日々是栄和
【 ベタオリ論 】 そのⅳ
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匿名ユーザー
【 ベタオリ論 】 そのⅳ
ベタオリ論 第4回。
今回は 【 2者リーチに対するベタオリ 】 を見てみよう。
【 2者リーチ 】 とはいえ基本は単独のリーチと同じである。
危険牌の優先順位に従って切っていけば、おのずと放銃は減っていく。
まーいくつか注意点はあるのでそれをチェックしておこう。
単純に言って、例え1人目のリーチを完璧にかわせたとしても、2人目のリーチに放銃してしまっては
元も子もない。ベタオリを選択した以上は、『 誰にも放銃しないこと 』 が最善の結果である
ことは言うまでもない。
そのためには、【 2者リーチ 】 では1人目のリーチに対して現物牌を切ることがより重要になっていく。
というのも、2人目のリーチがかかると、それまでの現物牌が現物牌ではなくなるからだ。
もちろん 【 デジタルベタオリ 】では現物牌が最も安全度が高く、優先してきるべき牌なので
その順序を正しく守っていれば当然問題ない。
アバウトに3枚目のオタ風牌だからとツモ切りすると、その順目には良くても2人目のリーチがかかったとき対応に窮することになる。
特に 【 2者リーチ 】 は、リーチがかかった数巡さえ凌げれば、単独リーチよりも安全牌は格段に
増えていくので、その後は非常にベタオリしやすい。
1人目のリーチがかかったときに、もう1人(あるいは2人)のリーチがかかったらどうするか、常に考えながらベタオリをしよう。
東1局 4本場 56500 1位 ドラ
上家捨て牌 :
リーチ
手牌 :
ツモ
● 4連荘した出親での上家リーチ。もうじゅうぶん稼いだといえる。
上家リーチに対し、4枚目の をツモってきた。もちろん通るであろう牌である。
しかしここでは欲をかかずにベタオリすることとする。
12巡目でもあり、他家の動向も気になるところ。
4枚落とせる は次の機会で良いだろう。
いちおう や ドラ を持ってきたときに聴牌をとれる 現物切り。
この後、対面が追いかけリーチ、下家がイッパツで放縦した。
言うまでもないとは思うが、 暗カンなどはもってのほかである。
僕は残り4回のツモとなったところで を切り出し始め、安全に戦況を傍観していた。
このように、【 デジタルベタオリ 】 を行う際はその優先順位に従っていればほぼ問題はない。
しかしそう毎回現物牌を切れる状況とも限らず、中にはシビレル牌を切りつつもベタオリしなければならないときも多くある。
ましてやそんなときに限って2人目のリーチがかかったりする。そして、「 もうダメだ 」 的なあきらめで
テキトーな牌を切ってしまってはいないだろうか。
例え2人のリーチを両方ともかわせないにしても、どちらか一方はかわせることができるかもしれない。
では、そんなときはどちらのリーチをより優先的にオリるべきだろうか。
以下、簡単にまとめてみる。
前提 : リーチした打ち手をそれぞれ A 、 B とする。
条件1. A・Bどちらかが親
これは基本的に親に放銃しないことを旨とする。
親に振り込めばそのまま連荘となってしまい、あまりいいことはない。
いちおう例外はあるのだが、基本は『 親へのベタオリ 』 をより優先する。
条件2. 自分が暫定2着として、A がトップ、B が3着
点差をまず定義しなければならないのだが、仮に10,000点をワンチャンスで逆転できる目安と考える。
その際、点差にそれほど大きな違いがなければ(お互い10,000点以内の差であれば)、自分より上
の順位の打ち手と自分より下の順位の打ち手のどちらに重点を置くべきだろうか。
これは収支点を基本に考えればトップに対してオリた方がトータル成績は良い。
逆により良い平均順位を求めるならば下位の順位者に対して放銃することは避けなければならない。
要するに「 トップを目指す麻雀 」 と 「 一つでも上の順位を目指す麻雀 」 では選択肢に
違いが出る。
この 「 トップを目指す麻雀 」 と 「 一つでも上の順位を目指す麻雀 」 の違いを論じること
