(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2004-254696(P2004-254696A)
(43)【公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
(54)【発明の名称】鳥インフルエンザウイルス
(51)【国際特許分類第7版】

  C12N  7/00       A61K 35/76       A61P 35/00    
【FI】

  C12N  7/00            A61K 35/76            A61P 35/00         
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【公開請求】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2004-91210(P2004-91210)
(22)【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
(71)【出願人】
【識別番号】504119642
【氏名又は名称】杉本 博司
【住所又は居所】茨城県守谷市みずき野8-9-5
(71)【出願人】
【識別番号】393009909
【氏名又は名称】佐藤 謙治
【住所又は居所】東京都中野区中野2-13-21-303
(72)【発明者】
【氏名】杉本 博司
【住所又は居所】茨城県守谷市みずき野8-9-5
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙治
【住所又は居所】東京都中野区中野2-13-21-303
【テーマコード(参考)】

4B0654C087
【Fターム(参考)】

4B065 AA95 AC20 BA16 BD50 CA44 4C087 AA01 AA02 BC83 NA14 ZB26

(57)【要約】
【課題】 鳥インフルエンザ感染状況のモニター方法に関する。また鳥インフルエンザウイルスを用いた癌治療剤に関する。
【解決手段】 本発明にかかる方法は、汚染鳥を見出して捕捉することなくある特定の範囲の場所での汚染が起こったかどうかを定期的に観測して監視し、その結果すなわち特定の場所で一定の期間は非汚染であったことを保証する方法である。また本発発明にかかる癌治療剤は、人間の癌に選択的に感染する、突然変異した鳥インフルエンザウイルスを利用する。
【選択図】 なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥インフルエンザ感染状況のモニター方法であって、汚染鳥を見出して捕捉することなく、特定の地域内の特定の観測場所で汚染が起こったかどうかを定期的に観測して監視し、その結果から特定の地域内の特定観測場所で、一定の期間は非汚染であったことを保証することを特徴とする、モニター方法。
【請求項2】
特定の人間の特定の癌にのみ選択的に感染する、鳥インフルエンザウイルスの突然変異体を含むことを特徴とする、癌治療剤。
【請求項3】
鳥にのみ感染する鳥インフルエンザウイルスを、特定の人間の特定の癌細胞を含む培地で培養し、かつ該細胞にのみに感染する突然変異体を選択することを特徴とする、特定の人間の特定の癌にのみ選択的に感染する、鳥インフルエンザウイルスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鳥インフルエンザ感染状況のモニター方法に関する。また鳥インフルエンザウイルスを用いた癌治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鶏インフルエンザが養鶏所のなかから広範囲の他の地域へ急速に広がっていて極めて大きな社会問題となっている。その理由は自身は飛べない鶏からカラスのような広い範囲に飛び回ることができる鳥に容易に感染した結果、その感染した鳥が広範囲の地域を飛び回り、感染していない他の鳥に食べ物や糞に接触して二次的、三次的に感染を広げるからである。このように広範囲の地域を飛び回る鳥を見つけて、かつ捕捉し処分することは現実問題として極めて難しい。
【0003】
しかし、かかる状況を放置しておくことは、広範囲の地域において汚染地域との認定をされ、常時感染の危険にさらされ、かつ経済的にも心理的にも大きな影響がある。
