2009-03-21
2009-03-25 追記あり
2009-04-25 さらに追記

photo from Wikipedia


水からの伝言

水からの伝言』という本があります。著者の江本勝は、水を凍らせるときに「ありがとう」や「平和」など「よい言葉」をかけると美しい雪花状の結晶ができて、「ばかやろう」や「戦争」など「悪い言葉」をかけると汚い結晶ができる、と主張しているのですが、この本は有名なニセ科学書で、科学的な価値は何もありません。この本のどこがどう間違っているのかは、すでにあちこちで取り上げられています。『水からの伝言』について、詳しく知りたい方は以下のリンク先を参照してください。

まず最初に基本はこちら
「水からの伝言」を信じないでください 学習院大学理学部 田崎晴明教授のサイト

簡単に理解したいなら、親子の会話を通じてやさしく表現されたこちら
→Interdisciplinary: 或る親子の会話:水伝編 TAKESANさんのブログ

そもそも科学以前に言語学的に間違ってるだろう、という指摘はこちら
「水からの伝言」に言語学の立場から反論する 思索の海 dlitさんのブログ

その他にも、その気になって探せばたくさんあります。Wikipedia>水からの伝言もいいでしょう。

そもそもニセ科学とは

科学ではないのに科学であるかのように装ったものをニセ科学といいます。疑似科学やエセ科学ともいいます。多くの科学者(だけでなく普通の人にも)に追求された江本勝は、2005年12月5日号の週刊誌AERAで、『水からの伝言』を「ファンタジー」「ポエム」である、即ち科学ではなく物語であると言い訳しました。しかし、江本が経営する株式会社I.H.M.のトップページには「波動と水を科学する」と表記されています(2009年3月21日現在)。

図書の分類

『水からの伝言』はニセ科学の本であって科学書ではないのですが、近所の市立図書館では、自然科学>化学>無機化学のコーナーに並んでいます(2009年3月7日時点)。ノーベル化学賞候補といわれている飯島澄男・名城大学教授の『カーボンナノチューブの挑戦』と並んでいます。

先日、yamada_radio_clinicというブログの図書の分類_2というエントリーで、図書館での『水からの伝言』の分類を、435(無機化学)から147(超心理学・心霊研究)に変えてもらった、という記事を読みました。そんなことができるんだ!というわけで私も市立図書館に行ってみることにしました。

市立図書館でお願いしてみた

市立図書館の無機化学のコーナーにあった『水からの伝言』と関連書籍を持って司書の相談コーナーに行き、プリントアウトしておいたyamada_radio_clinic のページを見せて、事情を説明してきました。ついでに、市立の小中学校の学校図書室についても同様の心配があることを伝えました。司書は「検討してみます」とのことで、『水からの伝言』は開架からいったん引き上げられました。

カール・セーガンの本とグラハム・ハンコックの本が天文学のコーナーに並んでいるのも、なんだかなあ、という感じです。

このページを読んだあなたへの個人的なお願い

図書館司書の方へ

子どもたちや市民を対象にした『水からの伝言』と『水はなんにも知らないよ』の読み比べを企画してみてください。間違った本をただ遠ざける(これは一種の検閲です)のでは、せっかくの勉強の機会を逃すことにもなります。これは、情報を比較し評価する能力を身に着けるためのよい材料になると思います。

子どもを持つお父さん、お母さんへ

お子様の学校図書館で、科学のコーナーに『水からの伝言』などのニセ科学書が紛れ込んでいないか、問い合わせてみてください。そして学校司書に、上の提案をしてみてください。

ニセ科学に反対する市民のみなさんへ

あなたの住む町の公立図書館で、あなたの通う学校の図書室で、科学のコーナーに『水からの伝言』などのニセ科学書があれば、図書の正しい分類について、司書にそのことを話してみてください。

ニセ科学によって国家が崩壊の危機を迎えている、南アフリカ共和国のような例があります。日本から、人類から、すべてのニセ科学が追放されることはないのだろうけど、少なくともそれがはびこってしまうような状況にならないように。子どもたちにそんな未来を残さないように。そう願っています。

基本にして結論、アルファにしてオメガ

tikani_nemuru_Mさんのブログ地下生活者の手遊びのエントリーまっとうなニセ科学批判・批判とは何かから一部を引用します。

現代社会において自然科学が一種の正統なる権力として機能しているということ、
ニセ科学はそうした正統性を擬装して、不当な権力を目的とした運動であることを考慮すると、
個別のニセ科学を具体的に論拠を示して叩いていく、飽かずに声をあげつづけることこそが、
基本にして結論、アルファにしてオメガなのではにゃーのだろうか?

私は、私のアルファ(第一歩)を実行に移してみました。あなたは、あなたのアルファを、ぜひ実行に移してみてください。

はてブコメントをいただきました(2009-03-25追記)

私の記事では本当に珍しいことなのですが、はてブのコメントをいくつもいただきました。


そのうちのいくつかに、答えてみたいと思います。間違い、勘違いがありましたらコメント欄で教えてください。


matasaburoさん:これはすごいこと

matasaburoさん、ありがとうございます。でも、まったくそんな評価には値しないと思っています。謙遜なんかじゃなくて、本当にたいしたことはしていません。yamada_radio_clinic のYamadaさんのなさったことをただマネしただけだから。きっかけを作ってくれたことも含めて、すべてはYamadaさんのおかげです。


