日々是栄和

【 棒テン理論 】 そのⅸ

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【 棒テン理論 】 そのⅸ

 棒テン理論編、第9回。
 今回のお題は【 浮き牌 】である。

 まずは定義からみてみよう。

 【 浮き牌 】とは、面子・塔子構成に寄与しない単独(一枚)の牌を差す。
 一般的には字牌も【 浮き牌 】に含まれるが、通常は単独の数牌のことを言う。
 この【 浮き牌 】を切り落とすことによって、シャンテン数を向上させていくのが麻雀の基本である。

 では【 浮き牌 】は常に切られていく運命なのか。
 以下の例で見てみよう。

 手牌 :

  ツモ 

 待望のカンチャンツモである。ここで  を切れば聴牌。
 役もドラもなく、リーチのみ聴牌である。このままリーチか。

 ここで  を切らず、  を1枚切って【 浮き牌 】を   の2枚作る。
     でリャンメンピンフ聴牌だ。特に  は 3面待ちの聴牌になる。
 ここで  を浮き牌にしても良いが、その場合は   しかリャンメン聴牌にならない。
 他家の動向で  を切っていくこともあるが、あくまで攻撃を考えた場合、ここは2種類の浮き牌を生み出せる  切りが良い。

 各選択肢を大まかに見てみよう。


 手牌 : ツモ状態

 

 ①  切り リーチ
  出和了に期待。追っかけが入るとかなり厳しい状況。

 ②  切り ダマテン
   のくっつき聴牌 → ピンフリーチ期待

 ③  切り
   くっつき聴牌期待。  ならイーペーコも期待。

 ④  切り
     でくっつきピンフ聴牌。そのままリーチ期待。

 となっている。

 ①はとにかく相手を降ろしたいとき。②はやや中途半端。
 ③は防御重視で、【 棒テン 】を目指すならはやり攻撃力抜群の④を選択したい。

 【 浮き牌 】のない手は不自由である。逆に言えば手の自由度を上げるために【 浮き牌 】を最大限活用する。

 以下の例を考えてみよう。


 

 有効塔子は     の4つ。嵌塔1つに両塔3つである。
 この4つの塔子を使用して聴牌を目指したとき、最終待ちがリャンメン待ちになる確率はどれくらいか。
 感覚的にはどうやってもリャンメン待ちになるような気がする。

  待ち      1種4枚
  待ち    2種8枚
  待ち    2種8枚
  待ち    2種8枚

 有効牌以外はツモ切りするとして、この手牌は3シャンテンであるから、有効牌は3枚。
 各々の有効牌を x 、 y 、 z とすると、最終待ちがリャンメン待ちになるにはこの x 、 y 、 z の中に
 カンチャン待ちを解消する  ツモが含まれていればよい。

 x が  である確率は、

 x = 4 / ( 4 + 8 + 8 + 8 ) = 4 / 28 = 1 / 7

 となる。同様に考えると、 x が  ではなく y が  である確率は、

 y = 4 / ( 4 + 8 + 8 ) = 4 / 20 = 1 / 5

 となる。さらに x 、 y が  ではなく、 z が  である確率は

 z = 4 / ( 4 + 8 ) = 4 / 12 = 1 / 3

 となり、x 、 y 、 z のいずれかが  である確率は、

 1 / 7 + 1 / 5 + 1 / 3 = 71 / 105

 である。パーセンテージに直すと70%弱である。

 つまり、4つの面子候補の中に1つでも嵌塔や辺塔が含まれると、最終待ちが両塔になる確率は70%しかない。
 逆に言えば30%ほどは最終待ちがペンチャンやカンチャンになってしまうのだ。

 実戦ではすべての有効牌が残っていることなどありえないわけで、仮に河の情報だけを読み取って残りの牌の枚数
 を数えただけでも確率は激変する。特に  が一枚切られていれば、単純に計算しただけでも最終待ちが
 リャンメンになる確率は50.7%にまで落ち込む。

