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【 棒テン理論 】 そのⅰ

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【 棒テン理論 】 そのⅰ 

 麻雀を語る上で戦術を抜きにすることはできない。

 戦術がない雀士の打ち筋で、結果として「 勝つ 」ことはあるかもしれないが、結果としてそれはあるだけで、

 イコール「 強い雀士 」ではない。

 そのためにはいくつかの戦術を駆使した、『 狙いのある打ち手 』となる必要がある。

 
 そこで、その戦術論の一つとして、【 棒テン 】を詳しくみてみたい。


 今回は【 棒テン 】に関する総論。


 そもそも【 棒テン 】とは何か。

 本来的な【 棒テン 】とは、【 役 】のまったくない4面子1雀頭の手を差す。
 例えば以下の手牌のようなもの。



 手牌 :

     待ち


 

 この手牌には役がなく、「 1翻縛り 」の通常の麻雀では、何らかの役がなければ和了れない。
 よって、【 棒テン 】だけでは和了出来ないことになる。


 だがここに、【 リーチ 】という役が存在する。この【 リーチ 】の存在が【 棒テン 】に力を与えることになる。

 【 リーチ 】とはご存知のとおり、

 

 ○ 面前で4面子1雀頭を作り、
 ○ 1,000点を供託し、
 ○ 以降、自分の手のを【 送りカン 】以外の暗カンでしか変えることなく、
 ○ ツモを和了牌以外ツモ切りすること

 

 によって得られる一翻役である。

 

 【 リーチ 】は日本生まれといって良い役である。
 一応、第二次世界大戦中の中国で発生したとされているが、それを大陸から持ち帰り、
 きちんとしたルールに体系付けられたのは日本においてである。
 「 リーチ 」と宣言された捨て牌を前にして「 うーむ 」と考えるこの【 リーチ 】という
 ルールは、日本人の国民性に歓迎され今日に至っている。


 この【 リーチ 】をかけるために最速の聴牌を目指す。これを【 棒テン 】という。


 一昔前まで、【 棒テン 】は「 下手の代名詞 」と言われていた。
 がんばってもリーチのみ。ドラが絡んで高くなることもあるが、それは腕前と言うよりは
 配牌やツモなど、運の要素が強いからである。
 【 棒テン 】は【 食いタン 】と並び、冷遇されていた戦法の一つである。


 しかし現代の麻雀では【 棒テン 】は無視できない戦法の一つに成長していった。
 その主な要因は【 イッパツ 】【 ウラドラ 】ルールにある。


 【 イッパツ 】【 ウラドラ 】はもうお馴染みのルールであろう。
 リーチ後の一巡目(鳴きが入らない)での和了が【 イッパツ 】、
 【 リーチ 】をかけた者が和了ったとき、ドラ表示牌の裏の牌を追加のドラ表示牌として使用できる特権が【 ウラドラ 】である。


 この【 イッパツ 】【 ウラドラ 】ルールのお陰で、「 リーチ全盛時代 」を迎えることになる。
 巷間の雀荘では「 リーチ麻雀 」を冠するほど【 リーチ 】は隆盛を究める。
 特に「 ご祝儀(チップルール) 」の導入により、その勢いに拍車をかけた。
 本来であれば防御不可能な状態に陥る【 リーチ 】は、様々な付加価値を付けることによって価値のある戦術へと昇華したのである。


 ここで【 棒テン 】の特徴をまとめてみよう。


 ○ いち早い聴牌を目指す
 ○ 【 リーチ 】【 イッパツ 】【 ウラドラ 】でパンチ力を求める
 ○ 【 リーチ 】で聴牌を知らせることにより、他家に遠回りをさせる


