なるほどなー邪魔なヤツは占うのももったいないから即吊るすべきかと思ってたわやってない勢はセオリー知らなくて困る


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居酒屋3309店舗>>80安価SS

『なるほどなー邪魔なヤツは占うのももったいないから即吊るすべきかと思ってたわやってない勢はセオリー知らなくて困る 』



東風谷早苗が爆発した。

前後の状況はともかくとして、彼女は唐突に盛大に爆発したのだ。
袖とか色々ボロボロである。

「……何やってんだ、お前?」
そこに降りてきたのは霧雨魔理沙。
通りすがりのようだ。
突然の爆発に、少々彼女は驚いている。

「げふ」
咳き込みながら立ち上がる早苗。
大して怪我とかはしてないようだ。
埃を払い、彼女は首をふるふる振った。

「おほん」
それから咳払いを一つ。
早苗は話し始めた。

「実はですね、これには訳がありまして」
「無かったら驚くぜ」

早苗は滔々と喋る。
「ええ、実は私は最近、弾幕ごっこに凝っておりまして」
「うむ」
「勝負の駆け引きを熱くする為、色々工夫してるんです」
「はあ」
「まあ、つまり今回の原因に限って言いますと、おみくじ爆弾です」
「産廃ボムか」
「貴方の技と一緒にしないでください。私は真剣なのです」
「いや、まあ分かった。要するにお前、自爆したんだな?」

早苗は頷く。
「……ええ。弾幕ごっこ用に持っていた爆弾が誤爆しました」
「馬鹿だな、お前」
魔理沙は呆れた顔をした。
「い、いや、でもおかしいのです!」
「え」
早苗が首を振り、魔理沙に詰め寄る。

「これは勝手に爆発するような代物ではない筈だったのです。投げる前から爆発したりはしない物なのです」
「はあ」
「これはアレですよ、魔理沙さん!」
「はあ?」
「異変です!どうせ妖怪の仕業に決まっています」

魔理沙は欠伸をした。
それから回れ右して、去ろうとした。
が、早苗に襟首をつかまれた。

「おい、何をする」
「一緒に解決しましょう、この異変を」
「えー?」

ずるずるずる。
魔理沙は引きずられていった。




「……で?」
所かわって、ここは香霖堂。
店主の森近霖之助がそう口を開いた。
「つまりですね、店主さん。異変の犯人をぱぱっと発見する道具を貸していただきたいのです」
早苗は単刀直入である。
後ろにいる魔理沙は肩をすくめている。

「異変の原因なんてのは、毎度、何となく見つかる物ではないのかい?勘とかで」
霖之助はそう言うのだが、
「いえ、私は新参者ですから。あらゆる手を尽くさなければならないのです」
「はあ」
「とにかく、貸してください」
「いや、でもねえ」
「お金はちゃんと払いますから」
早苗の言葉に、霖之助は少々驚いたようだ。

「…ほう、君は意外に常識人だね」
「不本意ながら、いまだ常識人です」
「よし、貸そう。これだ」

霖之助が取り出したのは水晶玉。

「占いに使えるらしい。ずいぶん前にこちらに来た代物だが」
「ふむ、よし。それを借ります」
「はい、まいど」

早苗は一礼し、魔理沙を引き摺ってどこかへ去っていった。




「うむ」
早苗はまず、空に飛び上がった。
片手に水晶玉を持ち、片手に魔理沙の袖を掴んでいる。「別に逃げやしないぜ?」と魔理沙は言っているが、早苗は聞き入れる様子がない。

早苗は水晶玉を覗き込む。
店主の話によればこれはただの水晶玉ではなく、これを通して何かを見ると、何らかの予兆とか、隠れた真実を看破できる代物らしい。
そう言われれば、これを通して見た景色は何となく神秘的だ。気のせいかもしれない。

「あら」
早苗が声を上げた。
見知った顔がちょうど通りすがったのだ。

「小傘さん、でしたっけ」
「ありゃ?いつぞやの巫女、と魔女」
振り向いたそいつは多々良小傘。
早苗とも魔理沙とも面識がある。

「ん、どうした早苗」
魔理沙が早苗の様子がおかしいのを感じ取り、振り向く。
早苗は水晶を通して小傘を見ている。
なんかにやりと笑っている。

「むむ、なんかおかしい!気がします!この水晶が、そう言っています」
「はあ」
「?」
小傘が首をかしげる。
早苗は躊躇無く、彼女に向けてぶん投げた。おみくじ爆弾を。

