2010-03-11

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drillship chikyu


統合国際深海掘削計画

統合国際深海掘削計画(IODP:Integrated Ocean Drilling Program)とは、深海の海底をボーリングにより掘り進む国際共同研究です。日本は、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が建造・運用する地球深部探査船「ちきゅう」でその共同研究に貢献しています。その「ちきゅう」が静岡県清水港で一般公開されるということで見に行ってきました。

地球深部探査船「ちきゅう」

「ちきゅう」は2500mの深海底からさらに下7000mまで、世界最高の掘削能力を持つ探査船です。地殻の下のマントル採取までを目指しているのです。JAMSTECによればそのミッションは

1 巨大地震の謎を解く
2 生物の起源に迫る
3 掘り出した地層から過去を探る
4 大地を動かすマントルまで掘る

だそうです。世界各国の研究者が乗り込んで最先端の研究が行われています。

「ちきゅう」一般公開

清水駅からエスパルスドリームプラザ行き無料シャトルバスで終点まで行くと、ビルの向こうに「ちきゅう」の巨大な櫓が見えてきました。10時からの公開でしたが、10時15分頃に現地に着いたときにはすでに1000人規模の行列が。受付までに40分待ち、その後、タラップを昇るまでさらに40分待ちでした。受付では体調の自己申告、手指のアルコール消毒と非接触型体温計での体温チェックがありました。

タラップを登り、船内に入ります。一端右舷側に出てから再び船内に入り階段を登ります。上の写真は左舷側のブリッジから張り出した見張り台から左舷後方を見たところです。ブリッジの高さが実感できますでしょうか。

操舵室

上の写真左は左舷側からブリッジに入ったところです。上の写真右はボーリングの時の操船席です。「ちきゅう」は、風や潮流などに逆らって、GPSや海底に設置したトランスポンダー等を利用して自動で船体を半径15mの円内に保持する性能を持ちます。日経サイエンスの記事によると、「あと50cm右に寄ってくれ!」なんていう掘削のリクエストにも応えるとか。スゴ過ぎる!

ブリッジ中央に舵輪(上の写真左)が、ブリッジの右舷側には航海用の装備があります。コンピュータ化された現代の船のブリッジには液晶モニターとそれを操作するトラックボールやマウスなどのデバイスがありました。上の写真右はブリッジから見た船首です。ブリッジの上にはヘリデッキが張り出しています。旧海軍の小型空母などの艦橋からの眺めはこんな感じだったのでしょうか。

デリック

デリック(櫓)の海面からの高さは121mです。デリック直下の船体中央には22m×12mの穴が開いており、これをムーンプールといいます。ここから長いパイプを下ろし、海底を掘削するのです。上の写真右はドリルビット。左はタングステンビット、右はダイヤモンドビットです。

ラボデッキ

円筒状に掘り出した地層サンプルをボーリングコアといいます。上の写真左は掘り出したコアを取り込む場所です。超高温、超高圧の環境から掘り出されたコアは時間とともに崩れていきます。コアはナマモノなので、すぐにCT(上の写真右)撮影などの非破壊検査にかけられます。CTは病院にあるものとまったく同じ機械ですが、ベットは医療用とは違うそうです。

コアに含まれる微生物は嫌気性なので、窒素充填下で細菌を分離します。地上の微生物学研究室とまったく同じ研究備品が揃えられていました。以前の航海で掘り出された本物のコアが展示されていました。

地球の歴史において、磁極の向きが何度も変わったことが知られています。掘り出したコアの磁気も精密に測定されます。上の写真右はデリックの足元で撮影しました。広い船内の移動用自転車でしょうか、それともスタッフの運動用でしょうか。

「ちきゅう」外観

今回の一般公開ではデリックやエンジンルーム、ヘリデッキは公開されませんでした。ヘリデッキはぜひ見たかったのですが、さすがに一般人には危険なのでしょうね。ムーンプールも見たかったなー。











日経サイエンス2010年3月号には、茂木健一郎氏の「ちきゅう」訪問記事が掲載されています。忙しいお人だねー


参考サイト

JAMSTEC>地球深部探査船「ちきゅう」
地球発見 「ちきゅう」情報発見サイト
drillship chikyu - a set on Flickr ←大きいサイズの写真はこちらに

関連項目


コメント

  • 現在の位置がありません -- 名無しさん (2015-07-13 04:44:57)
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最終更新:2015年07月13日 04:44