2010-06-04



愛岐トンネル

愛岐トンネルは中央西線の愛知・岐阜県境のトンネルです。全長2910mで、JR東海管内では最長のトンネルです。1966年の名古屋‐多治見間の電化複線化と同時に開通しました。その結果、それまで使用されていた非電化の単線は廃線になり、1900年開通の旧線トンネル群は放棄されました。

愛岐トンネル一般公開

愛岐トンネル群保存再生委員会により、これら旧線のトンネル群が発掘、調査され、経済産業省の近代化産業遺産の認定を受ける事になりました。これらトンネル群の一部、定光寺駅から1.5km区間の市民一般公開(第5回一般公開:2010年4月26日〜5月2日)が行われましたので、見学に行ってきました。

定光寺駅

最寄り駅、定光寺駅は山間の静かな無人駅です。今日はすごい人出(上写真左)。JR東海も20人以上の臨時駅員を出していました。普段は1時間に2往復の普通が停るだけですが、今日は快速も臨時停車(上写真右)。

駅から100mほど、庄内川(玉野川)に沿って上流方向に歩くと受付のテントがあります(上写真左)。ここで保険料を含む見学料100円を払います。ナショナルトラストの募金も受け付けており、1000円を寄付しました。階段がコースの入口です(上写真右)。踏み板には、発掘された枕木も使われていました。

玉野第三

階段を登った先にある一つ目のトンネルは玉野第三です(上写真左)。レンガ造りの素晴らしい風格のトンネル。その真ん前、中央に木が生えていますが、廃線になってから44年でここまで成長しました。玉野第三を出たところに落石よけがあります(上写真右)。古いレールで作られています。当時はレールが国産化される前であり、落石よけに使われている古いレールはドイツからの輸入品です。クルップ社の刻印が見えました。

トンネルの壁面に残るひび割れは、脱線した蒸気機関車が寄りかかった跡だそうです(上写真左)。レンガ造りの橋脚は当時ものですが、橋桁は一般公開用に架け直したものです(上写真右)。

玉野第四

二つ目のトンネル、玉野第四(上写真左)。ここも、真ん前に木が生えています。トンネルを出たところには大きなモミジが(上写真右)。秋の一般公開では、紅葉が見事だとか。

線路脇に残されたコンクリート製の信号機の土台(上写真左)。次のトンネル、隠山第一までの間は視界が開けて渓谷が美しいです(上写真右)。

隠山第一

三つ目のトンネル、隠山第一(上写真左)。レンガの刻印について、ボランティアさんの説明(上写真右)。工事中に破損したレンガが近くに捨てられており、それらを発掘し、刻印を調べ、当時の新聞広告(鉄道省のレンガ入札の広告)と照らし合わせたのだそうです。レンガには製造所固有記号だけでなく、職人の名前もありました。入札の総数より実際のレンガの使用数の方が多く、刑務所で囚人にも作らせていたのではないか、とのこと。

隠山第二

四つ目のトンネル、隠山第四は、公開されている中で最長のトンネルです。入り口の路盤が掘り返されており、アーチ構造を強化するためのインバートが見えるようになっています(上写真左)。上部だけでなく、下部もこのようにアーチになっているとは知りませんでした。このトンネルは333mあり、しかも曲がっているので内部は真っ暗です(上写真右)。一応足元にろうそくは立ててありますが、非常に暗いです。

廃線跡から川原に降りる道の途中にある大木(上写真左)。通りかかったおじさんが木に掛かった名札「大エノキ」を見て「"だいくのき"って何だ?」おじさん、それは"おおえのき"ですよ。木の根元にはレンガが(上写真右)。成長した木に飲み込まれて外すことができません。

大きいサイズの写真はspring at aigi tunnel - a set on Flickrに。




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最終更新:2010年06月04日 20:58