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MMORPGの平均寿命


このコラムは2010~2013年が対象のちょっと古い調査です。2013~2016年を対象とした調査はこちら

はじめに

毎週のように新作が発表され、またサービス終了が発表されるかのように感じるほどタイトルが多いMMORPG。
「Ultima Online」や「Ragnarok Online」、「リネージュII」、「ファイナルファンタジーXI」など長期間に渡り今もサービスが続いているゲームがあれば、
わずか数ヶ月でサービス終了となってしまうゲームもある。「平均寿命」がどれくらいなのか気になったので調べてみた。

調査方法

4Gamer.netの週間連載記事「今週のオンラインゲーム」とMMO総合研究所内の「MMO年表」より、
過去3年間の間にサービス終了したMMORPGを調査し、そのサービス期間を計測する。
  • PC上でプレイするゲームのみを取り上げ、携帯電話・スマートフォンは除外する。但し、ブラウザゲームかクライアント実行型かは問わない。
  • CBT,OBTはカウントせずあくまで本サービスの開始日と終了日が対象。
  • シューティング、シミュレーション、ストラテジー、パズルなどは除外。MMOではなくMOなゲームも除外。
    ジャンルの分類は4Gamer、MMO総合研究所のそれに合わせる事とする。
  • サービス期間は一ヶ月単位で計測。「3月1日から4月30日までやってたゲーム」も
    「3月31日から4月1日までしかやってなかったゲーム」も2ヶ月のサービス期間としてカウントする。
この調査で分かるのはサービスが終わったMMORPGの平均寿命であって、MMORPGの平均寿命そのものではない点に注意されたい。
つまり現在サービス中のMMORPGも含めて計算し直せば平均寿命はずっと延びる訳で、「今プレイしているMMORPGはいつまで持ちそうか」を
示す訳ではない。せいぜい「この期間を超えれば息の長いタイトルになる可能性がある」くらいの事しか言えないデータだ。