T-3donさん:水伝はともかくマクロビ系はちょっと悩む所。

そうですね。「水伝」については、図書館における分類の基本となる図書館流通センター(TRC)の分類が、「超心理学・心霊研究」に変更されているため、図書館はただそれに合わせただけ、ともいえます。TRCの分類がそのままなら、分類の変更依頼が拒否されることも十分にありえるわけです。そんなわけで、使命に燃える図書館司書が欲しい、と思いました。読み比べを企画するのが難しかったとしたら、ニセ科学とそれを批判する本を並べた特設コーナーを作ることだって司書ならできるわけで。
「水からの伝言」VS「水はなんにも知らないよ」、「衝突する宇宙」VS「サイエンス・アドベンチャー」、「ズバリわかる!血液型性格BOOK」VS「血液型と性格」など。もっといい例もあると思うけど、パッと思いつきせん。何かいい例があったら教えてください。


kamezoさん:素晴らしい実践報告。後半の提案部分も素敵。

kamezoさん、ありがとうございます。求む、心ある図書館司書!そして、求む、子どものために立ち上がるお父さん、お母さん!ですね。


yumizouさん:図書館の分類として考えたとき、ニセ科学も科学関連には違いないだろうしなあ。

yumizouさんのおっしゃるとおりで、ニセ科学は「科学」ではないけど「科学関連」ですね。でも私は、ニセ科学を主張する本はやはり科学から外すべきではないかと思います。現在では、「科学」とは何かについて、かなり明確なコンセンサスが成立しています。これは主に、アメリカにおける創造論と進化論の対立の過程で明確にされたのだと思います(でいいのかな?)が、その条件に合うか合わないかで、完璧とはいえないかもしれないけれど、「科学」と「ニセ科学」はかなり明確に区別できると思います。そして、区別できるのなら(区別できるものから)、科学でないものは科学から外すべきだと思います。


kanimasterさん:学説が覆されるたびに図書の分類が変わる?

「ニセ科学」と「間違った学説(科学)」は別物です。たとえば天動説は間違った学説であってニセ科学ではありません。天動説は天文学の一部です。天文学を学ぶ上で、天動説は避けられないと思います。カール・セーガン(惑星天文学者)は、科学の方法論を学生に教えるにあたって、天動説を利用していたそうです。


surumeno13さん:錬金術に関する本も自然科学に分類されていたりするしなぁ。

錬金術も、当時の不十分な科学に依存した「間違った科学」であって「ニセ科学」ではないと思うのですが、いかがでしょうか。そういえばニュートンは、物理学の研究以上に錬金術の研究をかなりやっていましたね。


その他、ここには取り上げませんでしたが、コメントいただいた皆さん、ブックマークしていただいた皆さん、ありがとうございました。

新しい場所に移動しました(2009-04-25追記)

登録の変更をお願いして1ヶ月たち、「水からの伝言」関連書籍が147(超心理学・心霊研究)に移動しました。新しい場所では江原啓之と並んでいます。
改めて眺めてみると、この147(超心理学・心霊研究)という分類はスゴイ面子がそろってますね。横に並んでいる「ジュセリーノ予言集」というのは、Wikipediaを見ると、後出しじゃんけんで予言(?)する人の本のようです。

登録の変更をお願いして開架から引き上げられた後、しばらくの間はどこにも見当たらず、もしかしてクレームが面倒で、司書の方がそのまま閉架行きにしてしまったのでは、と心配していました。もしそうならそれは検閲にも等しい間違った行為なので、またまた司書にお願いしなくちゃ、と思っていたのでした。それが杞憂に過ぎなくてよかったです。




参考サイト


関連項目



  • 科学的であるはずの現代医学は大きな間違いをしている。正統科学であり擬似科学ではないが、真正科学ではない、失策科学とでもいうべき。正統科学がすべて真正科学とは限らない、だからパラダイム転換が起きる。例えば、二重盲検法や統計によって検証することが科学的ということにはならない。ある物理的作用を簡単な法則性に従って加えれば、いろいろな病気が即効的に完治する。慢性肝炎や喘息・うつ病が一日で治癒してしまう。これは事実であり、物理的作用を加えたのであるから物理法則に従っているはずである。物理法則は極めて再現性が高い。しかるに、二重盲検法や統計は、ランダムな現象であることを前提としている。科学は経験的事実を対象とするものであり、数学的に成り立つことが事実であるとは限らない。現代医学は、論理や方法、適用すべき法則を間違えている、だから効果的な治療が行えない。いくつかコメントを書き込んでいます。「近々未来」・「失策科学」などをキーワードとして検索してください。 -- 近々未来 (2009-08-01 00:41:33)
  • 近々未来さん、コメントありがとうございます。
    当サイトの管理人のyu-kuboです。
    えーーっと、大変申し上げにくいのですが、非常に残念なのですが、私はあなたのコメントをまるで理解できません。1㍉も理解できないでいます。追加で説明をいただいても理解できるとは思えないので、再度のコメントはご遠慮申し上げます。
    -- yu-kubo (2009-08-04 20:08:05)
  • 笑うしかありませんね。まあ、そんなものでしょう。現代物理学とはどのようなものか、そして、科学哲学を少し勉強しましょう。では、さようなら。 -- 近々未来 (2009-08-05 16:03:13)
  • 近々未来さん、あなたが「コメントは遠慮して欲しい」という日本語を理解できないことはわかりました。
    とても残念です。
    -- yu-kubo (2009-08-11 07:08:20)
  • EM菌とか脳科学とかも置いてあるのでしょうか?
    脳科学にいたってはまともなものの方が少ない印象。。
    -- lain (2015-08-19 09:21:43)
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