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骨粗鬆症

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概説
 この病気は骨量の減少、骨の微細構造の劣化の2つの特徴がある全身性の骨の病気で、この2つの原因で骨の脆弱性が増し、骨折の危険性が増加した状態です。
 骨量は男女ともに30歳代後半をピークに生理現象として自然に減ってくるものですが、骨粗鬆症は男性は50歳代からみられるのに対し、女性は40歳代から発生し、閉経を境に増加し、60歳代では約33%、80歳代には60%を超える発生頻度となります。日本は長寿社会となり初期の骨粗鬆症の患者が少なくとも900万人いるといわれています。また、アメリカではすべての部位を含め120万件以上、日本では大腿骨頸部骨折だけで5~7万件発生し、寝たきり老人の主な原因となっています。
 分類としては閉経後まだ老年に達する前に発症した症例を閉経後骨粗鬆症、老年期に発症したものを老人性骨粗鬆症と呼びます。この場合の骨粗鬆症は原因がはっきりせず、閉経、加齢による生理的な骨減少が何らかの因子によって異常亢進して起こると考えられ、1次性骨粗鬆症と分類されます。
 また甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、性腺機能低下症、糖尿病などの原因で発症する骨粗鬆症を2次性骨粗鬆症に分類します。また本症発生の危険因子として低体重、運動不足、喫煙、コーヒー、アルコールの摂取過多、偏食、カルシウム、ビタミンD、Kの低摂取などがあげられ、この把握が治療上に役立ちます。

症状
 症状は腰痛、背部痛などの訴えがあることが多く、骨折に基づくものがほとんどです。脊椎に多発性の圧迫骨折があれば腰・背痛を訴え、脊椎は円背となります。これ以外の好発部位は大腿骨頸部、橈骨遠位端、上腕骨近位端で、そのうち大腿骨頸部骨折は歩行困難となり、非常に治療が難しい骨折です。

診断
 腰・背痛を訴え受診した場合、単純X線撮影で胸椎、腰椎の前後、左右の2方向撮影を行います。そこで骨陰影度の減少の程度、骨梁の数および幅の減少の程度(東京慈恵医大式の骨粗鬆症診断基準を参考)、椎体の圧迫骨折、魚のかたちのような推体の変化の確認をします。次に骨塩量の測定を行い、腰椎、大腿骨頸部、橈骨遠位部、中手骨、踵骨を対象として骨塩量を二重エネルギーX線骨塩量測定装置(DXA)で、骨中のカルシウム塩量を測定します。そして現在は圧迫骨折がない場合、骨塩量が若年者の平均値(young-adult mean)の70%以下を骨粗鬆症と診断しています。また2次性との鑑別のために赤沈、血算、血清カルシウム、リン、アルカリ-Pが検査されますが、1次性では正常です。病態診断として血清オステオカルシン、尿中ピリジノリン、デオキシピリジノリンなどの測定を行いますが、これらの測定値は、骨量測定とともに骨粗鬆症治療のモニターとして有用です。
 腰痛以外の痛みで受診した場合も、訴えの部位の単純X線撮影を行って骨折の有無を確認し、骨塩量などの検査を行います。
標準治療
 骨塩量の減少の予防を治療の第1目標とします。まず適正なカルシウムとビタミンDの摂取の指導を行います。また牛乳、乳製品、魚、海藻類を中心としてカルシウムは1日最低800mg以上とるようにすすめます。次に適度な運動を行うよう指導します。年齢にもよりますが、運動の種目は何でもよく、1日60分、1週間に3日以上が理想的です。そして夏は日陰で30分間、冬は顔や手に1時間程度の日光浴をさせることが大切です。
 以上の基礎的な療法で骨塩量が上がらない場合は、薬物療法を行います。薬物療法には活性型ビタミンK、カルシトニン製剤、エストロゲン、蛋白同化ステロイド、イプリフラボン、ビスフォスフォネート、ビタミンKなどがありますが、これらの薬物の骨量増強効果は期待するほどあがるものでもありません。骨折を起こしている患者さんに対しては、それぞれの骨折の治療を行います。脊椎の圧迫骨折では脊椎の症状、例えば下肢のの筋肉低下、膀胱直腸障害等がなければベッド上安静、コルセットの装着などで腰・背部痛は改善します。大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折の項目を参考にして下さい。


※「標準治療」は診療活動をする専門医により行われている一般標準的な治療法の解説です。厚生労働省や学会で作成した「ガイドライン」そのものではありません。
病後の経過
 基本的治療がうまくいき、骨折などの合併症がなければ予後は良好です。

生活上の注意/予防
 食事、運動、日光浴などを毎日、定期的に持続することができれば、骨粗鬆症の進行を防ぎ、骨折の予防も可能と考えられます。

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