【0004】
従って、かかる状況を改善し、広範囲の汚染可能性のある地域において、汚染状況を的確に把握して汚染されていないことを何らかの方法で保証し、かかる状況把握に基づいて迅速に汚染の解消処置を施し、地域に住民に安心感を与え、ひいては汚染を完全に撲滅することができる新たなシステムが望まれている。
【0005】
さらに鳥インフルエンザウイルスが鳥のみならず他の動物種である豚や人間にまで感染するという知見が明らかになるにつれ、人間社会におおきな恐怖となり心理的動揺が生じている。
【0006】
しかし一方このような不幸にも人間にも感染する可能性が認められた極めて危険なウイルスの発見(出現)は、他の面から鑑みると人類にかえって恩恵をもたらすものでもある。鳥インフルエンザウイルスも使い方次第ということであり、人間にとって有用な使用が強く望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つは鳥インフルエンザ感染状況のモニター方法であって、このような状況を打開することができる、広範囲の汚染可能性のある地域において、汚染状況を的確に把握し、かかる状況把握に基づいて迅速に汚染の解消処置を施し、地域に住民に安心感を与え、ひいては汚染を完全に撲滅することができる新たな方法(システム)を提供することを課題とする。
【0008】
本発明の他の1つは、かかる鳥由来のウイルスであって、特定の人間の特定の癌細胞にのみ感染する突然変異ウイルスを用いた癌治療剤(癌治療テーラーメイドウイルス)、及びそれを用いて癌の根本的治療に使う方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明1)
汚染された鳥(以下、「汚染鳥」という。)による地域汚染は難しい問題を含む。すなわちある特定の場所の汚染、非汚染は決して固定された状況ではなく日時とともに変化する。一度汚染鳥やってきてある場所を汚染したとしても、雨や風によりその汚染源(例えば糞)が移動したり拡散したりして、汚染が消えてしまうことがある。また糞中のウイルス自体が死滅する結果汚染が消滅することもある。このことはある一の場所の非汚染汚染を一羽の汚染鳥を追跡して調べても結局役に立つ情報は得られないことを意味する。
【0010】
そこで本発明者は鋭意研究した結果、上の問題が、汚染鳥を見出して捕捉する方法ではなく、ある特定の範囲の場所での汚染が起こったかどうかを定期的に観測して監視し、その結果すなわち、特定の場所で一定の期間は非汚染であったことが保証することができる方法で解決できることを見出した。
【0011】
さらに、かかる観測監視を市町村単位、県域、日本全国等の広い範囲に広げ定期的に結果をまとめることで、動態的にどの地域が何時汚染されたか、何時非汚染に変わったかどうが明瞭に把握できる。この情報は非常に有用であり、ある日ある時点で特定の地域全体(例えば日本中)が非汚染状態であるとの保証を目標として、汚染されたと判断された地域を除汚染するための指標とすることができる。この場合、汚染地域との認定から非汚染地域との認定がなされたことを意味する。
【0012】
除汚染は、実際には汚染鳥が町角等に放置されたゴミを食べられないようにするとか、公園や道にペットの糞を清掃して除く等の方法がある。
【0013】
なお本発明は鳥インフルエンザウイルスにより感染した鳥について説明するものであるが、同様の感染、汚染の問題を引き起こす可能性のある他の生物、特にネズミについても適用できることはいうまでもない。
(発明2)
現在猛威を振るっている鳥インフルエンザウイルスは容易に突然変異し、予想に反し他の動物(人間も含めて)に感染可能になっていくものであることが知られている。
【0014】
この知見はしかしながら、鳥インフルエンザウイルスのように短時間に突然変異し、生物学的におおきく離れている種である人間の細胞に感染可能性を獲得する鳥インフルエンザウイルスの性質を利用すると、極めて有用な癌治療剤を得ることができることを強く示唆している。
【0015】
具体的には、鳥由来のインフルエンザウイルスであっって鳥にのみ感染する型のものを、特定の人間の特定の癌細胞のみが存在する培養条件で培養を繰り返す。この培養条件でウイルスは突然変異を行い、その培地中の人間の癌細胞だけを認識する変異体となる。
