2009-09-19

野辺山電波天文台の45m電波望遠鏡です。


2階建て車両

JR東日本の東京近郊区間の普通(快速)電車には2階建てグリーン車が連結されています。週末は利用料金が平日よりも割安になります。2階席に座ればいつもと違う車窓の風景がお出かけ気分を盛り上げてくれます。

東北新幹線や上越新幹線には、E1系E4系という、オール2階建ての新幹線車両があるのですが、在来線にも215系というオール2階建ての電車があります。この215系電車は、普段は定員制の通勤ライナーとして東京(新宿)と小田原の間を往復しているのですが、旅行シーズンの土曜と休日は、「ホリデー快速ビューやまなし」として中央線の新宿‐小淵沢間を往復しています。快速ビューやまなしに乗って、野辺山電波天文台まで行ってきました。

青春18きっぷとツーデーパス

そもそも215系電車は、着席通勤を目的に開発された車両です。可能な限り座席を増やすためのオール2階建てなのですが、車内は昔の国鉄時代のような向かい合わせのボックスシートになっています。グループ旅行なら、これはこれで楽しいのでしょうが、一人旅の私には、知らないヒトとひざをつき合わせての3時間はツラいものになりそうです。そこで、今回はグリーン車を利用しようと考えました。

上の写真左は215系電車のグリーン車2階席、右は普通車2階席です。

が、ここで問題発生。
通常、普通電車のグリーン車は自由席なので、自由席グリーン券の追加で青春18きっぷが利用できます。でも快速ビューやまなしのグリーン車は指定席で、青春18きっぷが利用できません。JRの切符のルールは難しい(実は当日も他の客が車内検札でトラブってた)。

そこに救世主のように現れたのがJR東日本のツーデーパスでした。これは、高速道路1000円に対抗してJR東日本がこの夏新たに発売を始めた企画きっぷで、青春18きっぷのように普通列車が2日間乗り放題になるきっぷです。それだけではなくて、ツーデーパスでは、特急券や指定席券を追加すれば新幹線や特急にまで乗れてしまうのです(青春18切符では新幹線や特急は利用できない)。あっちとかこっちとか、いろいろ出掛けたせいで青春18きっぷの枚数がちょっと不足していたこともあり、ツーデーパス+グリーン車指定席券を別途用意して出掛けることにしました。

快速ビューやまなし

新宿駅7番線にはたくさんのお客が集まっていました。家族連れよりも大学生のグループ旅行の方が多いようです。八王子を出るころには、普通車自由席は立ち客が出るくらい、普通車指定席はほぼ満席でしたが、グリーン車指定席はガラガラでした。おかげで、カメラを持って右側の席に、左側の席に(1階席にも)あちこち移動し、車窓を満喫することができました。

上の写真は、勝沼ぶどう郷駅からみえるぶどう畑の様子です。正面の山の上にある建物はなんでしょうか。ワイナリーとか?

小淵沢駅に到着しました。空気の味といい、空の色といい、なんだかもう高原です。

新宿の高層ビルから相模湖の輝く湖面、廃止されたスイッチバック駅の跡、甲府盆地のブドウ畑のパノラマ、雄大な八ヶ岳など、中央線の車窓は見飽きない素晴らしい景色ばかりでした。

ハイブリッドトレイン

小淵沢駅で中央線から小海線に乗り換えます。小海線には2007年から新型のキハE200形ディーゼルカーが投入されています。これは世界初の営業用ハイブリッド鉄道車両です。電気モーターで始動し、エンジンで発電機を動かして加速し、減速時には運動エネルギーを電気エネルギーに変えてバッテリーを充電するものです。

夏の観光シーズンには、小淵沢‐野辺山間の臨時増発列車にキハE200形が充当されています。後続の特急「あずさ」からの乗り換え客も加わって、立ち客もたくさんいる状態で小淵沢を出発しました。客のほとんどは清里駅で降りていき、JRで最も標高の高い駅(標高1345m)、野辺山に到着しました。野辺山駅到着の直前には、進行方向の右手に電波天文台のアンテナが一瞬見えました。駅から電波天文台へは徒歩30分ということでしたが、私は駅前のレンタサイクル(3時間1000円)を利用することにしました。

ベジタボールウィズ

nobeyama radio observatory
画像のクリックでポップアップします。

ベジタボールウィズは、電波天文台の南隣にある南牧村(みなみまきむら)農村文化情報交流館の愛称です。体験型観光施設、ドーム型シアターなど、観光客向けの施設だけでなく、村立図書館も併設されています。また屋上には展望台があり、北側の電波天文台の敷地を見下ろせるだけでなく、天気がよければ八ヶ岳も一望できます。電波天文台に入る前に、展望台に上がってみました。

野辺山電波天文台

野辺山電波天文台は通称で、正式には国立天文台野辺山宇宙電波観測所といいます。同じ敷地内には太陽電波観測所もあります。敷地内を散策する人も多く、大型観光バスも来ていました。入り口の守衛詰め所横に自転車を置き、見学受付をすると、引き換えにA4判の案内冊子がいただけます。

ミリ波干渉計

干渉計は、複数のアンテナからの受信電波をコンピュータを用いて合成する電波望遠鏡です。上の写真のミリ波干渉計アンテナは、1台の口径が10mですが、東西南北に伸びるレールに乗せてアンテナを移動させることで、600mの口径に相当する能力を発揮できます。

45m電波望遠鏡

国内最大、45mの口径を持つ電波望遠鏡が、天文台の敷地の最も奥にあります。小海線の車内からチラッと見えたのはこれでした。とにかくデカイです。ちょっとしたビルくらいの大きさがあるのですが、それがターンテーブルの上でぐるぐる回る様子を見たくなりました。

45m電波望遠鏡の裏側に観測棟があり、その2階が展示室になっています。これまでの研究成果の紹介や、観測機器、アンテナパネルの分解模型などが展示されていました。天井からぶら下がっているのは、これまでの観測により発見された星間分子の模型です。地球の環境では安定して存在できなさそうな奇妙な分子がたくさんありました。

電波望遠鏡モデル

レバー操作により自在に向きを変えることのできる小型の電波望遠鏡がありました。実際に何らかの電波を受信するとメロディが鳴るしくみになっています。


動画をご覧ください。

電波ヘリオグラフ

電波ヘリオグラフは太陽観測用の電波望遠鏡です。口径80cmのアンテナ84台をT字型に並べたもので、毎秒20枚の画像を得ることができます。

JR最高標高点

1時間半ほど電波天文台をまわった後で、帰りの列車までまだ時間があったので、JR最高標高点(標高1375m)に寄ることにしました。というか、ここに寄り道するためにレンタサイクルを借りておいたようなものです。天文台からかなりきつい上り坂を越えると視界一面にレタス畑が広がります。下り坂を気持ちよく駆け下りてもう一つ坂を越えると大きな石碑と踏切が見えてきました。

JR最高標高点の踏切を行くキハE200形です。




参考サイト


関連項目


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最終更新:2009年10月03日 09:35