日々是栄和

【 棒テン理論 】 そのⅳ

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【 棒テン理論 】 そのⅳ

 
 【 棒テン理論 】編、第4回。
 今回は「 序盤における牌の切り方 」をみてみよう。

 前回の雑考で、


 ④⑥ > ⑤ > ③⑦ > ②⑧ > ①⑨ > 字牌


 という牌の利用率が明確となった。


 では以下の配牌のような状況では第1打に何を切るべきだろうか。


 配牌 :

  ツモ 


 忠実な方はここで    を選択するかもしれない。


 しかし、ちょっとお待ちを。


 そもそも【 棒テン 】の目的は何であったか。
 それは「 先制攻撃 」である、という説明があった。
 逆に言うと、「 先制されてしまっては【 棒テン 】は成り立たない 」と言える。


 「 先制された状態 」というものを整理してみよう。


 ○ 早いリーチがかかってしまった
 ○ 役牌をポンされ、中張牌を切られ始めた
 ○ 中張牌をチーし始め、【 クイタン 】模様が見られる


 この3点であろうか。


 つまり、【 棒テン 】にとって相性が悪い戦法というものは【 鳴き麻雀 】である。
 下手な鳴きならば恐れることはない。リーチでどんどんプレッシャーをかけよう。
 しかし上手い鳴きには【 棒テン 】の長所を消されてしまう。
 「 最速 」を目指す【 棒テン 】にとって、より速い【 鳴き麻雀 】は苦手である。

 よって、【 鳴き麻雀 】にアシストしてしまう序盤の字牌切りは、細心の注意を払わなければならない。


 それによって牌効率は悪くならないか?


 その疑問はYesである。実際には悪くなることが往々にしてある。
 だが目的は「 最速で和了すること 」である。
 他家に和了られていては当然自分で和了ることはできない。
 よって、序盤は「 字牌を絞る 」ことを頭の片隅に必ず置いておく。手の内の方向性が見えてきたら一気に進もう。


 では「 字牌の絞り 」とはいったいどうやって行うのか。

 まずは字牌それぞれの利用価値をみてみよう。


 字牌には以下の7種類がある。


       


 この中で、東風戦ということに限定すると、最も価値の高い牌は  である。
  は【 場風 】となり、誰でも一翻がつく。そればかりでなく、親の【 自風 】でもあり、このときは合わせて二翻になる。
 ただでさえ連荘させてはいけない親に対して、  をアシストするということははっきり言って自殺行為である。

  のみでも2,900点、ドラが一個でもあればもう5,800点である。


 よって、  がまず優先順位のトップになる。


 続いて利用価値が高い牌は    の三元牌である。これらもだれでも一翻がつく。

 そして残りの    ということになるが、この中での順位はあるだろうか。

 あなたが仮に親でない場合、    の中の一つがあなたの【 自風 】となる。
 

 仮に北家だったとしよう。

 この場合、  は他家にとって「 必ずオタ風 」になる。  を使えるのは北家であるあなただけだからだ。

 よって、他家にとって最も利用価値が低い字牌はあなたの自風ということになる。
 ただしあなたが親の場合は  が自風になるのでこれは三元牌と同じ価値になる点に注意。


 よって、


  >    > 自風以外の    > 自風


 という不等式が成り立つ。念を押すがこれはあくまで「 字牌絞り 」という点に関してである。


 親の場合は、


        


 となり、若干わかりやすい。親とは、こういう点でも恵まれている。


 以上の優先順位において、字牌の初牌を切らなければならないときは切っていく。
 重要なのはこの【 初牌 】である。


 【 初牌 】とは、まだ一枚も切られていない牌のことで、数牌のことも指すが、一般的には字牌において使われる。

 【 ションパイ 】とか【 生牌 】などとも言う。


 【 鳴き麻雀 】を選択した打ち手はこの字牌をポンしたくてウズウズしているのである。
 そこにさも餌を与えるかのように字牌を無造作に投げ出すことはよろしい選択とは言えない。
 「 相手が欲しい牌を鳴かせるとツキが落ちる 」というオカルトチックな言説を、僕は信じる。


 しかし切らなければ聴牌には近づかないわけで、ここに工夫が必要となる。
 その最も一般的な工夫とは【 合わせ打ち 】である。


 【 合わせ打ち 】とは、ある他家が切った牌を同巡内に切ることである。
 例えば、対面が  を捨てた次の自分の番に、手持ちの  を捨てること。
 対面が  を捨てたときに鳴かれなかったとすれば、  をポンされる可能性は低くなる。


