2009-04-19

一家に1枚 天体望遠鏡400年
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科学技術週間

今年も科学技術週間がやってきました。といっても、ほとんどの人には「なにそれ?」ですよね。科学技術週間は、「日本の科学技術の振興を図り、科学技術について広く一般の方々に理解と関心を深めるための週間。毎年、発明の日である4月18日を含む月曜日から日曜日までの一週間」です(←棒読み)。これはWikipedia先生に教えていただきました。私にとっては、年に1回のお楽しみ、科学ポスター「一家に1枚」が発行されるときです。

科学ポスター「一家に1枚」シリーズ

2005年の科学技術週間に、「一家に1枚元素周期表」がリリースされ、全国の科学博物館などを通じて無償配布されました。これはフルカラーのとてもきれいな周期表で、各元素が何に使われているのかが一目でわかる優れものでした。

それ以来、毎年テーマを変えて科学ポスター「一家に1枚」シリーズの発行が続いています。2006年は「ヒトゲノムマップ」、2007年は「宇宙図」、2008年は「光マップ」。過去の発行分については1枚100円で、通販で購入でき、内容のアップデートも続いています。

今年2009年は、ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を夜空に向けてからちょうど400年です。国際連合、ユネスコ(国連教育科学文化機関)、国際天文学連合は、2009年を「世界天文年(International Year of Astronomy:略称 IYA)」と定めました。その趣旨に沿って、2009年の科学ポスターのテーマは「一家に1枚天体望遠鏡400年」になりました。

今年は2009年4月13日(月)から、全国の科学博物館を通じて無償配布が始まりました。こちらで配布協力館を検索できます。
ほとんどの場合、枚数限定の先着順です。お近くの科学博物館へどうぞ。ポスターの入手に入館料が必要な施設と、不要な施設とがあります。配布要領の詳細は各施設に直接問い合わせてください。ポスターのPDFデータも公開されています(2009年4月21日現在、アクセスできなくなっているようです)。

「一家に1枚天体望遠鏡400年」

望遠鏡いろいろ

望遠鏡は、観測に用いる電磁波の波長によっていろいろあります。波長の長いほうから順に、電波望遠鏡、赤外線望遠鏡、可視光望遠鏡(これが普通の望遠鏡)、紫外線望遠鏡、X線望遠鏡、ガンマ線望遠鏡です。電波と可視光以外は大気に吸収されてほとんど地表に届かないので、それ以外を観測する望遠鏡は人工衛星に搭載されて宇宙空間に打ち上げられていたり、大型航空機に搭載されて成層圏で観測を行ったりします。
photo from Wikipedia

スーパーカミオカンデも望遠鏡

スーパーカミオカンデは、岐阜県の神岡鉱山の地下坑道に設置されたニュートリノ検出装置です。ニュートリノは素粒子の一種であり電磁波ではありませんが、超新星爆発などの現象を感知しその方角を決定できるという点で、望遠鏡の一種と呼んでもいいようです。

TAMA300

TAMA300は国立天文台が設置した重力波望遠鏡で、スーパーカミオカンデと同じく電磁波を捉えるものではありません。こちらは大質量星の光速に近い運動によって生じる重力波を捉えます。たとえばブラックホールなどの連星系は周りの空間を歪ませ、その歪みが波(これを重力波と言います)のように伝わるのです。

すばる望遠鏡

すばる望遠鏡は、国立天文台がハワイ島マウナ・ケア山頂に設置した巨大望遠鏡です。マウナ・ケア山頂には各国の巨大望遠鏡が林立しています。ハワイ島は太平洋の中央に位置しているので空気が澄んでおり、4000m超のマウナ・ケアの山頂は天候も安定しており、天体観測に最も適した条件を備えているからです。

宇宙望遠鏡

ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)は、地表から600km上空に浮かぶ宇宙望遠鏡です。マウナ・ケア山頂は、地上では最も観測に適した条件を備えていますが、観測にジャマな大気のない宇宙空間の方がさらに好条件です。HSTは1990年に打ち上げられ、その後スペースシャトルによる修理、部品交換によるアップデートを受けながら、さまざまな成果を挙げてきました。2010年には運用を停止する予定で、後継の宇宙望遠鏡、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)が2013年に打ち上げ予定です。
JWSTは、地球から見て月の裏側、ラグランジュポイント(L2)に設置されます。これは、さらによい観測条件を求めて、地球の影響を受けにくい場所として選ばれました。この場合は、HSTのように、壊れたからといって修理に行くのは難しいですね。

電波干渉計

電波は、可視光よりも波長が長いため、それを受信するためのアンテナ(望遠鏡)の直径も巨大になります。アレシボ天文台は、自然の窪地を利用した直径305mの望遠鏡です。しかしこのアンテナはあまりに大きいので、向きを変えることができません。
電波干渉計はその欠点を補うものです。こちらは多数の小型電波望遠鏡からなり、複数のアンテナがキャッチした信号を合成することで、あたかも超大型の望遠鏡のように観測ができるのです。
アタカマ大型サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array:ALMA)は、日本、台湾、アメリカ、カナダ、ヨーロッパが共同で建設中の電波干渉計です。チリのアンデス山脈の標高5000mの砂漠に、口径12mのアンテナ64台からなるシステムと、口径7mのアンテナ12台および12mのアンテナ4台からなるシステムが設置されます。2012年に運用開始予定です。




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最終更新:2009年04月21日 22:33