日々是栄和
麻雀 Column - 2 - 完先排斥論
最終更新：
匿名ユーザー
Column － 2 －
しばらく後になってから書こうと思ったﾃｰﾏだが、最近思うところもあるのでここで書いてしまおう。
「 こういう場合、完先だと和了れるんですか？ 」という質問をよく受ける。
それに対し僕は、
「 完先はﾛｰｶﾙﾙｰﾙなので打つ人同士で確認してください 」と答えることにしている。
【 完先 】【 ﾅｼﾅｼ 】【 先付け 】など呼び名は様々で、その内容も微妙に違うのであるが、
僕としてはそれらはすべて同じものであると考えている。
つまりそれらはすべて【 麻雀のﾛｰｶﾙﾙｰﾙ 】である。
簡単に説明すると、これらのﾙｰﾙは和了時にすでに役が確定していることを必要とする。
もっとも厳しいﾙｰﾙに準拠すると、
１． 片和了厳禁
２． 役を確定しない鳴きを先に行うこと厳禁
３． ﾊｲﾃｲなどの条件役厳禁
４． 待ちによる複数の役選択の禁止
５． 形式聴牌の禁止
となっている。
そして厄介なことは、これらの基準が非常に曖昧で、極端に言えば打つたびに確認しなければならない。
多少緩い条件もあればこれよりも厳しい場合もある。
よって、かなり揉める。
知らないもの同士が打つﾌﾘｰ雀荘で、この完先ﾙｰﾙが採用されていることはあまりない。
一部地域には存在するが、それはその雀荘のﾛｰｶﾙﾙｰﾙで打つ、ということが明記されているわけだ。
僕は率先して完先で打つことはないが、以前にﾊﾝｹﾞで部屋に入り、ｹﾞｰﾑｽﾀｰﾄ直後、部屋主の女性に
「 完先でお願いします ペコリ(o_ _)ｏ)) 」
と急に言われ戸惑ったことがある。
先に言えよ、とやんわりと諭すと、
「 場が荒れるのが嫌なので 」
ということであった。
もうｽﾀｰﾄしてしまったことでもあるし、一回だけにしようとｼﾌﾞｼﾌﾞ始める。僕は起家で、第一打 中
すると北家の部屋主の女性が、
「 カン! (￣口￣)ノ ≡圃 圃圃圃 」
。。。場が荒れるのが嫌だっていったのはどこのどいつだ。
この例を見てみると、
完先 ≠ 場が荒れない
ではないことがおわかりだろう。もちろん、
鳴きを多用 ≠ 場が荒れる
ではないし、
鳴きがない ≠ 場が荒れない
でもない。
【 場が荒れる 】ということは本論とかけ離れてくるので別の機会に譲る。
つまり、このときの部屋主の気持ちを代弁すると、
『 他人に場を荒らされるのは心外だが、自分が場を荒らすのはお構いなし 』
なのである。
【 完先 】というﾙｰﾙは非常にﾛｰｶﾙで、多種多様な解釈がある。
極端に言えば打っている4人にしか理解できないﾙｰﾙである可能性もあるわけだ。
これはどういうことかというと、
『 主張した人間が勝つ 』
というﾙｰﾙであること。もっと極論すれば、
麻雀の知識がある打ち手 ＞ 麻雀の知識がない打ち手
という不等式のもとに成り立つﾙｰﾙなのだ。
それは【 完先 】というﾙｰﾙの発生源をひもといてみるとよく理解できる。
【 完先 】ﾙｰﾙは昭和30年代、まだ全自動卓が普及する以前に生まれたといわれる。
その内容は、麻雀の【 一翻縛り 】を拡大解釈したもので、和了時に一翻ではなく、聴牌時に
一翻なければいけない、というものである。
このﾙｰﾙの普及は、ﾌﾟﾛの賭博師、いわゆるｺﾞﾄ師といわれる人種によって一般に広まった。
ﾂﾐｺﾐを行うｺﾞﾄ師は、初心者麻雀人口が爆発的に増えたこの年代、ﾂﾓ山を安易にずらされないよう、
鳴いての和了に厳しすぎるほどの制限をつけたことが始まりだといえる。
ｺﾞﾄ師たちは豊富な知識をかさにきて、初心者たちに自分の仕事がやりやすいよう教育していった。
これが当時広まった【 ﾘｰﾁ 】全盛と重なり、面前主義台頭時代がやってくることになるのである。
要するに、【 完先 】とは非常にﾜｶﾞﾏﾏなﾙｰﾙなのだ。
単純に通常のﾙｰﾙと比較しても、
○ 他家の手が制約を受けるため読みやすい
○ 廻し打ちがしにくいのできちんと先行したものが和了りやすい
○ 片和了等を防ぐためにﾘｰﾁが増える
と、【 考えることが極端に少なくなる 】のだ。
よって一般に言われるように、『 初心者のうちは完先ﾙｰﾙで手作りを覚えた方が良い 』という
意見に僕は反対である。
初心者の方にこそ麻雀のﾀﾞｲﾅﾐｯｸな展開を味わって欲しいと思う。
僕自身は【 完先 】ﾙｰﾙも得意な方ではあるし、どんなﾙｰﾙでも勝てるようになりたいとは思う。
しかし、【 完先 】ﾙｰﾙに馴染みすぎると麻雀が小さくなる。
完先ﾙｰﾙを守ることよりも、狙った後付で和了る方がはるかに難しいからだ。
家族麻雀で楽しむ分には結構だが、不特定多数の人間と打つ場合にはやめておいた方が無難なﾙｰﾙである。