【0016】
かかる変異体であるウイルスを使用すると、その癌細胞を保持する人間の体内のその癌細胞のみに感染して癌細胞を死滅させることとなる。さらに、その後その癌細胞が消滅した後はもはや感染するべき細胞が存在しなこととなり、結局そのウイルスは自体消滅することとなる。
【0017】
この結果は、いかなる外科的、化学療法的手段を用いることなく特定の人の特定の癌細胞のみを消滅させる癌治療法である。
【発明の効果】
【0018】
(発明1の効果)
このようなシステムを採用することにより、特定の地域の特定の時点での汚染鳥による汚染がモニターすることができる。よって、このモニターの結果、(1)特定の地域が非汚染であるとの保証が可能となる。また、(2)特定の地域が何時から汚染されているのかを知ることが可能となる。また、(3)特定の地域が汚染されていた場合、何時からその汚染が消滅したかを保証することができる。さらには、(4)その特定の地域が広く通常の鳥からでは汚染されないほどである場合、その地域はいわゆる非汚染地域と宣言することができることを保証できる。
【0019】
上の(1)なる効果は、個人の住宅や集合住宅、また近隣地域(道や公園を含める)が汚染のない安心して暮らせる地域であることを保証する。また(2)なる効果は不幸ではあるが汚染されその地域で暮らすのは危険が多いことを保証するものではある。この場合、地域の価値が急降下することは覚悟しなければならないし、住民はこの地域から脱出することが好ましい。一方、当該地域から出られない住民にとっては問題が重要であり、次の効果である(3)にもとづいて対応することが好ましい。
【0020】
(3)なる効果であるが、すみやかに除汚染をその道の専門家に依頼して徹底的に行うことが可能となる。その結果再び非汚染であるとの保証が可能となる。この場合一度は地に落ちた地域の評価が再びもとに戻ることが考えられる。
(発明2の効果)
個人の癌に全く完全にテーラーメイドされた鳥由来ウイルスにより、なんら手術も化学薬品も使用せず癌細胞のみが消滅させる。これは画期的であり、この方法により癌の種類だけでなく癌患者の一人一人に特有のただ一つのテーラーメイドされた治療方法となる。鳥インフルエンザウイルスの性質を利用すると、ほぼあらゆる癌に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明1)
本発明にかかるシステムを以下に説明する。
【0022】
始めに汚染の状態をモニターしたい特定の場所や地域を選ぶ。本発明による保証とはこの特定の地域がある時点からある時点の間は鳥インフルエンザに感染した鳥が汚染していないこと(非汚染とする)を保証するものである。その特定の地域内のどこかがある時点で感染が観測され地点、例えば個人の家の屋根とか庭木とかの狭い範囲から、村全体や町全体、県全体から日本全国まで広い範囲を選ぶ。そして、その地域のいくつかの場所を決めてそこを観測点とする。この観測点とは狭くても広くてもよいが観測による汚染の有無を確実に検出できる程度が好ましい。だいたい1平米くらいが好ましい。
【0023】
また、かかる観測点の数は特に制限はなく必要に応じて細かく設定可能である。場所の種類についても特に制限はない。地面、木の上、道路、ゴミ置き場等の汚染鳥が接近する可能性のある場所を決めればよい。その場所が、風や雨の影響を受ける物であってもよい。海辺付近、川とか湖の周辺や小島等も観測点となる。長距離の渡り鳥には中国やベトナムからはるばるやってきて日本を汚染することもありえる。
【0024】
観測の方法には何ら制限はなく鳥ウイルスが検出可能な公知の方法であれば好ましく使用可能である。一般には観測点から得た分析サンプルを十分な信頼性で汚染の有無を決定できるものであればよい。また観測点での分析サンプルについてもどのようなやりかたでもよい。地面の土を用いるとか、水の一部を採るとか、紙で拭き取るとかすればよい。
【0025】
すべての観測点の分析サンプルを同時に採取することが好ましいが、少しの時間的ずれはあってもよい。しかし、鳥の移動する速さ等の特性を考慮して近い観測点ほど同時に観測するようにすることが好ましい。
【0026】