調査結果

各ゲームはサービス終了が新しい順に並んでいる。

ゲームタイトル サービス開始 サービス終了 サービス期間(ヶ月)
エターナルカオス NEO 2002.10 2013.3 126
ARGO ONLINE 2010.12 2013.2 27
WYD:ウィド -EPISODEⅡ- 2006.2 2013.2 85
タルタロス 2010.1 2013.2 36
Magic World Begins:マジックワールドビギンズ 2011.9 2013.2 18
NATAL ONLINE:ナタルオンライン 2012.1 2013.1 13
Ravine Online:ラヴィネオンライン 2012.5 2013.1 9
Blade of Dragon:ブレイドオブドラゴン -NEXT- 2011.8 2012.12 17
RPG三国志 2011.1 2012.12 24
IRIS Online 2010.5 2012.12 32
Blue Tears 2011.12 2012.12 13
アークサイン 2009.12 2012.12 37
魔導学院エスペランサ 2012.4 2012.11 8
DRAGONICA:ドラゴニカ 2010.1 2012.11 35
ルナティア 2009.1 2012.11 47 ※1
シャイヤ Relic of Mystra 2007.11 2012.11 61
ファンタシースターユニバース イルミナスの野望 2007.9 2012.9 61
NINETY-NINE NIGHTS ONLINE 2011.12 2012.9 10
グランディア オンライン 2009.8 2012.9 38
Fiesta-フィエスタ- 2011.12 2012.9 10
ARCH LORD PARTⅡ:アークロードパートⅡ 2007.9 2012.9 61
ベルアイル 2006.5 2012.8 76
Legend of EddA:レジェンドオブエッダ 2011.7 2012.7 13
SORCERIAN ONLINE:ソーサリアンオンライン 2006.12 2012.6 67
天地大乱 2009.4 2012.5 38
レインボーアーチ ~童話王国~ 2010.7 2012.4 22
SORCERY SAGA:ソーサリーサーガ 2010.5 2012.4 24
FULL METAL RIDE 2010.12 2012.3 16
DEMONS CODE 2011.3 2012.3 25
ブラウザ原人 ~僕たちの原始時代~ 2010.9 2012.3 19
ストーンエイジ2 2006.7 2012.3 69
アルカディアサーガ 2009.12 2012.2 27
セブンソウルズ 2011.7 2012.2 8
81Keys 2010.5 2012.1 21
HOWLING SWORD:ハウリングソード 2010.12 2012.1 14
R2:アールツー -Reunion- 2009.4 2011.12 21
ALLODS ONLINE 2010.11 2011.11 13
M2-神甲綺譚- 2010.5 2011.11 19 ※2
IL:Soulbringer 2011.6 2011.11 6 ※3
METIN2 2011.2 2011.11 10 ※4
SANGOKU CHAOS 2010.10 2011.10 13
NineTailOnline 2010.10 2011.10 13
RAN ONLINE 2008.10 2011.10 37
ナイトエイジ 2011.6 2011.10 5 ※5
ウィローズ 2011.1 2011.10 10
YS Online ~古代シーマの鼓動~ 2009.5 2011.10 30
AppieOnline2:アッピーオンライン2 2009.6 2011.8 27
ラストカオス 2009.11 2011.7 21 ※6
LUNA twinkle! 2008.12 2011.4 29
ぼくらのファンタジア 2010.3 2011.3 13
飛天オンライン~第三の季節~ 2006.1 2011.2 62
ブライトシャドウ 2007.11 2011.2 40
野菜村 2004.12 2011.2 75
AILA Online 2010.4 2011.1 10
NikQ ~ひだまりの騎士団~ 2009.12 2011.1 14
ホーリービースト 2006.11 2010.12 50
LIENS Online 2009.9 2010.12 16
クロスブレイブ 2010.6 2010.12 7
Master of Martial 2009.8 2010.12 17
ELEMENTALIA:エレメンタリア-みんなの王国- 2004.5 2010.12 80
モンスターヴェルト・オンライン 2009.4 2010.10 19
Nea-Dea Online 2007.12 2010.10 35
Valkyrie Sky 2010.2 2010.9 8
英雄島 2010.5 2010.9 5
アンリミテッドハーツ 2009.8 2010.8 13
トゥーンタウン・オンライン 2004.3 2010.8 78
モンスターファーム ラグーン 2010.1 2010.8 8
DecoOnline Frontier 2006.4 2010.7 52
十二ノ天 ~TwelveSky~ 2007.12 2010.7 32
三國志 Online 2008.2 2010.7 30
WONDER KING:ワンダーキング 2007.11 2010.6 32
童話王国 2004.10 2010.6 69
フラゴリア 2009.12 2010.6 7
TANTRA 2005.4 2010.6 63
メティン2 2006.4 2010.5 50 ※4
ヨーグルティング 2005.11 2010.5 55
疾走、ヤンキー魂。 2008.12 2010.4 17
Cardinal Saga 2005.7 2010.3 57
TENVI 2008.9 2010.3 19
妄想極限 カオティック・ブレイン -WONG-YI's stories- 2007.12 2010.3 28
スペルボーン 2009.12 2010.3 4
ADQUEST:アドクエ 2007.4 2010.2 35 ※7
ストーンエイジ 1999.10 2010.2 125
ブライトキングダム オンライン 2006.7 2010.2 44 ※8
天道オンライン 2006.11 2010.2 40
NEOSTEAM:ネオスチーム 2006.10 2010.2 41

以上86タイトル 平均サービス期間 約32.7ヶ月

調査対象:2013/02/26付けの記事~2010/02/23付けの記事

※1 後運営権が移譲され、サービス終了直後の2013.1に「ルナティアプラス」としてサービス再開
※2 2004.9-2008.2までガイアックスにより運営、サービス終了の後にSankandoにより2010.5-2011.11まで再サービス。
    開発元である台湾Interserv Internationalとシフォンとの間でライセンス契約締結、2012.9より三度サービス開始。詳しくは下記。
※3 「エターナルブレイド」とタイトルを変更し再サービス開始。下記の「1年以上間が開いた」作品の前身。
※4 二つのゲームは同一。2010.5に運営契約が終了した後プレイヤーの署名活動が行われ、別会社によって運営権が取得されサービスが再開されたが、
    2011.11にサービス終了。さらに別会社が運営権を取得し「CRUEL WAR -RETURN OF THE METIN2-」と改名した上で2012.11よりサービス開始。
※5 2011.10にサービスの一時停止。そのまま再開されることなく2012.2にサービス終了の告知
※6 2006.4-2009.9まで運営された後一時停止。9月中に運営権を移譲し同年11月より再開。
※7 2008.8にノーファイブ宣言。メンテ・サポートなどが一切行われず「サーバーに電源が入ってるだけ」状態に。2010.2に完全終了。詳しくは下記。
※8 2010.2にサービス終了の後運営権が譲渡され「Hunter Kingdom」として2011.12よりサービス開始。2012.3にタイトルを「Fiesta-フィエスタ-」に変更。