 これが2シャンテンで塔子が嵌塔、両塔、両塔の3つしかない場合は

 1 / 5 + 1 / 3 = 8 / 15

 で、最終待ちがリャンメン待ちになる確率は55%程度しかなくなる。
 当然イーシャンテンで嵌塔と両塔があった場合、先に嵌塔を引く確率は33.3%と、かなり低くなる。

 だが実際には配牌に4つの両塔が含まれる状態はごくわずかである。
 よって、【 浮き牌 】などを駆使して最終待ちがリャンメンになるような工夫が必要となる。

 では塔子・対子と浮き牌の関係を見てみよう。

 1. 両塔 vs 浮き牌

 【 現代棒テン 】では最終待ちをリャンメン待ちにすることを目指す、ということであった。
 よって、両塔はもっとも珍重すべき塔子であり、両塔と浮き牌では両塔を優先して残すべきである。
 この例外は、  という両塔で  と  の両方がポンされている場合など、限られた状況しかない。

 2. 嵌塔 vs 浮き牌

 嵌塔からは浮き牌との有効性を比較しながら手を進めなければならない。
 単純に両塔への変化を見てみよう。

 ① 嵌塔A  1種4枚
 ② 嵌塔B  2種8枚
 ③ 浮き牌    1種4枚
 ④ 浮き牌    2種8枚

 嵌塔は1枚の有効牌を引けば (  なら  ツモ ) 面子が完成するので、両塔への変化が同じ枚数であれば
 嵌塔の方が有効であるといえる。

 よって、

 浮き牌①②、⑧⑨ < 嵌塔A < 浮き牌③~⑦ < 嵌塔B

 ①②⑧⑨ 牌は単独浮き牌としては機能性が著しく劣る。これは 【 切っていく浮き牌 】 であろう。
 嵌塔Bは非常に有効性が高く、残しても良い塔子であろう。
 嵌塔Aは有効性で浮き牌③~⑦に劣るので、状況に応じて浮き牌と入れ替えた方が良い。この点は後述する。

 3. 辺塔 vs 浮き牌

 辺塔は1手で両塔に変化することはない。辺塔は  →  と、嵌塔Aに変化するだけだ。
 よって、リャンメン待ちを目指すのであれば、【 浮き牌 】の方が効率が良いことになる。

 ① 辺塔 0種0枚
 ② 浮き牌③~⑦ 2種8枚

 だがもちろん、辺塔は不自由といえど塔子である。1枚有効牌を引けばそのまま面子となりえる。
 なので 【 辺塔 vs 浮き牌 】 の選択は常に問題視される。
 
 辺塔か浮き牌か。
 この選択基準は巡目などの観点から様々に検証されているが、僕個人の見解をここで書いておくと、

 『 辺塔を除く面子候補が4つあるかどうか 』

 になると思う。単純だが最も間違いがない選択方法と考えていいだろう。


 例 :

  ツモ 

 この状態からは面子候補が     の4つ。
 よってここから  の 辺塔落しはありだと思う。

 これが

  ツモ 

 だと  が面子候補としては厳しいので、辺塔を落とすのはまだ早いだろう。
 いやーでも辺塔嫌いだから落としちゃうかなw

 4. 対子 vs 浮き牌

 対子は浮き牌が重なった状態と考えることが出来る。
 雀頭に使用しても良いし、暗刻が出来る場合もある。

 よって対子と浮き牌の関係は、

 浮き牌 ← → 対子

 と可逆的な関係にある。浮き牌が重なれば対子になるし、対子を1枚落とせばそのまま浮き牌として使用できる。

 独立した対子ならば浮き牌を2種類持っていたほうが面子寄与率は高いが、他の塔子と協力することにより、
 対子は面子寄与率を大幅に上げることが出来るので、一概に対子を落として浮き牌にした方が良いというわけではない。
 これについては場合分けをして後述する。