本発明の保証とは、本発明の方法で観測されたデータに基づいて、(1)特定の地域が特定の時期的範囲内では汚染鳥による汚染はないこと、「非汚染」の保証、(2)特定の地域がある時点で汚染鳥にとり汚染されたこと、「汚染」の保証、さらに(3)特定の地域が一度「汚染」されたが、後特定の時期的範囲内では汚染がないこと、「除汚染」の保証をするという意味である。ここで特定の時期的範囲には、観測を始めて依頼、いままでというものも含まれる。
【0027】
まず、特定に地域を選択し、その地域内に観測点を設ける。次にある時点から観測を開始する。その観測時点でその観測点で得られた観測データを各観測点での汚染の「汚染有」、「汚染無」という形式で、地図情報とともに保存する。
【0028】
次に、次の観測時点で観測を行い同様のデータを保存する。この観測を当該地域のすべての観測点で汚染無の結果が続くまで実施する。この場合「保証」の内容は、「観測始めからその最後の「汚染無」が確認される時点までの期間、その地域は「非汚染」であること」である。この場合長期間に渡って「非汚染」が保証される場合がありうる。
【0029】
一方観測が始まって後、ある観測時点で特定の地域のいずれかの観測点で「汚染有」の結果がでた場合、保証内容は以下の通りとなる。すなわち、「観測を始めた時から「汚染有」が確認された観測時点よりも一回前の観測時点の期間、その地域は「非汚染」であった」ことである。この結果は当該地域がこの時点から「汚染」地域であることを意味する。
【0030】
この場合通常公知の方法により迅速に汚染が確認された地点を適当な除汚染処理で非汚染化し、後その観測地点で「汚染無」を確認した後再び上で説明した一連の観測が開始され、同様の保証手順が繰り返される。
【0031】
その結果、再度の観測を当該地域のすべての観測点で汚染無の結果が続くまで実施したとする。この場合「保証」の内容は、「汚染を除去して感染無しを確認した後再び観測を始めてからその最後の「汚染無」が確認される時点までの期間、その地域は「非汚染」であること」である。
【0032】
この手順を最初に設定した時期的範囲の間繰り返す。これら観測で得られたデータを地図情報とともにまとめると次のような有用な情報が得られ、有効な対汚染措置が可能となる。(1)特定の地域がどの程度の期間汚染されていないか、(2)一度汚染された場合、その後除汚染しどの程度の期間再び汚染されていないか、(3)汚染の伝達経過の時間的、空間的な把握、(4)その伝達経過の結果に基づき汚染の発生可能性の経路を予想し、予防措置をとることができる。
【0033】
これにより一定期間、例えば数年におよぶ長期間、または汚染がまったく見られなくなった場合、その特定地域はいわゆる非汚染地域と認定できる大きな根拠となりうる。
(発明2)
人間A氏がある癌であることが診断された場合(特に肺癌及び肝臓癌とする)について本発明を実施例に基づき説明する。べつべつの培養器にA氏から採取した2種類の癌細胞(肺と肝臓から採取した癌細胞)を鳥由来で鳥にのみ感染する型のウイルスとともに培養する。
【0034】
必要ならば突然変異誘発剤を使用して鳥ウイルスの突然変異を惹起させ、それぞれの癌細胞に十分感染し、すみやかに消滅させる突然変異ウイルスを調製する。
【0035】
そのウイルスを通常の条件でA氏に感染させる。この場合外科的処理は通常必要なく血液、経口を経て感染させることができる。ウイルスは当然A氏の体内にある当該癌細胞を攻撃し消滅させる。一方、癌細胞でない細胞にはまったく感染することはありえない。
【0036】
後、突然変異ウイルスは癌細胞を食べ尽くした後、もはや感染するべき細胞がないことから体内からすみやかに排除される。この結果、A氏の体内から癌細胞がすべて消滅したこととなる。
【0037】
この突然変異ウイルスは、以下の有利な性質を有する。(1)A氏の有する癌細胞のみを認識し感染する。従って、A氏以外の人のいかなる同様の癌細胞にも感染することはありえない。(2)また癌細胞のみを認識するので他の正常細胞にはまったく感染の危険がない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
鳥インフルエンザによる感染をモニターし、必要な措置が迅速に可能となる。また、汚染地域となった地域が非汚染地域に戻ったことを保証できる。テーラーメイドの癌治療が可能となる。
最終更新:2006年03月11日 10:58