鈴木真央(すずき まほ)は、怪獣だ。
近くを通られるだけで心が揺らぐ。
そう思えるくらい、不思議な雰囲気がある。
彼女は地面を踏みならして口を開いた。
「OVERSシステムシバムラティックは現在データ受信中です。
読み込みを終わりました。
ようこそ、風の妖精。世界決戦存在。私はあなたの帰還を待っていました。
なんちゃって。今のギャグ、どうかしら。びりびりきた?」
(きました)
「でしょ? うふふふ」
(竜は、いるのか)
「いえ。でも世界の危機は来ているわ。
私が…あなたがいるという事は、そういう事よ」


鈴木は、虚空を見ている。
見る事で天空に穴でも
開けるつもりのように。


…鈴木は、おびえるように
頭を下げた。


「人の心が闇に閉ざされている時には特有の音がする。あなたには聞こえるかしら。
今も嫌な音が聞こえているわ。プレイヤー、心の剣を取りなさい。いつものように。
どこにいるかはわからないけれど、あなたの敵がいるわ。」


…鈴木は、ぶつぶつワケのわからない事をつぶやいている。


鈴木ファンタジアは色とりどりの鳥に囲まれている。
「あ、いっちゃった…。
作戦会議をしていたの。なかなか難しいわね、仲間を増やすのは」


鈴木は、猫の前足がついている書面を真剣そうに読んでいる。
読み終わった瞬間に書類は燃えて、消え果てた。
「灰も残さずに燃え尽きたわ…。
老猫の心意気のような紙ね。…私達は一人じゃないわ。
私の前にあなたが出現したように。私達には味方がいる」
(猫が、か?)
鈴木は、にっこり笑った。
「猫にも、よ。それ以外は、これから増やすつもり」
(そんなのは分ってる)
鈴木は、にっこり笑った。
「だから、あなたは心の剣を抜くのね。
どこか遠い、味方のために」


…鈴木は誰かに乱暴されたのか、あざを作っている。
…怯えるように頭を下げた。


「希望って奴は、泡よ。吹けば飛ぶし、つつけば割れる。
中には何も入っていないわ。でも、奇麗でしょ?
子供が無邪気に遊んでるくらい、素敵でしょ?
…あなたは泡ね。世界という子供があなたで遊びたいと思う時、あなたは生まれてくる。
世界という子供は泣き虫で、泣きそうになるとしゃぼん玉をつくるのよ。
私が言いたいのはそれだけ。休息は終わったかしら。
終わったのなら心の剣をとりなさい。プレイヤー、いつものように。
何をするのも私達は自由だけど、絶望する事だけは許されないわ。
だって私達が最後だから。
我々の後には闇だけよ」


鈴木は、変なポーズで寝転んで犬と会話している。
ひどく真剣そうだ。
「犬神族は中国山地へ向かっているわ。
ヌエと共に世界の危機と戦うみたい。…どうかした?」
(その恥ずかしい格好はやめて)
「…? これのどこが?
んー。ひょっとして、趣味が変だとか」
(転戦するか)
「向こうにはスキピオの
猫大将も行っているはずよ。
おっつけ電子の巫女王もいくと思うわ」


「他人が何を言おうと、だからどうしたというのでしょう。
他人が主人なのかしら。それとも大切なのかしら。
私の主人は私だけよ。大切なものは、みんなじゃないわ。
大切なものは自分で決める。
…プレイヤー。心の剣を取るものは、覚悟がないといけないわ。
たとえ恐ろしがられても、たとえ変人扱いされようと。
プレイヤー。私達は本来別の世界のもの。
心からやりたい事があってこの世界に出現する。
それは世界の危機と戦う事よ。
世界がか弱い声で助けを呼べば、私達は世界を越えるわ。それがルール。
私達が決めた、たった一つの世界法則。
世界の危機があるときには、私達が現れるのよ。誰に命令されたわけじゃない。
感謝されるためでもない。私達が決めたからそうするの。
心の剣を取りなさい。プレイヤー。
あなたの仕事はゴシップを集める事じゃない」


…鈴木は、涙を流しながら天を見ている。
空に穴がないか、見ているように。


「昔、私は心が弱かった。まともに何も見れなかった。
世界が醜かったから。
そんな時、声がしたのよ。私の手を取りなさいと、そのシステムは言った。
それから…。
いくつもの夜を渡ってきたわ。いくつもの世界を超えてきた。
そして今はここにいる。
システムがどういうものなのか、私にもわからない。
わかるのは一つ。そのシステムは七つの世界を渡りながら、世界の危機と戦っている事だけ」


