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【 ベタオリ論 】 そのⅰ

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【 ベタオリ論 】 そのⅰ 


 本稿では麻雀の守備面である『 ベタオリ 』について考察してみよう。
 今回は『 ベタオリ論 』における総論である。
 
 『 和了るのは運。振り込まないのがウデ 』と一般的には言われている。
 僕も総論としては賛成である。派閥政治みたいで嫌な表現だけど。
 
 勝てない初心者にとって、最初にぶつかる壁がこの守備である。
 攻撃のスタイルだけで勝ち越そうとしても、その場合相当に牌効率や手役への伸びに長けていない限り無理である。
 
 『 3,900振り込んでもマンガンツモれば勝てる 』とは威勢のいい言葉だが、振込みは避けうるしツモ和了出来るかどうかは不確定だ。
 親のリーチに対してドラなしリーチのみ1,300点の手でガシガシ突っ込んで、挙句の果てに当たり牌を掴んで
 メンタンピンドラ1の11,600に放銃し、親との点差が離れてしまった他家の迷惑など顧みずに
 「 もぉ~ツイてないなぁ 」などとほざいている初心者を見ると、怒り心頭を通り越して微笑ましくすらある。
 
 そりゃツイてないのではなくて、ウデが悪いのです。
 
 もちろん絶対に振り込まない人はいない。いるとすればそれは『 兎 』のような特殊能力を
 身に付けた人であるし、例えそんな特殊能力のない凡夫である我々も、勘の冴えてる時はピタリと
 当たり牌がわかったりするときもあるのではあるが、毎回毎回そんなギフトに恵まれるわけもなく、
 仮に当たり牌がわかったところでそれらを利用して和了できるスキルがなければ何の意味もなさない
 のであり、そんな特殊スキルをちまちまと習熟するよりはさっさと守備力を上げた方が勝敗に何倍も影響する。
 
 よって守備力の向上を目指すことになるのである。
 
 先制された場合にとり得る行動は以下。
 
 ○ 全ツッパ
 ○ 一部ツッパ
 ○ ベタオリ
 ○ 廻し打ち
 ○ 差込み
 
 簡単に説明してみよう。
 
 ○ 全ツッパ
 
 その局、その状況において、仮に振込みのリスクを負ってでも和了に向かう打ち方。
 よって手牌に不必要な牌は危険度に関係なくすべて切られる。
 基本的には手の中身を変えることなく最終形まで向かうこと。
 最終形で聴牌した場合はリーチということも多い。
 勘違いしないで欲しいのが、全ツッパとは毎回向かうから全ツッパ、ではないこと。
 毎回毎回ツッパっていくのはただの馬鹿です。そういう人は㌧㌧とでも麻雀しててください。
 逆に絶対にツッパって来ない人は、上手いかもしれないが怖くはない。
 きちんと守備ができる人がツッパるから先制者は怖いんですよ。
 
 ○ 一部ツッパ
 
 「 ドラ以外はツッパ 」「 ソウズ以外はツッパ 」など、通す牌に制限を設けたもの。
 何気に強力な手段ではあるが、制限根拠に「 読み 」を要するし、そうである以上外れる可能性も高いのであまりオススメできない。
 初心者がミエミエのメンホン手でリーチをかけてきたときなど、ごく一部の状況でしか使用しない。
 
 ○ ベタオリ
 
 本稿の主旨である。詳細は後述。
 
 ○ 廻し打ち
 
 一般的には、通りそうな牌を切りつつ手を育てることで、真っ直ぐ和了に向かうわけではないが、和了も諦めない、というもの。
 僕の勝手な分類ではあるが、一般的な意味でのこの『 廻し打ち 』は単に『 様子見 』である。

 本来的な『 廻し打ち 』とは、手牌の一部を『 受け 』に廻し、なおかつ自然な手牌構成にする打ち方を『 廻し打ち 』という。

 先制されてから安全牌を切り出す打ち方は『 廻し打ち 』ではない。『 廻し打ち 』は守備ではなく攻撃の手段である。

 これは戦術論で詳しく記述する。

 では『 様子見 』的廻し打ちの場合はどうなるのか。
 この場合は比較的安全かつ手牌構成にも他での代用が効く牌を切り、様子を見る。
 だが最終的には『 ツッパ 』か『 ベタオリ 』の判断を余儀なくされる。
 きちんと廻す技術は重要であるが、不必要なまでにすぐ廻す打ち手はまったく怖くない。
 初心者の『 何が何でも全部ツッパ 』の方が余程怖い。
 
 ○ 差込み
 
 あまりお目にかかることはないであろう。『 差込み 』とは『 わざと放銃すること 』である。
 何のメリットもなさそうではあるが、高い手を聴牌している打ち手を避け、安い手に放銃することを指す。
 僕は師匠にあたる人物に何度もこの『 差込み 』をされ、手を阻害された経験がある。
 どちらかというと麻雀の競技的な面では活躍する場がない。
 高い手を用意している先制者に対して、きちんと蹴り手を用意している他家がいることは稀である。
 その蹴り手に対し放銃できる牌を持っていることはさらに稀である。
 よって『 差込み 』とは、博打としての一面でのみ有効な手段である。
 
 ここまでおわかりであろうか。
 
 さて、この上記4つの選択よりもはるかに重要度が高いのが『 ベタオリ 』である。
 ではその定義をしてみよう。
 
 『 ベタオリ 』の要点は、
 
 ○ 和了に向かわず
 ○ 放銃しないことを最善の目的とし
 ○ 失点を最小限にとどめるのを次善の目的とする行為
 
 である。
 
 では各論を見てみよう。
 
 ○ 和了にむかわず
 
 『 ベタオリ 』を選択した際には、和了は諦めなければならない。
 安全にオリるためには、完成した面子や暗刻、待ちに待っていたカンチャンのツモであっても切る。
 これは絶対条件である。
 
 『 ベタオリ 』は手牌に未練を残してはいけない。
 
 『 ベタオリ 』を選択した以上、その最大目的は放銃しないことである。
 仮にポンポンとドラが暗刻になるような事態になっても、絶対に和了に向かってはいけない。
 極端に言えば、聴牌しても和了に向かってはいけない。
 オリると決めた以上全力でオリるのだ。中途半端は何事にもよろしくない。
 
 振り込んだときに『 聴牌してたから 』という言い訳をする打ち手がいるが、聴牌していてもオリることは出来る。
 きちんと『 勝負に行ったから 』と言える判断基準を持とう。
 
 ○ 放銃しないことを最善の目的とし
 
 オリて振り込むことほど馬鹿らしいことはない。
 であれば和了の可能性があるツッパの方が何倍もマシである。
 
 よって前項でも説明したが、『 ベタオリ 』の最大目的は『 放銃しないこと 』である。
 そのための方法論は次稿より詳細を考察していくが、放銃しないレベルにも状況別によってに違いがある。
 
 和了期待点によってはもちろん勝負に行かなければならないこともあるが、一般に放銃には百害あって一利もない。

 先ほど説明した『 差込み 』等の特例はあるが、それでも放銃しないで済めばそれに越したことはないのである。
 
 以上の点を鑑みて、『 ベタオリ 』では全力を持って放銃を回避しなければならない。
 これは和了のための手作りよりも難しいことである。
 
 ○ 失点を最小限にとどめるのを次善の目的とする
 
 『 ベタオリ 』を選択した際の「 歓迎すべき状況 」を順位付けしてみよう。
 
 1. 他家が放銃する             失点 0点
 2. 流局                    失点 1,000点~3,000点
 3. 先制者ツモ和了              失点 x 点
 4. 複数の先制者のうち安い方に放銃  失点 y 点
 5. 複数の先制者のうち高い方に放銃  失点 z 点
 
 当然ながら z > y > x である。
 
 他家が放銃することによってトンでしまい、順位が確定されてしまうとか、リーヅモゴットーでノーテン罰符よりも安く済んだなんてことはあるが、

 基本的にこの優先順位でより高い失点を回避する。
 
 この中の4.と5.については、先制者の正確な和了点が把握できない以上、状況による判断を下さざるを得ない。
 
 つまりどういうことかというと、
 
 ○ 複数の先制者が存在した場合、より振り込んではいけない相手に対し優先してオリる
 
 ということである。
 
 最高3人の聴牌を完璧に回避することは困難である。
 放銃がゼロの人間はいないのだ。
 
 そうである以上、なるべく次局の戦いに向けて、取り返しが付く状態にしておきたい。
 それには様々な状況判断が存在するが、ここではごく簡単に、
 
 自分の順位が変化しやすい相手 > 自分の順位が変化しにくい相手
 
 と覚えておけばいいだろう。
 トップが遠のいたり、放銃によってラスになってしまうのは避けなければならない。
 
 これで『 ベタオリ 』の定義はおわかりだろうか。
 
 『 ベタオリ 』は守備の中で占めるウェイトは大きいが、技術的にそれほど難しいものではない。
 『 ベタオリ 』を行うこと自体は割と簡単なのである。
 
 最も難しいのは『 オリるかどうかの判断基準 』であろう。
 
 次回からは、『 ベタオリ 』の技術論、その留意点、そして判断基準について展開していこう。


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