 では一通りの定義が終わったところで、実戦での【 浮き牌 】の使用例を見てみよう。


 例 :

 配牌 ドラ 

 

 点数状況等はとりあえず考慮しない。面子候補が   程度しかなく、苦しい配牌。
 序盤で字牌を払って以下の形。

   ツモ   切り

   ツモ   切り

   ツモ   切り

 浮き牌  を活用するため、辺塔の  を落としていく。

   ツモ   切り 【 ツモ切り 】

  をツモって聴牌であるが、ここまで展開してカンチャン待ちはいただけない。
   の浮き牌を継続して    を待つ。

   ツモ   切り  浮き牌継続

   ツモ   切り

   を入れ替えてタンヤオへ。そして  ツモでフリテン解消の  切り。
  と  のイーシャンテンとなり、有効牌がぐっと増える。

   ツモ   切り リーチ

 安目だが  をツモりリャンメン聴牌。浮き牌として持っていた  を切りリーチ。
 最終的にこの浮き牌  は使用できなかったが、浮き牌を別の浮き牌に入れ替えてどんどん待ちを良くしていく。

 この手はこの後  をツモ和了した。

 このように、手牌の進行を「 リャンメンにリャンメンに 」と持っていくことが【 現代棒テン 】の骨子である。
 途中で対子が暗刻になったりすることは一向に構わない。
 いかにしてツモ和了るか、という点に力を入れて面子構成する。

 しかし、実戦で両塔がボコボコできてくれれば問題ないが、実際にはそうもいかないときが多い。
 なので嵌塔や対子も状況によっては当然使用せざるをえない。

 そういったわけなので、ここでカンチャン・トイツを使用した複雑な例の検証をしてみよう。


 検証 :

 Ⅰ : リャンメン + カンチャンA含みトイツ

     良形聴牌  3種8枚 + リャンメン変化  1種4枚 

 Ⅱ : リャンメン + カンチャンA + 浮き牌

     良形聴牌  1種4枚 + リャンメン変化  3種12枚

 Ⅲ : リャンメン含みトイツ + カンチャンA

     良形聴牌  1種4枚 + リャンメン変化は  で1種4枚

 Ⅳ : リャンメン + カンチャンB含みトイツ

     良形聴牌  3種8枚 + リャンメン変化  2種8枚

 Ⅴ : リャンメン + カンチャンB + 浮き牌

      良形聴牌  1種4枚 + リャンメン変化  4種16枚

 Ⅵ : リャンメン含みトイツ + カンチャンB

     良形聴牌  1種4枚 + リャンメン変化  で2種8枚


 有効牌を総合すると、

 Ⅰ : 4種12枚
 Ⅱ : 4種16枚
 Ⅲ : 2種 8枚
 Ⅳ : 5種16枚
 Ⅴ : 5種20枚
 Ⅵ : 3種12枚

 よって、

 Ⅴ > Ⅳ or Ⅱ > Ⅰ or Ⅵ > Ⅲ

 という不等式が成り立つ。
 形だけで言えば、

 浮き牌 > カンチャン含みトイツ > リャンメン含みトイツ ( ≠ 単独カンチャン )

 という順で良形聴牌しやすくなる。
 同じ嵌塔であれば、嵌塔Aよりも嵌塔Bの方が当然有効だ。

 この場合は話を単純化するためにトイツ部分  の変化には触れていない。

 実際にはここに  をツモった場合の両塔変化などを考慮する。

 そのあたりは第7回の【 シャボか嵌塔か 】編を参照いただきたい。

 この 【 両塔 + 嵌塔 + 浮き牌 】 という形は非常に柔軟なので、良形聴牌を目指す際には頭に叩き込んでおく。

 次回は【 浮き牌 】の使用法上級編、【 面子 + 浮き牌 】を見てみよう。


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