サタデーナイトフィーバーのようなもの


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「今日は土曜日です!」

唐突に戸を破って現われた衣玖に珍しく出来た空き時間にゆっくりとお茶を啜っていた藍は盛大に吹いた。
あとで掃除が大変だなぁ、と一瞬でも思ったのは完全に主婦業が染みついてしまった結果である。

「ど、どちら様ですか…?」

本来なら狼藉者に遠慮など一切必要はないのだが、律儀にも尋ねてしまう。
良く分からないが、ついついそうしてしまうようなオーラを侵入者は放っていたのだ。

「そういえばあなたと自己紹介するのは初めてですね。姿自体は見かけたことがあるのですが」
「…スペルカードでよく呼ばれるんですけど、一瞬なので相手までは…」
「あなたも大変なんですね…」

よく分からない友情が生まれた。

「永江衣玖と申します。ここの主人に用があったのですが、どうやら留守のようですね」
「ご丁寧にどうも…。あ、私は八雲藍といいます」
「どうぞよろしく」
「こちらこそ」

とりあえず、握手をする。

「…それで、今更なのですが、戸を破ってくることに何か意味は…?」
「演出です。特に意味はありません」
「言い切った!?」

あまりのきっぱり具合に突っ込みどころも見つからなかった。
いや、逆にあり過ぎて突っ込めなかったとも言う。

「それでは、我が家の戸は演出のためだけに破られたと…」
「大丈夫です。そんな空気の読めないことは私はしません」
「…!?」

なんか戸が直っていた。
何度も言うようによく分からないが、そういう特殊能力でも持っているのだろうか。

「…お見逸れしました」
「それほどでもない」
「ところで『土曜日』とかなんとか言ってましたが、それは何ですか?」
「外の世界で言うところの大抵の人がお休みをもらう日のことだそうです。勉学に挑む人たちにとっても同様の日であるらしく、かなり重宝されてるとかなんとか」

何でそんなこと知ってるのだろうか、と疑問に思ったが何故か突っ込む気にはならない。
突っ込んではいけない、という命令を誰かから受けているような気分だった。

「それは有難そうですね、年中無休の私からするとよく分からない感覚ですが」
「ええ、私もですよ。たまの休日も総領娘様に引っかきまわされて、とてもじゃないですが休む暇なんて…」
「…」
「…」

がしっと二人はより固い握手を結ぶ。
どこの世界にも上の人間に振り回されて苦労する人間はいるものだと再確認した。
ちなみに、冥界や紅い館辺りに行ったらきっと賛同者は追加されたことだろう。

「あ、ちなみに土曜日の次の次の日は「月曜日」という名だそうで、週の仕事始めということで土曜日が多くの人にとって天国の門であるように月曜日は地獄の一丁目だそうですよ」
「…っ!!」

ちなみに、この時の藍の思考を途中経過を省略してまとめるとこのような形になる。(脱線しすぎて纏めるのが不可能であった)

土曜日→「やったー、休日だ。橙と遊べる」→月曜になる→「うわー、忙しくて橙と遊べなくなる!!」→それが土曜日まで続く→「以下ループ=生き地獄」

「ちぇぇぇぇぇんっ!!」

びくっと飛び上がる衣玖。

「と、突然どうしたんですか…」
「橙と遊べなくなる期間があるなら休日なんていらねぇっ!!」
「そ、そうですね…?」

「目が異常なくらい本気で、理解できなくても否定は無理でした…」とは後の衣玖の弁である。
こほん、と軽く咳払いして衣玖は言葉をつづけた。

「ちなみに今ははっぴーまんでーとかいう名目で他の曜日の祝日も月曜に回されるらしいので、月曜日にが休みなることも多いそうですよ」

んー、と勢いを止めて藍はゆっくりと考えてみる。
その時の藍の思考は(以下略

「なら、休みがあった方がいいですねー♪」
「ですよねー」

あっはっは、と笑い合う藍と衣玖であった。
結局月曜の次の日とやらに移行するので何の意味もないことに藍が気付いたのは衣玖が去った後のことだった。






ちなみに結局ずっと何故衣玖が訪ねてきたのは分からなかったとかそうでないとか。

「…あ、スキマ妖怪さんから頼まれていた総領娘様のドジッ娘シーン全集を収めたものを渡すのを忘れてましたね」

…きっと分からないことの方が幸せなこともあるということで、これにてこのお話は終了である。
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