調査結果について

このページの最初に「毎週のように新作が発表され、またサービス終了が発表されるかのように感じる」と書いたが、
半分は当たって半分は外れたような感じだ。毎月2,3本のゲームがサービス終了しているのは間違いないが、
その平均寿命は意外なことに約32.7ヶ月もあった。サービス期間が10ヶ月にも満たないゲームが複数ある一方で
50ヶ月を超える長期間サービスを続けているゲームも多くあった。中には100ヶ月を超える息の長い作品もある。
「エターナルカオス NEO」の126ヶ月、「ストーンエイジ」の125ヶ月という数字は、
後者には約2年の中止期間が含まれているとはいえ相当健闘していたと言って良い。
なんとなれば、かの「Ragnarok Online」と(2013.3時点で)ほぼ等しいサービス期間なのだから。

つまり「平均寿命は約3年あるのだが、MMORPGというゲームの分母自体が膨大であるがために、
必然的にサービスを終えるゲームが毎週のように出てくる」という訳だ。

繰り返すがこの約32.7ヶ月というのは「サービスが終了したゲーム」のみを対象にしている。
今もサービスを行っているゲームも対象に含めれば、「MMORPGの平均寿命」はさらに伸びるはずだ。
正直な話この数字は筆者の予想を大きく上回るものだった。精々12ヶ月くらいだと思ってたもん。


その他の感想

MMORPGに限らないことだが、ゲームが面白いかどうか以前に運営や開発で散々揉めるタイトルが多かったように感じた。
調べていく中で「これはちょっとどうよ?」と思った作品がいくつかあったので紹介する。
  • ハーツオブトリニティ CBTだけやってサービス中止
  • ギロチンハウス 5ヶ月でサービス終了
  • ヘルドクリーク 「重大な不具合」により5ヶ月でサービス終了
  • 天外魔境 JIPANG7 わずか3ヶ月でスピード終了
  • 封神ストーリー サービスが終了したゲームの運営権を取得したはいいがベータテストすら行われなかった
  • エターナルブレイド 正式サービス開始から5ヶ月で一時停止され、ゲーム名を変えて心機一転を計るつもりが1年以上間が開く
  • ZerA 「100人以上の開発スタッフと,3年を超える開発期間を投じて開発した」と鳴り物入りで登場したにもかかわらず、日本でのサービスはCBTだけで打ち切り
  • モナトエスプリ 日本での展開を断念したゲームを拾ってきたはいいが、メールをBCCではなくCCで送って情報流出させた上にOBTにもこぎ着けられなかった
  • キノスワールド 第1回OBTから第2回OBTまで10ヶ月もの間があった上、正式サービスが開始されないまま終了
  • アニ☆(アニスター) OBT中に「同時接続者が500人を超えなかったらサービス中止」を宣言し本当に中止になってしまった
  • 無敵戦車 たったの68日でサービス終了。
  • アドクエ 公式自ら「メンテしません、サポートしません、アップデートしません」宣言。
    「正真正銘『完全無料』ゲームだからこそ、サーバーに電源が入っているだけとお考えいただきたい!」だってさ。
  • M2-神甲綺譚- 「サーバーに致命的な不具合」が見つかったと告知されサービス終了。
    一説には運営会社のSankando社がメンテナンス中にユーザーのゲームデータを吹っ飛ばしたと言われているが、公式のアナウンスはない。
    その後シフォン社によって「M2 -神甲天翔伝-」として復活するが、その際開発元のInterserv社が
    「昨年のSANKANDO社でのM2サービス終了に伴い、当社からM2のゲームデータ(キャラクター、アイテムデータなど)を2011年内に渡すように
    SANKANDO社へ繰り返し要求しておりましたが、SANKANDO社がM2のゲームデータを紛失したため、受け取ることができませんでした。」
    とのようなコメントを発表しており、「データ消失したのでサービス終了」説がまことしやかに唱えられていた。しかし現在ではSANKANDO社による
    夜逃げ同然のサービス撤退であり、サーバーのトラブルは建前に過ぎないとされている。

