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【 棒テン理論 】 そのⅴ

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【 棒テン理論 】 そのⅴ

 
 【 棒テン理論 】編、第5回。今回は【 棒テン 】と組み合わされる【 役 】について考察してみよう。

 そもそも【 棒テン 】と【 手役志向 】はどのようなスタンスの違いがあるのか。
 ごく大雑把だが分類してみよう。


 1.【 棒テン 】

 
 相手より先んじて攻撃することにより、他家の行動を制限する。
 得点力も重んじるが、スピードを重視する。防御はあまり重視しない。


 2.【 手役志向 】
 

 必要な得点を必要な状態で得ることを目的とする。
 相手への先制、得点力の不足をリーチで補う場合もあるが、あくまで付加的な戦術である。
 ダマテンを基本とし、防御とのバランスを重視する。


 ざっとこんな感じである。
 どちらがいいとか悪いとかの問題ではなく、打ち手であれば、状況に応じて両方出来なければならない。


 単純に【 棒テン 】風の「 リーチばかりかける打ち手 」を見かけるが、これはおそらく役を知らないか、考えるのが面倒くさいかのどちらかであろう。
 ツキがあるときは和了れるが、そうでない時は放銃が多くなる。よって好不調の波が激しい。
 

 また、手役を重視するあまり、「 役に溺れる 」打ち手が中級者には多い。高目や珍しい役に固執するあまり、

 スピードを台無しにして勝機を逃し、ツモられ貧乏になることが往々にしてある。
 

 使い古された言葉だが、「 和了れない役満より和了れる1,000点 」という言葉はある面で正しい。

 麻雀は和了することが目的ではなく、勝つことが目的だからだ。


 それぞれの長所短所がわかったところで、【 棒テン 】に【 手役 】を活用するメリットは何であろうか。

 簡単に挙げると、


 1.得点力の付加
 2.先制された場合のフォロー
 3.【 廻し打ち 】への変化


 この3点に要約できる。それぞれみてみよう。


 1.はもちろん得点力のアップを狙ったものである。
 

 【 棒テン 】は【 リーチ 】および【 ツモ 】、もしくは【 イッパツ 】【 ウラドラ 】が得点源である。もちろん赤牌や表・カンドラも考慮する。

 が、それらにプラス、【 手役 】が加われば得点力は大幅に伸びる。ここ一番での破壊力が欲しい時には【 手役 】を睨んだ

 【 棒テン 】が効果を発揮するだろう。


 2.が最大の狙いといっても過言ではない。
 

 【 棒テン 】で必ず先制出来ればそれに越したことはないが、4人で行うゲームである以上、そういった状況は限られている。


 そこで、先制された際に、


 a. 相手のリーチを利用して、ダマテンで和了する
 b. 相手の大きそうな手を【 蹴る 】ために、鳴いて対抗する


 の二つに変化させる。そのために【 手役 】をある程度志向する。


 a.は【 現張り 】など、リーチ者の捨て牌に自分の和了牌が含まれる場合、ダマテンで和了する確率を上げること。

 必ずしも他家が出してくれるとは限らないが、こちらもリーチで対抗した場合は紛れる結果になることがある。

 2者がオリて、リーチしたもの同士のめくりあい勝負になるからだ。
  

 もちろん【 めくり合い 】も重要な戦術だが、そうでない戦術も知っておいて損はない。


 b.は【 棒テン 】を諦め、安い手で和了を狙い、リーチ者が得点を得られないようにする戦術。
 単純に【 棒テン 】だけを進めていると、鳴いて和了することは出来ない。役がないからだ。
 そこに【 手役 】を絡めると、得点は低いが和了できる点がポイント。
 自分のプラス得点よりも、相手からのダメージを減らすという観点で手作りをするのが重要。
 この辺りは別途戦略論で書こうかと考えている。


 そして3.であるが、これは下記に例を。



 


 このような手で聴牌しているところに、親よりリーチがかかる。で、


    ツモ


 切りづらいところを持ってきた。
 ツモ切りリーチももちろん戦術の一つだが、そればかりでは能がない。
 

 ここでは  →  →  と切り、手を【 タンヤオ 】に持っていく。
 

  と  で面子が出来てくれば勝負である。



 これが【 廻し打ち 】の例である。


 【 廻し打ち 】はそれだけで一冊の本が書けるのでここでは割愛する。
 実は僕は、この【 廻し打ち 】が自分の本来的なスタイルであると認識しているが、もちろんこれだけでは勝てない。

