2007-06-08
2008-10-24動画入れ替えおよび追加、一部加筆




単極モーターとは

単3形アルカリ乾電池とクギ(あるいは木ネジ)、導線、ネオジム磁石(直径15mm×厚さ5mm)、たったこれだけで、勢いよく回転するモーターが簡単に作れます。組み立て方は写真を参考にしてください。試してみたところ、アルカリ電池でなくてもニッケル水素充電池(SANYOエネループ単3形)で動くことが分かりました。下右の写真は回転中の単極モーターで、通電を止めてもしばらくの間は惰性で回転を続けるくらい、うなりをあげてものすごい勢いで回転します。よく見ると、導線とネオジム磁石の接触点で火花が散っているようにも見えます。




単極モーターは、科学工作のネタとして大流行したものですが、その由来をたどると、1821年のマイケル・ファラデーによる発明にまでさかのぼることができるそうです。ところでhomopolar motorあるいはunipolar motorのどちらも検索でヒットしたのですが、どちらが正しいのでしょうか?




銅線を用いた単極モーター

導線ではなくて、銅のワイヤー(#18)を使うともっと面白い形のものが作れます。これもネットのマネをして作ってみました。


こんなのも、マネして作ってみました。回転速度が速くなっていくと、遠心力でバランスを崩しやすくなります。ワッシャーを電極に置いておくと、ずっとバランスよく回り続けてくれます。ただし、あまり長時間回し続けるとジュール熱で銅線が加熱します。やけどに注意!


単極モーターカー

さらに調べていくと単極モーターを走らせる動画を見つけました。というわけで、これもマネして作ってみました。単3形電池の両極に、磁極の向きを反対向きにして2個のネオジム磁石をつけます。導線を曲げ、両極の磁石に接触させるように置くと、電池ごと回転しながら導線を引きずって走り出します。これは面白い!

この単極モーターカーをアルミホイルの上に置いても、同じように走り出します。これも面白い!
アルミホイルの上に置きっぱなしにしたり、長時間連続で走らせないでくださいね。電池も熱くなりますから。




2007-06-26追記

単極モーターとフレミング左手の法則


単極モーターはフレミングの左手の法則をダイレクトに示すものです。私は単純に、親指の方向に物が動く(単極モーターの場合には磁石が動く)と思っていたのですが、そういう訳には行かないことを初めて知りました。

上の図で、手前向きの力はローレンツ力を示します。ローレンツ力とは電磁場の中で運動する荷電粒子が受ける力です。通常のモーターは回転子にコイルが巻いてあり、この中を移動する電子が力を受けることで、コイルが回転します。上図では、導線を移動する電子がローレンツ力を受けて、手前側に導線を動かそうとします。しかし導線は指で固定されているので動きません。そのため、導線に対する作用の反作用を受けて磁界が逆回転しようとします。それが単極モーターを回転させるのです。上の図では力の向きの反対向きに(電池側から見て反時計回りに)磁石が回転します。


単極モーターカーでは上の図のようにローレンツ力が導線を押し下げる方向に働きます。机の抗力がその力を受け止めるので、導線に対する作用の反作用が磁界を逆回転させようとします(右手前から見て時計回りに)。この場合は、単極モーターカーが右奥に向かって走っていくことになります。

解説していただいた益田清風高校のI川先生、各務原高校のO野先生、ありがとうございました。
私の理解が間違っていたら、また教えてください。


参考文献

Wikipedia英語版 Homopolar motor
dangerouslyfun.com←銅線を用いた単極モーターの動画があります
grand-illusions.com←単極モーターカーの動画があります



  • とても 面白かった!
    もっといろいろな面白い実験を見たい。 -- 理科嫌い (2012-01-12 10:26:00)
  • ここでの単極モーターや、同じ原理に基づく、「世界一簡単な電車」など大型の物を作ることが出来れば、交通やエネルギーに革命がおこるのでないですかね。
    巨大な銅線チューブを作って、そこを人の乗った「電車」が走り、電力と交通を同時にまかなうことが出来るようになるとか。


    地上では無理でも、将来的には宇宙ステーションなどでこういうシステムが、使われるのでは? -- 我無駄無 (2014-12-05 10:48:10)
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最終更新:2014年12月05日 10:48