とどめは「Cocoloa(ココロア)」だ。凄いぞ。
UOやdiabloもびっくりな30年継続宣言したり、ディレクターが他社を「その辺のくそ運営会社」とか言っちゃったり、
現在は移転したようだが、かつて記載されていた会社の所在地が詐欺にも使われたことがある貸し住所と同一
元は韓国産のゲームを流用して国産と言い張る?など役満状態だ。ただし、調べた範囲では公式自ら「このゲームは国産です」と
紹介しているページやプレスリリースを発見できなかったので、この点に関しては真偽不明としておく。
念のためにこのゲームの遍歴を少々長くなるが詳述すると、韓国EYA Interactive開発のLuna Onlineというゲームを
Legend of LUNAというタイトルでNHN Japanが2008年12月より正式サービス開始したことから話は始まる。
Legend of LUNAは2009年7月にはLUNA twinkle!とタイトルを変更しサービスを続けていたが、
2010年9月に予定されていた大規模アップデートは行われず、2011年1月には3月をもってのサービス終了が告知される。
その後、東日本大震災のため4月15日までサービス終了が延期されたものの、不完全燃焼のままサービス終了と相成った。
北米ではガーラによって2009年より運営が開始され、2011年には拡張版であるLuna Plusが導入されたが、
2012年3月に北米でのサービスも終了する。Luna Onlineの系譜は絶たれたかと思われたが、
日本でのサービス終了から約1年後の2012年4月20日、このガリアレボリューションがLUNA twinkle!をCocoloa(ココロア)と改名、
NHN Japanから運営権を獲得し(たと思われる)サービスを開始すると発表。ベータテストの後2012年5月17日に正式サービスが開始された。
なんだかアタリ社の分割と買収の歴史のようだが、元は韓国産のゲームである以上日本語化しようがオリジナルの要素を加えようが、
国産のゲームとは言い難い。少なくとも「オリジナルの作品がいっぱいあるし、もはやWizardryは日本のゲームだ」なんて言ったら、それはねーよと思うでしょ?

2014/6/6追記:
件のココロアだが、14年7月にサービスを一時停止することが発表された。一時停止といっても要するに「第1部完」という訳で、
まぁ復活の見込みはないだろう。ああ無情…。
2015/12/12さらに追記:
メールにて教えてもらったのだが、どうやら完全終了したらしい。つーか1年半もほったらかしだったのかよ!

調べていて強く思ったのは、オンラインゲームとは消耗品であると言うことだ。あるゲームに殺到してしゃぶり尽くし、
旬が過ぎるかサービスが終了かするとまた別のゲームへと移行する。基本無料+アイテム課金というシステムがさらにそれを加速する。
基本無料といううたい文句のみに引かれて集まった客は、そのために運営のミス一つで他の基本無料ゲームへと簡単に去っていく。
それが良いことなのか悪いことなのかは分からないが、かつてのコンシューマーゲームのように「売ったらおしまい」ではない事は確かだ。

またオンラインゲームの経営モデルが、「開発会社+運営会社」と分かれていることも気になった。
どちらかが倒れるともう一方も道連れになる…というのは負の側面にしか目のいっていない見方としても、
「経営権を別会社へ移譲して、タイトル変えたけど相変わらずつまらないと評価されるゲーム」というのが結構あった。
そりゃそうだ開発会社が変わった訳じゃないんだもの。稼げるゲームかそうでないかを判断し、
運営に必要な金額と比較して経営権の売買を…というのがまるで株式の売買みたいだなぁ…と感じた。

MMORPGの運営の辛さは間違いなく想像を絶するけど、プレイヤーからしてみればそんな事はゲームの酷さの言い訳にはならない訳で…。




まとめ
  • みんなの想像よりかは平均寿命が長かったんじゃないかな
  • オンラインゲームの運営元がとかく叩かれがちな理由が理解できた気がする


参考
4Gamer.net ― 今週のオンラインゲーム
http://www.4gamer.net/words/001/W00167/
MMO総合研究所
http://www.mmoinfo.net/
2016年版の調査
オンラインゲームの平均寿命

最終更新日 2022-02-10






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最終更新:2022年02月10日 09:22