2007-06-30




「コンコルド効果」あるいは「コンコルド錯誤」

Yahoo! のトップページでこんな記事を見つけました。

新幹線新駅 「中止なら167億円無駄に」
栗東市 広報誌で影響訴え
                          京都新聞電子版 2007年6月29日より

心理学の世界で「コンコルド効果」あるいは「コンコルド錯誤」として知られている現象があります。ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資をやめられない状態を指します。Arkes & Ayton (1999) によれば、人間の幼児や下等動物にはこの現象がみられず、成人だけが陥る現象であるとされているそうです(Wikipedia コンコルド効果より)。


コンコルド

皆さんが知っているとおり、コンコルドは実用化された今のところ唯一の超音速旅客機ですが、商業的には大失敗でした。開発計画の途中で、どうあがいても赤字は免れないことが分かっていたのですが、それまでの投資が無駄になることを恐れた英仏当局により投資は継続され、20機だけが生産され、その結果赤字はさらに拡大しました。そしてそこから「コンコルド効果」という言葉が生まれました。



南びわ湖駅

東海道新幹線最後の請願駅である南びわこ駅について、「計画を中止すれば今まで投資した167億円が無駄になる」という栗東市の姿勢は、まさに「コンコルド効果」そのものに見えます。計画を進めるか中止するかの決断は、今までの投資とは無関係に、純粋に現在の新駅設置計画が投資に値するかどうかを基準に決めるべきです。環境の変化により投資すべきでなくなったと判断するのなら、投資の継続によりこれ以上損失額を増やす必要はありませんから。



なーんて文章を書きながら、自分の今までの消費行動に「コンコルド効果」がなかったか反省しなくちゃね。身に覚えはない?


参考文献





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最終更新:2007年07月29日 21:51