 この場合、自分で捨てた2枚目の  の方がポンされる可能性は


 ○ 上家が一枚  を持っており、対面が捨てた次にもう一枚  をツモった
 ○ 上家もしくは下家が二枚の  を持っていたが、何らかの理由により鳴きを見送った


 の2点である。


 前者の場合はもう致し方がない。最大限の努力はしたであろう。
 後者の方は逆にチャンスである。


 後者のポンをした打ち手の心理状況を分析すると、


 ○ 一枚目の  が捨てられた際には何らかの理由があってポンしなかった
 ○ しかし、二枚目の  を見逃すと大幅に手が遅れるか進路変更を余儀なくされる


 という状況がわかる。特に前者の「 何らかの理由 」というものは、


 ○ 鳴いても他の面子がまだ整っていない
 ○ 鳴かなければ手が高くなる可能性が高い
 ○ 雀頭、チートイツなど、対子での使い道も捨てきれない


 の概ね3点が挙げられる。つまり「 苦しい状況 」に立っているわけである。


 ということがわかるのが【 合わせ打ち 】の利点である。
 字牌を切る場合はこういった工夫を活用する。


 では例に戻ってみよう。


 他家が  も  も  も切っていない第1打。
 優先順位に従って  か  切りだろうか。


 ここでもう一つ利用価値の低い牌がある。
 それは端牌、つまり①⑨牌である。


 まず単純に、役牌を鳴かれるよりは端牌を鳴かれた方がデメリットは少ないこと。
 そしてもう一つ、【 筋牌 】という考え方があり、これを避けるために早めに端牌を処分する。


 以上の2点の理由により、字牌の初牌よりも先に端牌を処理する。


 では【 筋牌 】とは何か。


 以前の麻雀雑考【 安全牌編 】で【 スジ 】について言及した。
 簡単におさらいすると、


 ○  ・・・   が表スジ
 ○  ・・・   が表スジ
 ○  ・・・   が表スジ


 となる。


 この筋に当たる、たとえば  と  を同時に持つことは危険である。
 仮に他家のリーチが来た場合、その待ちが   だとすると、どちらを切っても振込みになる。
 

 そのために、筋牌のうち利用価値のない方を早めに切るのである。
 この場合は  を切る。  は塔子になる可能性が  よりもはるかに高いからだ。


 これらの条件を当てはめていくと、例における第1打は  が正解となる。
 2巡目以降、他家が    を切った場合、【 合わせ打ち 】を行って様子を見よう。


 さて、ここまで見てきたがおわかりだろうか。


 勘の良い方は「  はどうなの? 」と思われるかもしれない。
 だがこの状態で  をいきなり切ってしまう人は牌効率が悪い人である。

  を中心にして考えてみよう。

 1.  が塔子になる牌
      対子になる  も含める

 2.  が塔子にならない牌
     


 となる。


 さて、では  とあったときに  をツモったことを考えると、


 


 となり、  となっただけでは使えない  が使える牌に変身する。


 このときの  を両嵌【 リャンカン 】と言い、これはリャンメンに匹敵する(2種8枚)良い塔子である。

 その真ん中のない状態、 を【 両嵌の渡り 】と言う。
 これは同じ端牌でも、   の筋牌とは違って使える牌なのだ。

 もちろん  を先に引けば  は不要な牌になる。そのとき改めて切れば良い。
 
 よって優先順位は


  >  >   > 


 くらいになる。場合によってこれは前後するので場の状況はよく観察することだ。


 では今度は逆の例を見てみよう。


 例 :

  ツモ 


 似たような手であるがだいぶ違う。かなり良形の3シャンテンである。


 個人的な判断基準を持つべきだとは思うが、自分の手が非常に速く和了りが見込める場合は
 先ほどの字牌絞りを行わず、まっすぐに聴牌に向かった方が良い。
 仮に字牌を鳴かれてもスピードで勝負になると思えるからだ。


 こういった勝負どころの手は、自身のツキを使ってでも勝負に行くべきである。

 僕個人としては、
 
 その基準は配牌が3シャンテン程度であった場合


 であると思っている。逆に、配牌で3シャンテン程度でなければ、【 棒テン 】は威力を発揮できない。持ち味であるスピードが生かせないからだ。


 よってここでは  を切る。第1打をポンされると萎えるが、めげずに勝負にいきたい。


 1~6巡程度をその局の序盤だとすると、8割方はその巡目で局の方向性が決まる。
 序盤の切り方が下手な打ち手は大成しない。なぜなら不調なときにさらに不調に陥るような打ち方になりやすいからだ。


 一昔前までは【 棒テン 】は「 自分独りで麻雀をやっている 」と思われがちであった。
 しかし現代棒テンはそうではない。きめ細やかな「 場の支配 」を行って初めて本来の力が発揮できる戦法である。


 カウンター型の【 廻し打ち戦法 】、肉を切らせて骨を断つ【 高め重視 】、蝶のように舞い蜂のように刺す【 鳴き麻雀 】と並ぶ、

 現代を代表する戦法の一つである。


 次回は【 棒テン 】に複合させるべき役を考察してみよう。


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