに取り込むことで、感染サイクルが完成します。

そのおぞましさは有名で、以前からYouTubeなどの動画で見て、その存在を知っていたロイコクロリディウムですが、たまたま数日前に目黒寄生虫館の研究協力者の方が採集したとのことで、今回偶然にも生きた個体を見せていただくことができました。

白く霞んで見えるのは、シャーレ越しに撮影しているためです。オカモノアラガイの大きさは1cm程度で、こんなに小さいとは思っていませんでした。動画もご覧ください。


様々な展示標本

全長8.8mのサナダムシ

目黒寄生虫館の目玉展示と言えるのが全長8.8mのサナダムシの標本です。上の写真は、お母さんが展示に添えられた解説の漢字を小学生の息子に読んであげているところです。夏休みの自由研究でしょうか、彼は一生懸命ノートにメモを取っていました。

ちなみに、この標本の横には8.8mのリボンがぶら下げてあり、伸ばしてその長さを実感することができます。前回の訪問時、この展示に感動した私は、100円ショップの不織布テープ(幅3cm)を8.8mに切り取ったものを用意して、毎年の寄生の授業のときにそれを教室で広げて見せることにしています。

イルカの胃

こちらはイルカの胃に寄生したアニサキスです。アニサキスがヒトに感染すると、胃壁に穴を開けてもぐりこむので、大変な激痛を伴うようです。

サンマヒジキムシ

サンマヒジキムシはサンマに寄生する甲殻類です。魚は、よく探すと比較的簡単に寄生虫を見つけることができます。私は以前、エラに何かが寄生しているニジマスを釣り上げたことがあります。タイの口からタイノエが見つかる、という話も良く聞きます。

その他の展示

目黒寄生虫館には、ホルマリン標本のほかにポスター展示や蝋模型などもあります。山口左仲博士の精密なノートがケース入りで展示されていました。美しささえ感じる素晴らしい絵ですね。

魚の寄生虫をさがそう

夏休み中の日曜日ということもあってか、目黒寄生虫館はずいぶん混んでいました。

目黒寄生虫館では、夏休みの小中学生を対象に、寄生虫を探す実習「魚の寄生虫をさがそう」を開催しています。今年の募集はすでに終了しているようです。大人気のようですね。大人対象の実習も開催していただけないでしょうかね。




参考サイト


関連項目


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最終更新:2009年08月12日 07:22