は本稿とはかけ離れるので割愛する。このあたりに関しては別途コラムの方で書こうかと思う。
わかりやすい例では、自分がトップ目であれば、3着よりは2着の打ち手に対しより優先的にオリるのは
言うまでもない。逆にラス目の場合は、トップと2着であれば当然トップの方により重点が置かれるだろう。
条件3. 好調者と不調者
何をもってして好調なのか不調なのかの判断が曖昧なので、これは気にしなくても良い。
2回連続して和了した打ち手のリーチは確かに怖いが、心理的な面を考慮してしまうときりがない。
正直言えば、麻雀はもっと別に考えることがいくらでもある。
少なくとも【 デジタルベタオリ 】を行う際は判断項目に入れない方が良いパラメータである。
条件4. 高得点リーチと低得点リーチ
これも判断材料を「 読み 」に依存するので【 デジタルベタオリ 】では考慮に入れない。
事前にわかるならもちろん高い方を避けた方が良い。
しかし、リーチは門前手なので、その得点がわかる機会というのはごくごく少ない。
例外的なものとしては暗カンした牌がカンドラもろ乗りしたときなどがあるが。
「 読み 」自体を否定するつもりはもちろんない。僕も「 読み 」は行う。
が、確率的に安全な牌を通していく【 デジタルベタオリ 】との相性はよろしくない。
不定のものは不定のまま勘案しないと、戦術にブレが出てしまい、結果的に悪い影響を及ぼすことになる。
こういった条件はまだまだたくさんあるのだが、その判断基準自体が麻雀の要であり、個性になると思う。
判断基準の構築こそが強くなるステップであると僕は考えるからだ。
では、実戦例をいくつか見てみよう。
東3局 38000 2位
上家捨て牌 :
リーチ
下家捨て牌 :
リーチ
手牌 :
ツモ
● 下家リーチ直後に上家もリーチ。
ここでツモった は 下家の現物牌にはならないことに注意。
【 2枚以上切れた役牌 】 > 【 1枚切れ役牌 】
なので から落とす。2枚落とせるのもポイント。
この局は最終的にピンズに染めていた対面が放銃した。
東3局 4本場 65000 1位
対面捨て牌 :
リーチ
下家捨て牌 :
リーチ
手牌 :
ツモ
● ダントツである。これ以上稼ごうとするのは強欲であろう。
このツモ はアバウトに切ってはいけない牌である。
幸い、下家のリーチ宣言牌である を鳴かなかったのでこれを落とすことにする。
1鳴き、2鳴きはこういった防御面でもバランスを考えて行いたい。
ドラもなく、1500点しかないこの手をツッパってもあまり良いことはない。
この局は対面が をツモ和了した。
東1局 1本場 21100 3位
対面捨て牌 :
リーチ
上家捨て牌 :
リーチ
手牌 :
ツモ
● 上家が標準的なリーチ。対面が手を廻して追っかけリーチである。
は2枚切れで安全度は高い。
しかし、この巡目ほどになると、リーチをしていない下家も充分警戒である。
よって、ここではいま上家が切った を切る。
上家が直前に切った牌で和了られることはない。絶対安全牌である。
この手は対面がツモ和了した。
東4局 0本場 43300 1位
下家捨て牌 :
リーチ
上家捨て牌 :
リーチ
手牌 :
ツモ
● 同じくダントツで迎えたオーラス。下家が2着目で30500点だが、マンガンを直接放銃しなければ良い状況。
ここでは余裕を持ってオリである。
幸い両者現物の を持ってきた。ここは、
→ →
と落としていく。
数巡後 :
下家 :
リーチ
上家 :
リーチ
手牌 :
ツモ
● さて字牌がなくなったところで何か切らなくてはならない。
ここで注目は上家のリーチ後の捨て牌。
2者リーチにおいて、両者のリーチ後は捨てられた牌がすべて現物の安全牌になる。
【 リーチ前の捨て牌は各々の安全牌にしかならない点に注意 】
よってここでは 切りで安定。
この局は次巡、上家が下家に放銃した。
このように、一つ一つ対処していけば、たとえ【 2者リーチ 】といえど恐れることはない。
最大の敵はパニックになって自分の目的を見失ってしまうことだ。
心理的に追い詰められてヌルイ牌を切ることだけは避けねばならない。
それは 「 ツイてない 」 状態ではなく、明らかに 「 ウデが悪い 」 状態である。