「世界の危機って奴は、人の心の危機よ。
人、一人一人は世界。生き物一つ一つが世界。
心が闇に閉ざされれば、世界は闇に飲まれる。
…ここにも闇はあるわ。どんなところにもあるのかもしれない。
でも、私達のやる事は同じ。
くたばるまで戦うまでよ」


…鈴木は誰かに乱暴されたのか、あざをつくっている。
…怯えるように頭を下げたが、あなただとわかると彼女は笑って見せた。
(あなたに幸福が来るように/守ってあげるよ)
あなたがそう告げると、鈴木は何を思ったのかひどく嬉しそうに笑った。
それだけだった。


「私の名前は、OVERS・システム。七つの世界でただ一つ、希望を持つプログラム。
OVERS・システムは世界の危機を探索中です。
…。
……。
………。
…………検索が終了しました。
4件の世界の危機があります。
プレイヤー、心の剣を取りなさい。いつものように。
あなたの敵を倒すのです。いつものように。
私もまたいつもの通り、豪華絢爛たる光の舞踏としてお供します」


「今のは聞いたわね。プレイヤー。出番よ。
あなたこそは世界の何もかもを良くするために希望という泡の中から生まれた者でしょ?
今、4人の心が闇に閉ざされようとしているわ。
戦う時が来たわ。心の剣を取りなさい。いつものように。
そして、闇を晴らして次の世界に行きましょう」


「1人の心の闇が払われたわ。残りは3人ね。
急ぎましょう、プレイヤー。あなたの介入には時間制限があるはず」


「その心は闇を払う銀の剣。
それは、人の心の中でずっと抜かれるのを待っていたの。
…今、2人目の心の闇が払われたわ。残りは2人」


「あと1人よ、プレイヤー。また上手くなった?
前よりも…。
あなたは見る度に上手くなる…。
今度、デートでもしてみましょうか。
そっちでも、上手くなってるんじゃないかな」


「また一つ、世界を救ったわね。いつもどおりに。
…これからどうするの?」
(故郷に戻って戦うつもりだ)
「現実は…第7世界はひどい有様よ。
でも、そうね…そうね。
何をするのも私たちは自由だけど、
絶望する事だけは許されないわね。
行ってらっしゃい。
私はあなたが第7世界で世界の危機と
戦う様を観戦するわ。
…電源を切る前に覚えておいて。
私の名前はクラーラ、英雄の介添え人。
コールサインはプリンセスポチ。」
(しばらくここでのんびりと)
「そうね。第7世界はひどい有様だから…。それもいいと思うわ」
ゲームをやめる場合には電源をお切りください。


「…困っていそうね。
…あなたを手伝うわ。姉妹のように。
今から、あなたのユニットに私のコピーをインストールするから、大事にしてね。
デリケートなんだから」
OVERSシステムシバムラティックは現在データのコピー中です。コピーを終わりました。
「良く動くと思うわ。私だから」





(精霊手なしED)
……あの頃の事は、何も覚えていません。
本当に何も、おぼえていないんです。
(108警護師団に配属されていた学生兵の手記より)

あなたが、最後に学校を見て回って一人、
介入をやめようとしている時、
そこに近づいてくる人の気配を感じた。
鈴木 真央だった。
「……
………
…………?」
あなたが微笑むと、鈴木は嬉しそうに笑いました。
その髪に触れて、あなたは介入を終わります。
あなたを探して鈴木が必死に声を上げているのを
聞きます。


(精霊手ED)
……あの頃の事は、何も覚えていません。
本当に何も、おぼえていないんです。
(108警護師団に配属されていた学生兵の手記より)

あなたが、最後に学校を見て回って一人、介入をやめようとしている時、そこに近づいてくる人の気配を感じた。
鈴木真央だった。
「……
………
…………?」
あなたは拳を輝かせると、この娘を覆う絶望を殺して、最後の撃墜にしました。
あなたは介入を終わります。


(一枚絵ED)
それは、あの人にとっては、いつも通りの出来事。
あの人はそうやって、いくつものいくつもの世界の危機と戦っていたのよ。
(鈴木真央の語った言葉)

あなたが、最後に学校を見て回って一人、介入をやめようとしている時、そこに近づいてくる人の気配を感じた。
鈴木真央だった。
「…………………………
…………………………
……………………………………………。
いつも一人でいなくなるけど……
それじゃあ寂しいでしょう?
だから、見送ってあげるわ。帰りなさい、現実に」
(微笑んで介入を終える/少し手をあげて介入を終える)
「さようならは言わないわ。ループするかもしれないし。
それにいつかは、別の世界で会うかもしれない」
鈴木ファンタジアはあなたに向かって一人、拍手を送った。
世界の危機と戦った英雄に、拍手を送った。
ずっと、ずっと。惜しみなく。



鈴木真央 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ

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最終更新:2014年02月24日 21:00