2008-11-29



ドラゴン曲線


NATROMの日記で、Windows 標準搭載ソフトのペイントでドラゴン曲線を描く方法が紹介されていましたので、早速やってみました。上の画像は14次のドラゴン曲線です。ついでにgifアニメにしてみました。こちらは0次から14次まで、1ステップ/秒の速度です。


下の上段左の図形は0次のドラゴン曲線です。これを時計回りに90°回転させて元の直線にくっつけたものが上段中の図形、1次のドラゴン曲線です。1次のドラゴン曲線を90°回転させて再びもとの直線にくっつけたのが上段右の図形、2次のドラゴン曲線です。以下同様に5次のドラゴン曲線まで1ステップごとに示しました。赤いところが各ステップで付け足した部分です。


フラクタルとは


ドラゴン曲線はフラクタル図形のひとつです。フラクタルとは、図形のある部分と、それを含む全体が相似になっている図形のことです。もっと難しい定義もあるようですが。

イギリス人気象学者ルイス・フライ・リチャードソンは、スペインとポルトガルを分ける国境線の長さが、両国の計測で食い違っていることに気付きました。同じ国境線を計測したはずなのに、スペインは987kmと発表し、ポルトガルは1214kmと発表していたのです。これは簡単に言えば、測定に使用する物差しが長くなれば細かい凹凸が無視されるので国境線は短くなり、使用する物差しが短くなれば細かい凸凹まで測れるようになるので国境線が長くなる、ということの結果です。つまり、無限に短い物差しを使って測定すれば、(原理的には)国境線の長さは無限大になるのです。

フランス系のアメリカ人数学者ブノワ・マンデルブロがこの現象を取り上げ、フラクタルと名付けたことで、数学の一分野としての研究が本格化しました。下の図形はマンデルブロ集合と呼ばれるフラクタル図形です。
image from Wikipedia

メンガーのスポンジと呼ばれるフラクタルの立体もあります。これは直方体に穴を開けたものです。開ける穴の大きさは次第に小さくなっていきます。その結果、完全なメンガーのスポンジでは、その体積は0、表面積は無限大になってしまいます。つまり、立体でありながら平面と同じ次元をもっているのです。
image from Wikipedia


生物に見られるフラクタル


フラクタルは生物のからだのつくりにも見られます。シダ植物の葉など、多くの植物では、部分が全体の相似になっています。

ロマネスコという野菜はカリフラワーの一種です。これも見事なフラクタルを描いています。ヨーロッパでは広く流通していて、最近は日本でも入手できるようです。私は食べたことも見たこともないのですが、今度見かけたらぜひ食べてみようと思います。
photo by docman @Flickr

植物だけでなく動物にもフラクタルはあります。人体の血管の分岐や肺につながる気管の分岐、消化管表面の凹凸も、部分が全体の相似となっておりフラクタルといえます。

生物のほかにも、河川や海岸などの地形もフラクタルの特徴を持っており、映画のCGにフラクタルの考えを取り入れることで、リアルな画像を作る試みもなされているそうです。


化学におけるフラクタル


つながり方の科学というページで、地下鉄構内の壁の染みがどうやって作られるのかが紹介されています。これは拡散律速凝集(Diffusion-Limited Aggregation:DLA)という現象です。これもよく見るとフラクタルな図形になっています。
photo from Wikipedia

Flashを利用したこちらのサイトでは、拡散律速凝集のシミュレーションが出来ます。別のページでは、フラクタルな植物を再現することも出来ます。




参考サイト




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最終更新:2008年12月08日 09:04