「ぐぼぇ」
唐突に理不尽に爆発させられた小傘。
吹き飛んでどこかへ行ってしまった。


「……うわぁ」
魔理沙は眉をひそめている。
今の早苗の行動には、ルールも何もあったものではない。非常識だ。

「ふむ。今のが犯人だったようですね」
「話も聞かずに何を言ってるんだ、お前」
「水晶による占いの結果です。それに、妖怪は人間にとって邪魔な存在ですよね?なら問題ないはず」
「……それ、普通に間違ってるからな」
「え、そうなのですか?」

魔理沙は腰に手を当てる。
「まず、だ。幻想郷における妖怪退治には一種の美学がある」
「えっ」
「まずは相手ときちんと会話すること。それと、お互い楽しむこと」
「お互い、楽しむ?」
「そう、人間と、妖怪が、お互いに楽しむ。それが異変であり、スペルカード戦だ。常識だぜ?」
「なるほどー」
「さっきのは、ちと反省すべきだな、早苗。大体その水晶、効果あったのか?」
「いや、正直分かりません」
「ふむ。そもそも効果の無いマジックアイテムなのかもしれないが…お前、それを使いこなす気もなかったんじゃないか?」
「……ええ。実のところ、さっさと妖怪退治をしたくて、たまらなかったので」
早苗は肩をすくめた。
要するに、さっきの水晶占いもどきは、ただのジェスチャーだったというのである。

魔理沙はため息をついた。
「それはいけないぜ」
「なるほど…いや、邪魔な妖怪は占うのも勿体ないと思ってしまって」
「はあ」
「即吊るし上げにすべきかと思っていました」
「……非常識な」
「ええ、…普段から妖怪退治をやってない私はセオリーを知らなくて困ります」
「まったくだな。まあ、次から気をつけることだな」
「はい」


しばらく後。
早苗は魔理沙の家に招かれた。
「せっかくだから茶でも飲んでいけ」と、誘われたのである。

「お邪魔します…おお、雑然としてますね」
「一言多いぜ。ま、適当に座っててくれ」
魔理沙が部屋の奥に入っていった。

早苗は一人、ソファに座りこむ。
なんとはなしに、持っていた水晶玉を覗き込んだ。
「ん?」

曇っている。
さっきまで曇っている様子なんてなかったのに。

「…これは…!?」
この占い用っぽい水晶を通して見ると、隠れた真実を看破できるという。
この、明らかに禍々しい雰囲気!

「これが異変の源!?」
早苗は叫び、立ち上がった。
水晶玉を通して、曇っている部分を見つめる。

「え」

鏡越しの自分だった。
霧雨邸にある、姿見。
そこに移る自分の姿が、禍々しく曇っているのだった。

「え」

異変の原因は早苗にあった。
いや、正確には早苗の持ち物なのだった。

彼女は、外の世界から去る時、記念がてらに色々と買い物をしていたのだ。
特に便利そうな物を見繕い、外の世界のコンビニで買い物をし、それを幻想郷に持ち込んでいたのだ。

その一つがライターであった。
百円ライター。
幻想郷には無い物で、便利。

それをたくさん買い込んで、神社に保存してある。
もうかれこれ一年以上になろうか。
長い間、放置しておいたものである。

そのうちの一つを取り出し、早苗は携帯していたのだが…。


長い間放置されていた物には意思が宿る。
付喪神というやつである。
ぞんざいに扱われる宿命の百円ライター、それがずっと埃をかぶるまま放置されて。

それが軽く意思を持ったとしたら。
軽い恨みを…そう、「ちょっと悪戯したいなー」という程度の恨みを持っていたとしたら。

「あ」
早苗は、何となく理解した。

袂に入れていた百円ライターが、いや、ライターの付喪神が、「いまだ!」と言わんばかりに飛び出していって、

それから、

魔理沙の部屋の一角を占める産廃の山に突っ込んでいった。



その日、幻想郷で何度目か分からない大爆発が起こり、霧雨邸の屋根とか壁とか早苗とかが派手に吹っ飛んでいくのが各地で目撃されたという。




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