 つまり「 攻撃は最大の防御 」を実践するのが【 棒テン 】である。
 

 聴牌スピードでは【 鳴き 】の方が早い場合もあるが、他家の警戒度では【 リーチ 】に劣ると一般的には言える。

 他家の手を制限する力は【 棒テン 】が勝る。


 つまり、【 棒テン 】は「 先制攻撃 」にその重きを置く。
 

 他家に先にリーチされたり、親がダブ東をポンして中張牌を切り出したときなどは先制された状態と言えるので、

 【 棒テン 】はあきらめ、次善の戦術を採ることになる。


 【 棒テン 】は【 リーチ 】をしていなければ、13枚の手牌を持ったまま進行するので、オリる際にも柔軟性が高い。


 以上の特徴を考えると、【 棒テン 】を狙うのに適した状況をみてみると、


 1. 点差の少ない場(平場)での先制攻撃
 2. 場合によっては安い手を和了っても良い場
 3. ドラ牌、赤牌が配牌で固まっている状態


 となる。順番にみてみよう。


 1.はどういう状況下というと、もっとも頻繁に訪れるのは開局、つまり東一局0本場である。
 

 開局時は点差がまったくなく、お互いの戦略も最も自由度が高い。
 

 よって、よーいドンで聴牌合戦が始まるといってよい。狙う点数も自由であり、無理に高い手を作る必要性もない。

 もっとも【 棒テン 】に向いた状況と言える。


 2.は単純に親のときである。
 

 親はもちろん高い手を狙っても良いが、基本は連荘を狙うことである。
 そのためにはいち早い先制攻撃が必要となり、【 棒テン 】に適した状況である。


 3.は状況というよりは手の方向性。
 ドラが固まった状態ではほかにも【 鳴き 】が早い聴牌を得られるが、オタ風などがドラであった場合は使い道に困ることになる。
 

 こういう状況で無理に【 ホンイツ 】などに走ると防御力の点で劣り、振り込むことにもなり得る。


 そこで、これらの牌をきちんと使うために【 リーチ 】を目指す、つまり【 棒テン 】を志向することになる。


 以上で【 棒テン 】を志向する理由はおわかりいただけただろうか。


 ではどうやって【 棒テン 】を作っていくのか。


 【 棒テン 】は最速を目指すので、手牌の効率を最大限活用することによってその完成を目指す。

 単に【 リーチ 】を目指すのではなく、「 最速 」であることが【 棒テン 】の【 棒テン 】たる所以である。
 また、【 リーチ 】後の得点アップを目指すために、出来るだけ【 ウラドラ 】が乗るような手を作ることになる。


 簡単な例を。



 手牌 例① :

    ツモ



 ここで「 手役志向 」であれば、【 ピンフ 】を目指し  切りであろう。

 他の捨て牌候補の聴牌する枚数を見てみると、


 候補 ① :  ・・・     4種15枚  (  はツモ切りとなる )

 候補 ② :  ・・・       6種21枚

 候補 ③ :  ・・・        7種24枚

 候補 ④ :  ・・・        7種24枚

 候補 ⑤ :  ・・・           10種32枚

 候補 ⑥ :  ・・・           10種33枚


 と、圧倒的に   が優れていることがわかる。

 が、  は ワンズを持ってきたときにカンチャン待ちになる恐れがあり、そういう意味では  切りがもっとも優秀な手段である。


 こういった手順を知っていると知っていないとでは、聴牌スピードに大きな差が出る。


 この手役を狙わずに最速の聴牌を目指す  が【 棒テン 】の手筋である。


 では下の例を見てみよう。こちらは聴牌である。

 ここで何を切るのが【 棒テン 】では良いのだろうか。



 手牌 例② :

    ツモ



  を切って ペン  待ちにする人はいないだろう。待ち牌は1種3枚しかない。

 となると候補は  の膨れリャンメンか  のノベタンになる。

 待ち牌はともに2種6枚。一見すると同じに思える。


 だが、和了牌を含めた牌の数を見てみると、


 ① :  切り ・・・ 


     10種

     11種


 ② :  切り ・・・


     11種

     11種


 というように、 切りの方が1種類少ない状況が2枚分だけある。


 つまりどういうことかというと、


 ウラドラの乗る確率がほんの少しだけ低くなる


 のである。

 その確率は 1/34 = 2.94% ほどの違いでしかないが、長く打っていると100回に3回は

 ウラドラの乗りに差が出ることになる。それによって49勝51敗が51勝49敗になるかもしれない。

 そのほんの少しの差でも有利に立とうとする努力が長い目では勝率を分けることになる。


 その効率を求める方法、いわゆる【 牌効率 】を次回から詳細にみていきたい。


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