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【 棒テン理論 】 そのⅱ

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【 棒テン理論 】 そのⅱ

 【 棒テン理論 】編、第2回。
 今回は最終形で目指すべき方向の話。

 前回の総論で、【 棒テン 】は最速を目指すことはおわかりいただけたと思う。


 しかし、ここで勘違いしてはならないのが、「 最速のリーチを目指す 」のではなく 「 最速の和了 」を目指すということ。
 和了れなければたとえ2巡目のリーチでも意味はない。ウラドラも何もあったものではないのである。


 よって、現代棒テンは和了形を考えた進行になることをまず覚えておかなければならない。

 まずはその理由を説明しよう。


 【 棒テン 】というものは特性上、【 リーチ 】以外に役はない。
 つまりは得点源が限られるわけで、それを補うために、ドラ、ウラドラ、イッパツを重要視する。
 しかし、もう一つ重要な得点源がある。
 それは【 ツモ 】である。


 【 面前清自摸 】とはご存知の通り、面前で進められた手牌の和了牌をツモることによって得られる一翻役である。
 

 【 棒テン 】は【 リーチ 】をかけるので、必ず面前になる。
 よって、この【 ツモ 】を狙うことが得点力アップにつながる。


 しかし一口に【 ツモ 】といっても、ツモ山を支配できるわけはない以上、ツモるかどうかはそれこそ神のみぞ知る。
 その確率を上げる、つまり「 ツモりやすくする 」ことが【 棒テン 】では重要になる。


 これはもちろん「 手役志向 」でも重要な点だが、手役を狙った場合は【 ダマ 】という選択肢があるため、必ずしも【 ツモ 】を狙う必要性はない。
 「 手役志向 」の場合は、【 リーチ 】はあくまで付加戦術なのだ。


 一方、【 棒テン 】は【 リーチ 】が生命線である。
 わざわざ他家に聴牌を知らせる以上、一定のレベルの打ち手から和了牌が出てくるとは考えにくい。


 以上の点を踏まえて、【 棒テン 】では自摸和了を狙うことになる。


 では「 ツモりやすい 」待ちとはどういうものか。
 ここで基本をおさらいしてみよう。


 麻雀における和了牌の待ちの種類とは、以下の5種類しかない。



 1. 単騎待ち     1種3枚 
 2. ペンチャン待ち     1種4枚 
 3. カンチャン待ち     1種4枚 

 4. シャボ待ち     2種4枚 
 5. リャンメン待ち     2種8枚 



 すべてはこれら5種類の待ち、もしくはその組み合わせで分類される。
 国士無双の13面待ちは13面の単騎待ちだし、13面待ちでない国士無双はカンチャン待ちであるといえる。
 【 チンイツ 】などに現れる多面待ちも、すべてこの5種類の組み合わせで作られている。


 こう見ると、圧倒的に5.のリャンメン待ちが優れていることがわかる。
 つまり、リャンメン待ちを最終待ちにすることを心がけて手牌を組み立てることが現代棒テンでは重要になる。


 ここで補足をしておこう。


 ○ あくまでツモ狙いを行うための待ち選択であること
 ○ つまり、ロンを狙う待ちとは区別をする必要があること
 ○ 山読みや相手の手牌読みを行って、出たり持ってきたりする可能性を一旦除外すること


 説明を簡素化するため、この3点をあらかじめ定義しておく。


 極論を言えば、麻雀の和了牌というものは1枚あれば良い。それで和了れるからだ。
 そしてその1枚をめぐって争うところに知的ゲームの醍醐味があるといっても良い。
 
 しかしそういった状況は、まずもってある程度打ち手の力量を必要とするし、たとえそれが揃ったところで毎回そうなるとは限らない。

 そういう状況下であれば、山読みで残っているであろう  を狙ってカンチャンでリーチをかけるのは非常に良い狙いである。

 他家の手牌に固まっているであろう  をはずして  から  の待ちに焦点を絞ることは間違いではない。


 だがそういった情報が毎回得られるわけではない以上、【 棒テン 】で頼りにするものは【 確率 】である。

 より高い確率の方にかける、というスタンスが【 棒テン 】のスタイルなのだ。


 まずはここまでおわかりだろうか。


 では先に悪い【 棒テン 】の例を実戦譜から。始めにお断りしておきますが僕の手ではありませぬ。



 【 棒テン 悪い例 】


 配牌  :

    切り
 

 ツモ  :

    切り
 

 ツモ  :

    切り
 

 ツモ  :

    切り
 

 ツモ  :

    切り リーチ



 これがいわゆる「 一昔前の棒テン 」
 つまり「 下手の代名詞 」の方である。ドラは赤牌以外ない。カン  待ちでリーチ。


 この手は結局流局近くまで和了れず、上家の僕が廻しつつ手作りをし、ピンフツモドラ1を和了して終了した。


 ここで何が悪かったのかと言うと、カン  のままリーチをしてしまったことである。
 確かに4巡目のリーチは早く、他家にプレッシャーを与えるだろう。
 しかし和了れないのでは意味がない。


 結果論だが、この打ち手は次巡  をツモっており、リャンメンに変化させる手段はあった。
 そして下家は  を切って勝負していた。


 もちろんこれは一面での話で、カン  に受けてイッパツツモをする場合もある。
 で、 「 俺って強いかも 」 と思ってしまったりするわけである。


 しかし、長い目で見ればやはりカンチャンはカンチャンであり、リャンメンには敵わない。
 ある一局だけの勝負をみればそれはわからないが、100戦、1,000戦すればおのずと結果は違ってくる。


 現代棒テンは聴牌することが目的ではない。和了ることが目的なのである。


 では以上を鑑みて例題。これも実戦譜から。



 手牌 :

    ツモ


  

 この状態で何を切り何を残すのか。

 この状態を細分化すると、


 1.   単独孤立牌
 2.   膨れ面子
 3.   カンチャントイツ


 になる。リャンメン候補はない。あるのは【 浮き牌 】と呼ばれる孤立牌が3種類。


 1. 
 2. 
 3. 


 と考える。
 ここで、各候補のリャンメンになりえる確率を考えると、


 1.   2種8枚
 2.   2種7枚 ・・・  を既に自分で使用しているから
 3.   2種8枚 


 となる。


 また、仮にリャンメンになったときの和了牌の数を比較すると、


 1.  ・・・ 2種8枚  ・・・ 2種8枚
 2.  ・・・ 2種7枚  ・・・ 2種7枚
 3.  ・・・ 2種6枚  ・・・ 2種8枚


 となり、残すべき優先順位は


 1. 
 2. 
 3. 


 ということになる。


 実際の牌譜ではここで  を切り、次巡  をツモってリーチ。数巡後に上家よりロンすることができた。


 各々の牌を切った場合の実際の聴牌に至る枚数を比較すると、


 1.  切り           9種27枚
 2.  切り           10種31枚
 3.  切り           10種36枚


 と、この優先順位通りになる。


 リャンメン待ちになる牌の数だけを比較しても、


 1.  切り     4種15枚
 2.  切り     4種15枚
 3.  切り     4種16枚


 となり、  切りが正着打と言える。


 ここで重要なのことは、正着打を仮に選択しても、裏目というものは必ず存在するということ。
 これを忘れてはならない。

 確率の上では  切りが正解であるが、切ったとたんに  を持ってくることもある。
 あくまで確率が高いというだけで、上手くいかない確率も存在する以上、バイアスは消しようがない。


 そういう時に「 ハンゲめ!!! 」と言うのは簡単だが(笑)、自分のツキを確認する手段ととらえよう。

 正着打とは、長い目で見なければ確認のしようがないものである。


 このように考えると、  と  があった場合、 の  を落とすと

 効率が良いことがわかった。

 もちろんこれが  と  では話は別である。
 

  がリャンメンになる候補は   の2種7枚に対して、  が

 リャンメンになる候補は  の1種4枚だけであるからだ。


 さらにこれが  と  ではどうか。


 この場合、リャンメン候補は  の2種7枚に対して  は2種8枚。


 対してリャンメン変化後の待ち牌の数は、


  :
  ・・・ 2種7枚  ・・・ 2種7枚  計 4種14枚
 
  :
  ・・・ 2種8枚  ・・・ 2種6枚  計 4種14枚


 と優劣微妙。同じ5が浮き牌なのでほぼ同じ数になるが、考え方が異なる。


 こういった場合はウラドラを考慮する。
 
  + (  ) ・・・  で6種  で5種
  + (  ) ・・・  で5種  で4種 (イーペーコ)
  + (  ) ・・・  で7種  で7種
  + (  ) ・・・  で7種  で6種


 というわけで  に軍配が上がる。


 緻密に見れば見るほど感覚との誤差があるのが牌効率の面白い点である。


 結論を言うと、


 ○ 【 棒テン 】ではツモ和了を目指すこと
 ○ そのためには最終待ちはリャンメン待ちかそれに準じた待ちにすること
 ○ そのための牌効率を覚え、実践すること
 
 が現代棒テンを駆使するための条件であると言える。


 次回はリャンメンでないターツをどうやって捌いていくかをみてみよう。


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