2009-03-15
2009-03-20 追記あり

長く伸びているのが国際宇宙ステーションの軌跡です。


国際宇宙ステーション

photo from Wikipedia

Technobahnで「夜空で一番明るい星は? もう金星ではありません」という記事を読みました。2009年3月11日に予定されているスペースシャトル「ディスカバリー」のフライトで、国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)に新しい太陽電池パネルが設置されるそうです。このパネルは、展張すると長さが70m(サッカー場の短い辺の長さ)にもなるそうで、その結果、金星よりも明るく見えるようになる見込みだとのコト。2009年3月12日のニュースによれば、シャトル打ち上げは技術上の問題で延期になっているようです。

国際宇宙ステーションを撮影してみた

JAXAのサイト内に、「国際宇宙ステーションを見よう」というページがあります。写真撮影に必要な機材や探し方のポイントなどが詳しく紹介されていますので、それに従って、撮影にチャレンジしてみました。使用機材は、デジタル一眼レフ、三脚、ケーブルスイッチ、方位磁石などです。

今回(2009年3月14日)は、南南西の地平線から現れ、東南東の上空に移動していく軌道を描きます。街明かりが少なく、南側に開けた場所を探して撮影を行いました。デジタル一眼レフを三脚に固定し、標準ズームレンズでもっともワイド側に、ピントはMFで無限遠(∞)に、シャッター速度はバルブに設定し、ケーブルスイッチでシャッターを切りました(およそ10秒)。1回の通過で3回シャッターを切ることができました。

はじめのうちは動きがよく判らなかったのですが、仰角が上がるにつれて明るさも速度も増し、国際宇宙ステーションだと確信できました。どちらかというと黄色っぽい色に光って見えました。しばらくして地球に影に入り、その光が消えました。今回はまだ、西の空に輝く金星のほうが明るかったです。あの光の中に、3人の乗組員がいるのかと思うと不思議な感じがします。これなら自宅からでも、肉眼でも十分に観察できそうです。というか、ここにあげた写真よりも、肉眼の方がはっきりときれいに見えました。ヒトの眼は思いのほか高性能なのだと実感できます。サイトで通過時刻と方角を確認して、ぜひご覧になってください。人類の科学の到達点の一つが、かなたの空に一点の星となって見えるのは、結構感動的です。

有人宇宙飛行の是非(2009-03-20追記)


有人宇宙計画こそ民営化すれば? - シートン俗物記というブログのエントリーを読みました。有人宇宙飛行なんて馬鹿じゃないの、という話です。冷静に比較してみると、有人であるがゆえにコストは増え、その分成果が少ないことはまちがいありません。一般に、有人宇宙飛行は人命を守るために、安全性の確認された使い古された技術を用います。そのため、生産ラインを維持するためのコストは馬鹿になりません。無人であれば、人を生かしておくためのペイロードはすべて他の目的に利用できます。また、無人であれば可能な野心的な挑戦も、有人宇宙計画では軽々しく実行できません。アメリカのように大金をかけられないのであれば、国家戦略的にロシアへの対抗手段をとる必要がないのであれば、有人よりも無人の計画を優先すべきであると思っています。その方が、科学的成果は圧倒的に多いと思うから。民営化することの是非はわかりませんが。

小惑星探査機「はやぶさ」(2009-03-20追記)

photo from Wikipedia

そのような野心的宇宙計画のひとつに小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」があります。はやぶさには様々な目的があります(ありました)。

従来の化学エンジン(燃料を酸化剤で燃やす)に変わるイオンエンジン(イオンを電気的に加速し噴射する)の実証。今までのところ、合計3万1000時間の運転に成功しています。

自律航法技術の実証。地球から遠く離れた小惑星に着陸するに当たって、リモコン操縦することはできません。はやぶさは3億km以上はなれたところにあるので、電波信号の往復には30分以上もかかってしまうからです。はやぶさ自身が撮影した写真に基づいて、背景の星の位置から小惑星の方向や距離を割り出し、自動的に着陸することを目指しました。これには2回成功しました。

小惑星の科学的分析とサンプル・リターン。これまでに人類が他の天体から持ち帰ったものは月の石だけです。はやぶさは、着陸した小惑星でサンプルの科学的分析を行うだけでなく、そのサンプルを地球に持ち帰ることも目指しています。帰還予定は2010年6月です。

はやぶさの計画は順調に進んだわけではありません。様々な困難に満ちていたのですが、まるで映画「アポロ13」をホウフツとさせるように、知恵を絞って苦境を乗り切ってきたのです。その話を、はてブ経由で知りました。くねくね科学探検日記というブログのはやぶさよ還れ(その1)(その2)(その3)(その4)というエントリーです。とても感動的な話です。その1から順に読むことをおススメします。こんな人たちには、はやぶさの次のプロジェクトにも私たちの税金を使って欲しいと思います。




参考サイト


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最終更新:2009年03月20日 09:40