2006-02-09

アカムシユスリカのだ液腺染色体の観察


アカムシユスリカのだ液腺染色体の観察を行いました。アカムシは釣りエサとして入手が容易で、非常に安価(10gで¥210)です。岐阜物理サークルニュース集Vol.22のp4159にある五島先生の記事と、森田保久先生(川越女子高校)のHPを参考にしました。


だ液腺の取り出し


アカムシの黒い方が頭です。黒い部分と赤い部分の境目辺りをピンセットではさみ、柄付き針で押さえるように頭を引き抜きます。うまく行けば写真のようにだ液腺(上の写真中央)が引き出されてきます。だ液腺は長さ1~2mmほどの透明な楕円形の器官です。


だ液腺の染色と脱色



2%酢酸オルセインで30~60分染色し(上左の写真)、その後50%酢酸に泳がせて細胞質を脱色し(上右の写真)ました。


プレパラート作製と顕微鏡観察


スライドガラスにだ液腺を載せ、50%酢酸を1滴垂らし、カバーガラスをかぶせました。柄付き針で軽く押さえた後、ろ紙ではさんで親指で押しつぶします。まずは×150(上の写真)で染色体を探します。


対象が見つかったら×600(上の写真)に切り替えて観察します。

コンパクトデジカメの手持ちで、コリメート法(カメラを接眼レンズに密着させて撮る)により撮影しましたが、この程度の写真が取れます。
×600では3本の染色体がハッキリと見えています。アカムシユスリカは2n=6本の染色体を持ちますが、だ液腺細胞の染色体は相同染色体が対合しているために、通常の半分の本数しかありません。
プレパラートは、カバーガラスとスライドガラスの隙間から水が蒸発しないように透明マニキュアで密封してみました。通常はカナダバルサムを用いるのですが、マニキュアでどれくらいもつのか試してみることにします。

BTW、アカムシを調べていたら、こんな情報を見つけました。釣具店で長期間保存できるように、羽化しないようなホルモン処理をしているとか。ホントなんでしょうか?
実際にホルモン処理はしてるんじゃないかと思いますが、でもそのホルモンはこの情報源が伝えているような成長ホルモン抑制剤などではなくて、幼若ホルモンではないでしょうか。このホルモンを、昆虫は普遍的に持っていますが、脊椎動物ではどうなんでしょう? 脊椎動物には作用しないように思うのですが。もし作用するなら、化粧品メーカーがほっとかないと思うのです、いつまでも若いままでいられるなんてはたらきをね。
もしご存じの方がおられましたら、情報をお寄せください。


参考文献



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最終更新:2006年02月13日 22:05