「俺は小島。小島航(こじま こう)。
困った事があったら、相談してくれ。
…それと、あ、そうだ。兄はここの教師なんだ。
兄はすごく変な人だが、許してやってほしい。
…悪気だけは、絶対ない人だから」


「少しは、学校になれたのならいいけれど。
何かあったら、相談してくれ。
…ははっ。お前はそんな心配いらないか。
お前は、皆とは少し違うような気がする。
…兄が迷惑かけてないといいけれどね。
兄さんはいい人だけど、わかりにくいし、その…悪ノリする人だから」


「学兵…学生の身分のまま兵士。
準軍事組織として陸軍、あるいは海軍陸戦隊指揮下で活動…。
この道は、いつか来た道だね。
昔、人類同士で戦ってた時代も同じ事をやった」


「お前が来てから、ずいぶん変わったような気がする。
まだ、よくなったかどうかはわからないけれど。
そんな顔しないでくれ。俺は感謝してるんだから。
今の段階で何かがわかる方がおかしいんだよ」


「今、勉強が出来ない人のために
参考書みたいなのを作ってるんだ。

軍隊は変な用語の塊だらけだし、
それに学兵については文部省管轄だから、
用語があえて変えてあるところもあるしね…。

誰だってワケのわからないまま、
死ぬのは嫌だし、
出来れば生きたいと思ってる…。

だから、少しでも手助けしてみたいと、
思ってるんだ。」


「…? 今日?
うん、今日は補給関係をちょっと
手伝っててね。
弾不足で、みんな死にたくはないよね。」
(いよっ、優等生)
「………。
ああ、ありがとう。褒め言葉と取っておくよ」
(ありがとう)
航は、嬉しそうに微笑んだ。
「俺も死にたくないだけだよ。
俺は、臆病だから。」


「この雪が、俺達の味方になるといいんだけど。
…いや、もう味方なのかな。
こっちも戦車は使いにくいけど、元から数は少ない。
それに比べて向こうは沢山の中型幻獣を持っていて、そして戦場に出せない。
相対的に雪は味方…喜ぶべきなのかなあ」


「戦いで戦車が来ない時は、待てばいいと思うよ。
戦車というのは貴重品なんだ。この戦域では戦車は中央から応援要請によって呼ばれる事になっている。
手元に機動力のある戦車をおいて、危ない所に差し向けるわけだよ。
機動防御、つまり、火消しだ…。だから、戦車が来るのはいつも遅い。
…本当は、そういう使い方じゃいけないはずなんだけど。
攻撃して、戦いの主導権を握り、相手の領土でこそ戦争はするべきだ」


航の視線は鋭い。
鋭いというよりも、ひどく冷たく見える。
「…?
なに?」
(何を思いつめているの?)
「…え? 僕がかい?
…いや…、そういうつもりは
なかったんだけど。
ああ、でも俺はあんまり目は良くないんだ。
そのせいで目つきが悪く見えるのかも
知れないね。
…心配してくれて、ありがとう。
嬉しいよ。」
(気のせいだなと思うことにする)
あなたは何も言いませんでした。


「お前には、言ってもいいかな。
…笑わないよね。
…俺は兄さんみたいになりたいと思ってるんだ。
そういうと皆笑うけどね。
俺はあの人のように、自由に生きたい。
…他人に迷惑をかけるところまでは真似しようとは思わないけれど」


「俺の兄は、自由人なんだ。
今は教師をしているけど、たぶん、それは俺がいるからだよ。
…戦争も、国も関係ない。
幻獣とだって、手を結んでしまうかもしれない。そんな人だ。
これまでだって何度も幻獣共生派って疑われて検挙されているからね。
親は、あの人を恥だというけれど、俺はそう思わない。
親は俺の出世をどうこうとも言うけど、所詮は学兵だよ。
愛国心の強い使い捨ての駒の出世なんか、望めない…。
だから、いいんだ。兄さんはあのままで。
あの人には自由が似合っている」


「…本当の事を言えば俺にだって愛国心はある。
自分の生まれたこの国を守る事を、恥じる事もちゅうちょする事もない。
…でも…思うのは、政治家も官僚も、腐っている。
俺は国土を守るためには戦っても、彼らのために戦っているわけじゃない」