 だからこそ、色々な戦術を駆使するのである。


 これまでの論説をまとめてみると、【 棒テン 】に手役を絡める意味がおわかりかと思う。

 では、どういった役を【 棒テン 】では狙うべきだろうか。


 前回までの雑考、および今回の考察を踏まえると、結論的には【 タンヤオ 】になる。


 その理由はまず、


 1. ④⑥ > ⑤ > ③⑦ > ②⑧ > ①⑨ > 字牌
  という牌の優先順位の序列が、そのまま【 タンヤオ 】を作る際の牌の優先順位にあてはまる


 2. 赤牌・表ドラといった、【 棒テン 】での得点ソースとの相性が非常に良い


 3. ダマテンはもちろん、鳴いて【 食いタン 】に変化できる


 という3点に尽きる。これらは改めて説明する必要もないだろう。
 また、リャンメン待ちにもごく普通に対応が利くし、何と言っても作りやすいのが特徴である。


 他に面前で作りやすい役の代表として【 ピンフ 】があるが、こちらは【 タンヤオ 】に一歩譲る。それは、【 ツモ 】での得点の差に由来する。


 【 ピンフ 】は副底20符のみの役なので、ツモ和了の際に点数が通常と異なる。
 【 タンヤオ 】と比較してみよう。


 a. 【 リーチ 】【 ピンフ 】【 ツモ 】
  子の場合 : 1,300点 - 700点 ( 計 2,700点 )
  親の場合 : 1,300点      ( 計 3,900点 )


 b. 【 リーチ 】【 タンヤオ 】【 ツモ 】
  子の場合 : 2,000点 - 1,000点( 計 4,000点 )
  親の場合 : 2,000点      ( 計 6,000点 )


 というわけで、得点に35%ほどの開きが出るのである。
 5翻以上ある場合はマンガンになるので同じだが、それ以下の場合は、やはり【 ピンフ 】は【 タンヤオ 】に【 棒テン 】との相性で劣るといえる。
 【 ピンフ 】がオ-ラス逆転に不向きなのもこういった理由からである。


 逆に、【 棒テン 】との組み合わせが不向きな役を挙げてみよう。


 1. 鳴かずに作ることが難しい役
 例 : 【 トイトイ 】、【 ヤクハイ 】など


 2. 捨て牌に著しく手の傾向が現れる役
 例 : 【 ホンイツ 】、【 チャンタ 】など


 3. 狙うと牌効率が著しく落ちる役
 例 : 【 チートイツ 】、【 イッツー 】など


 こう見ると、あまり【 棒テン 】との相性の良い役というものは少ない。


 ここに出ていない役で【 サンショク 】は念頭に入れても可、という程度。スピードを犠牲にしてまでは狙うべきではない。
 【 イーペーコ 】は複合面子になりやすい関係上良く見かけるが、これもどちらかというと偶然の産物で満足すべきである。

 ある意味、【 ヤクハイ 】の暗刻程度と同じ扱いで良いと思う。


 長くなったが、一つだけ実戦例をみてみよう。


 【 例① 】
    ツモ


 待望の聴牌である。  切りでリーチか。


 ここまでの雑考をご覧になっている方はそんなことはしないであろう。
 まずもって待ちがリャンメンではないし、点数もリーチのみで低い。


 ここは  切りで【 タンヤオ 】を志向しつつイーシャンテン継続。
 

      で好形の待ちになり、これはもう勝負である。
    でもまずまず。  だと厄介だが、その場合はツモ切りでいいだろう。


 この  を切った後、すぐさま  をツモる場合ももちろんある。
 それをハンゲのせいにするのは簡単だが、ここは自分のツキの具合をじっと測る材料にしよう。
 手順さえきちんとしていれば、一つ二つのミスは大局に影響を及ぼさない。
 ここでリーチを急ぐあまり  を切る方が、僕は禍根を残す打ち方であると信じている。


 実戦では  切り数巡後、  をツモりリーチ、イッパツで  をツモった。軽くハネマンである。
 そういったことは滅多にないが、その後の連勝に大きく貢献した一手であったと言える。


 次回から、いよいよ個別面子での牌効率を詳しくみてみよう。


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