お仕事辞書♪

肥満

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
概説
 肥満は身体における脂肪の蓄積量が増加した状態をいいます。肥満には原因疾患が見当たらない「単純性肥満」と、他の基礎疾患や特殊な疾患の一症状として発現する「2次性肥満」とがあります。肥満のほとんどは単純性肥満であり2次性肥満は多くありません。2次性肥満の原因疾患として、内分泌疾患による肥満(クッシング症候群、甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、インスリノーマ〈膵良性腫瘍の一種、インスリンの過剰分泌による低血糖とこれを予防するための過食が原因と考えられる〉、性腺機能低下症など)、視床下部性肥満(視床下部の食欲中枢が選択的に障害され、異常な食欲亢進と肥満をきたす)、遺伝性肥満(染色体異常により先天的に肥満をきたす病態で肥満以外に多彩な徴候を示す)などがありますが、一般にみられて問題になるのは単純性肥満です。最近脂肪細胞から分泌されるレプチンという肥満抑制因子が発見されており、このレプチンは視床下部に作用して摂食行動を抑制すると考えられています。

・代謝症候群(Metabolic Syndrome)
 以前はシンドロームX、死の四重奏(deadly quartet)、インスリン抵抗性症候群、内蔵脂肪症候群など、いろいろな名称で呼ばれていたものと同様の病態です。最近では整理され、代謝症候群という名称で呼ばれています。根本的原因として肥満、運動不足、遺伝因子の3つがあげられています。これらがインスリン抵抗性と結びつき、内臓(腹部)肥満、高脂血症、高血圧、血糖値の上昇などが特徴的である病態となります。こうした病態が動脈硬化、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)などの強い危険因子となるといわれています。生活習慣の改善が重要です。

診断
 肥満の判定基準として最近は体格指数(BMI)が広く用いられています。

 BMI=体重(kg)/身長(m)× 身長(m)
  :20~24 を目標
  :25以上を肥満とします 

 BMIの数値と各種有病率との関係をみると、BMIが22の時に疾患有病率が最も低くなるといわれています。この時の体重が標準体重とされています。標準体重はこのBMIを22として次のように計算した値です。

 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)× 22

 また、より正確に種々の機械を用いて体脂肪量(体脂肪率)を求められるようになりました(二重X線吸収法〈DXA〉、二光子吸収法〈DPA〉、全身電気伝導度法、生体電気インピーダンス法、体水分法、体密度法など)。
 動脈硬化などの合併には皮下脂肪より内臓脂肪(主として腸間膜脂肪)が重要であることがわかっています。臍レベルでのCTスキャン断層図で内臓脂肪、皮下脂肪の比が肥満者では0.4を超える場合(内臓脂肪面積として100cm2以上)を内臓脂肪型肥満と判定します。内臓脂肪の蓄積は代謝症候群の重要な因子となっており注意が必要です。このような肥満と判定されたもののうち、[1]肥満に起因ないしは関連する健康障害を合併している病態、[2]健康障害を伴いやすいハイリスク肥満、身体計測のスクリーニングにより上半身肥満が疑われ、腹部CT検査により確定された内臓脂肪型肥満のいずれかの条件を満たすものを肥満症と定義し、疾患として取り扱い、医学的に減量が必要となります。
標準治療
 体内に蓄積した余分な脂肪をエネルギーとして消費させ体重の減量を図ります。それには消費エネルギーを多くし、摂取エネルギーを減らさなければなりません。具体的には「少なく食べて、身体をよく動かすこと」。すなわち治療の基本は食事療法と運動です。

食事療法
 最も一般的な方法は穏やかな減食です。1日の摂取カロリーは
 標準体重(kg)×20~25kcalに制限

運動療法
 ・肥満者はもともと運動量が少なく、これが肥満の一因と考えられます。運動による消費エネルギーはそれほど多くありませんが、運動はエネルギー代謝を活発にし、体脂肪を効率よく燃焼させます。
 ・糖尿病の項などで述べたように、運動はインスリン抵抗性を改善し、動脈硬化予防効果、血糖降下作用があるので、肥満による合併症の予防の意味からも重要です。
 ・肥満者、特に高度の肥満者では心血管系、呼吸器系、骨や筋・関節などへの負担が大きく、過度の運動は思わぬ事故や障害を起こす可能性があるので、全身的なチェックをよく行い、各自に適した軽い運動から始めて、徐々に運動量を増加させるよう気をつけます。具体的には歩行(40分)、体操(10分)、筋力トレーニング(10分)などを適宜組み合わせて行い、その継続を図ります。

食行動の矯正
 肥満症患者は食事に関する感覚が乏しいのが特徴です。肥満者では重症になればなるほど、真の空腹感、満腹感が自覚できない傾向があり、いつも食べているようなことになります。決められたカロリーを規則正しく摂取することが重要となります。いわゆる“早食い”“ため食い”“夜食”などは肥満を助長するだけです。こうした食行動の異常の矯正が必要です。また異常な食行動の誘因となりうるストレスを取り除くことも必要となります。

●標準治療例
 基本は食事療法と運動療法であり、薬物療法はいずれの薬剤も副作用の面などから長期使用は難しいでしょう。わが国で現在使用可能な抗肥満薬は、食欲抑制剤のマジンドール(食欲中枢への直接作用および神経終末における神経伝達物質を介したメカニズムにより摂食抑制効果がある)です。ただし適応は食事療法、運動療法でも効果が不十分な高度な肥満(BMI35以上)です。薬物学的特性がアンフェタミン類と類似しており、依存性に注意が必要です。また精神疾患を合併している人が用いると幻聴や幻視が起こる場合があります。


※「標準治療」は診療活動をする専門医により行われている一般標準的な治療法の解説です。厚生労働省や学会で作成した「ガイドライン」そのものではありません。
生活上の注意/予防
 標準治療の項で述べたように、過食を避け、食行動を矯正し、身体をよく動かすことが肥満の予防に重要です。統計的データによると、肥満者は非肥満者に比較していずれの年代でも死亡率が高いといわれています。糖尿病、高脂血症、高血圧、心筋梗塞・狭心症をはじめとする心臓血管障害や脳梗塞をはじめとする脳血管障害に代表される動脈硬化性疾患を合併しやすいため、肥満を予防することは重要です。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー