桜井淳 発言研究まとめ@Wiki

車体構造論の誤り

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 福知山線事故に際し、桜井氏は車両軽量化悪物説のトップランナーとなり(川島令三氏も、「なぜ福知山線脱線事故は起こったのか」にて「E231の車体幅は207系と同じだが、207系より約1.4トンも軽くしている。(略)したがって207系の方が強度は高い(P70)」と述べるなど、この点では双方意見が一致してるか。)、車両構造と強度の再検討を始めたのは、自分の提言が役に立った、としている。

参考1)(参考2


 だが、これはとんでも無いミスリードにもなりかねない。何しろ、ステンレスを「軽量素材」と言ってみたり、新幹線のFRP製ノーズカバーの破損を持ってきて軽量素材(アルミ合金)=弱いと単純に断言してみるなど、工学的強度以前のミスをやらかしてるのはお話にならない。

 そもそも、車体が変形することそのものは脱線したからであって、車体が変形するから脱線する、というワケでは決してない。

 各論は、

・ステンレス車体は弱い
・アルミ車体も”弱い”

に譲る。

(この項、日本機械学会のコラムを参考にした。)

TASK(鉄道安全推進会議)が、1995/11/14に出した、ニュースレターに、富士重工宇都宮車両工場(当時)の方のコメントがあり、車体強化について次のように述べたという。

設計において車両の軽量化をはかるという要求はあるが、ただむやみに軽くすればよいというものではなく、むしろ重心をどう低くするかということが問題になるということです。

TASKからの意見書にあるように、車両構造の強化のために通し梁を入れるとなると、制動距離に影響し、そのためブレーキとかいろいろ変えていくと、エンジン馬力をどうするかといった点にも影響がでてくる。したがって、そのような設計変更が可能かどうかは種々の検討が必要になり、単純には判断できないというお話でした。 


【追記】
 朝日新聞2005/09/25に興味深い記事が紹介された。
 CRCソリューションズの片山雅英=技術スペシャリストが、コンピュータ上で福知山線脱線事故における、2両目の変形を条件を変えて再現してみたところ、車体厚みを10ミリ(207系外板厚は1.5ミリなのでおよそ6.7倍)にしても、速度を半分の54キロにしても、このような事故に対しては車体の屈曲は防げず、「脱線させない運行管理が大切」との指摘をしている。

 勿論、このシミュレーションの第三者検証は必要であるが、厚さ6.7倍とすると、構体だけで何十トンというまともに電車として使い物になるのかどうかすら怪しい重量で、それでも屈曲は防げないとすると、桜井氏の主張は瓦解する。

 加えて、2005年12月25日発生してしまった、羽越本線の特急いなほ脱線事故においても、鋼鉄製の車体ですら屈曲してしまった。

【追記】
 その記事について、桜井氏は、件の技術スペシャリストへ問い合わせをしている。
 

 そして、「急を要していたので骨組みは無視した」との回答を得ました。骨組み構造の設計の仕方によって、変形は、大きく緩和できます。よって、解析例は検討不十分です。

しかしながら、その解析例が検討不十分とした根拠は、2006/04/08現在未提出である。


 さらに。国土交通省の技術基準検討委員会の中間とりまとめが、2005年11月29日に出来た。

 その中で、
車体構造の強化については次のように書かれている。(PDFP10-11より)

 

  (4)被害軽減方策のための課題

 

 近年のいくつかの事故調査や福知山線列車脱線事故において、衝突等が発生した際の被害軽減方策の一環として、衝突を前提として被害を最小限に抑えるための車体強度の強化や車両構造のあり方について検討を行うべきとの指摘がなされた。

 このうち車体強度に関しては、現行の規定では「通常の営業運転で想定される車体への荷重等に対して、運転に耐えられる十分な強度、剛性及び耐久性を有するもの」とされており、踏切道での乗用車との衝突程度を考慮することを求めている。

これについては、今回の事故等を踏まえ、さらに大きな衝突にも耐えられるような車体強度にすべきという意見もある。しかし、今回のように高速度で衝突した場合、そもそも衝突により生じるエネルギーは極めて大きく、仮に車体の強度を増し破壊しにくい車体としたとしても、その中にいる乗客や衝突された相手方は衝突によるエネルギーを直接受けることとなる。

 したがって、衝突のエネルギーをどのようにして吸収し、乗客や衝突された相手方へのダメージを小さくするかという観点も含め、車体強度のあり方について総合的な研究を進めていく必要がある。
 また、車両構造についても、異常が生じた際の安全性向上という観点から、衝突時の被害軽減、転覆のしにくさ等を考慮した構造とすることも重要である。これらについても、過去の事故における知見を分析しながら技術的な研究を進めていく必要がある。

 国土交通省の意見も、「車体強度を闇雲に上げるのではなく、車内の乗客や衝突された相手方のダメージも考えて、研究を進めなくてはならない。」と、ほとんどこの事故をふまえた鉄道系blogなどで述べられた意見と同じとなった。


【追記】
 

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