航は、暗がりからこちらを見ている。冷たい、表情だ。


「…覚えておいて欲しい。
周囲は俺をなんと言っているのかわからないけれど。
俺は、そんなに優等生でもないし、人がいいわけでもない。我慢強くもない。
…悪口を言われるのは嫌いだし…俺の好きな人が楽しそうに別の人の話をして平気でいられるほど大人でもない。
…俺は…皆が言うように完璧じゃないんだ…。それを知って欲しい」


航は、あなたを抱きしめた。
「…俺は…完璧じゃない。優等生でもないんだ。
だからこんな事もする…。
………。
ごめん」


航は、暗がりからこちらを見ている。無表情だ。


「………。
ああ、ごめん。考え事、してたんだ。
特に用がないなら、行ってもいいかな」
(なんで怒ってるの)
「俺が? まさか。怒るわけないじゃないか。
なぜ怒る必要があるんだ」
(ごめん)
「・・・気にしないでいい。
人間は、仲間が欲しいものだからね」


航は、こちらを見る事もなく、赤い瞳を揺らして離れていった。


「不幸な人って、どこにでも居るみたいだな。困ったものだよ」


あなたは、小島航の手を引っ張ると体育館裏へ連れ出しました。
「…なに?」
あなたは、手を輝かせると航を思いっきりぶんなぐった。
「………。
…な……なんて事するんだよ!
痛いじゃないか!
…は?
何があしきゆめは死んだだって。
いいかげんにしてくれ!
一体、君は何がやりたいんだ!」
(抱きつかれたお返し)
「……あ…。…それは…ごめん。
いや、でも、あの時嫌がられなかったし…」
  (うそうそ/ふぅん)
「……俺をからかって……。
俺は本気だったんだ。 いや、今も本気だけど。
頼むから他の人にいい顔しないでくれ。
俺はそれほど、強くないんだから」
(世界の危機をつぶしたのさ)
「俺の背中にそんな名前の虫でもいたって…?
もう、やめてくれ。ああ、まだひりひりする。
普通の生徒ならともかく優等生の俺を殴り倒すなんて……なんて……」
航は、しばらく考えて笑い始めた。
「いや、俺も普通の生徒か。
そうなりたいと思ってた事、すっかり忘れていたよ。
ははは、ごめんごめん。
そんなに怒らないで。
今度また殴ってくれよ。俺も、思いっきり殴り返すから」


「…その、ありがとう。
殴られていうのはなんだけど、感謝してる」


「…コラ!
そこ! なにやってるんだ!
自分のために勉強しろ!
…?
なに?
ああ、うん。
殴られて、頭のネジがいくつか、とんだみたいでね。
もう少し思っている事を言う事にしたんだ。
…それでも、人を殴るよりはずっといいだろ?」
(※イベントクリア)


航の笑顔は無防備で子供っぽい。
あなたはドキドキした。





(バッドED)
……あの日は、後味の悪い書類にサインした
後の事でしたから、良く覚えています。
(108警護師団に配属されていた指導員の手記より)

あなたが敵撤退を告げるラジオを聴きながらうとうとしていると、
空先生が、ひょっこり顔を出してきた。
空「……よう。
お前だけには、教えておこうと思ってな。
小島航は、死んだ。
というか、犯罪人として処罰された。
今まで何人も殺した幻獣共生派だったらしい。
俺も、疑われている。
まあ、無事じゃすまんだろうな。
……それだけだ。
じゃあな。俺は地下にもぐる」
空先生はあわただしく走っていった。
あなたは一人、呆然としている。
敵撤退を告げるラジオは、相変わらず流れていた。



(グッドED)
……まあ嬉しかったですよ。一日の間はね。
でも僕たちには戦争は終わったと言っても
次の戦争が待ってましたし。

(108警護師団に
   配属されていた学生兵の手記より)

あなたが敵撤退を告げるラジオを
聴きながらうとうとしていると、
小島 航がひょっこり顔を出してきた。
「なにやってるの。ぼーとして。
ほら、ペン。そしてノート。教科書は?
……もう。はい。はやくついてきて。
え、なんでって?受験だよ。受験勉強。
徴兵に選ばれてない組と比べて何ヶ月も
遅れているんだから、急がないと。
先生が特別カリキュラムで授業してくれるって。
よかったね。……え?良くない?
もう。ほら、僕とずっと一緒に勉強できるって
そう思わなきゃ。
ほら……
これで、少しやる気が出たでしょ。
じゃあがんばる。夜も教えてあげるから。
ふふふ。ちょっといい気分だな。僕。」


小島航 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2014年02月11日 02:09