新幹線は自動運転できる 2:女王陛下のひかり号
2006年3月6日(月)
新幹線の完全自動運転は可能か
の内容は、新幹線の運転士をコケにしたとしか思えない内容のため、あえて別ページにして反証する。
スタートする時、いまは操作レバーを"力行"に入れますが、それ以後は、突発的なことでもない限り、ATCによる自動速度調整運転になります。"力行"に入れることくらい何もしないに等しいでしょう。
そのレバー、まさか、「力行・停止・逆行」の3点しかない、とでも?
JR東日本新幹線総合車両センターのページ内、おそらく小学校高学年向けに書かれた、新幹線のしくみのうち、新幹線の運転室の絵には、
主幹制御盤
ハンドル操作により速度を調節する制御回路に指令を与えます。1~10ノッチまでの10段階のアクセル操作があります。
と、ある。「力行にいれて他は何もしない」という事はあり得ない。
また、「何もしないに等しい」とは、あまりにも運転士をコケにしている発言である。
ATCによって「速度超過をしないように機械側で制御」されているのは事実だが、制御の裁量の中で運転士は天候・乗客の多い少ない・昇降に手間取って停車時間が延びる等の不確定要素を、自らの腕によってコントロールしている。その結果が、平成16年度で1列車あたりの平均遅れ時間0.1分(6秒!)という凄まじいスコアなのだが。
そして、その最たる物が、このタイトル「女王陛下のひかり号」である。
「弾丸列車」から「シンデレラ」まで 写真で見る新幹線の30年/大丸東京店
1994.10.01 読売新聞東京朝刊
(略)
JR東海はまた、展示に合わせ、この三十年の中で拾った「新幹線こぼれ話五編」をまとめた。
ひとつは、昭和五十年に来日中のエリザベス女王が「新幹線は時計より正確」と言って名古屋から乗り込んだ時のエピソードで、名古屋着が大雨の影響で二分遅れていたが、ATC作動ぎりぎりの二百九キロで走行を続け、東京駅に定時到着し、威信を守った運転士の腕を「女王陛下のひかり号」としてまとめた。
この当時は、時速210キロに入ったらATC作動するようになっていた。作動すれば、常用最大ブレーキがかかってしまい、遅れの回復がさらに難しくなる条件を、運転士の腕でクリアしたまさに神業といえよう。
なお、再掲になるが、桜井氏の著作、「崩壊する巨大システム」で、氏は、運転士2名体制途中交代制になったことに対し
「ただでさえ精神的疲労が極限に達しているにも拘わらず、さらにずたずたに酷使しようとしている」('P28)
「東京から大阪に向かう場合、東京-浜松間を運転した運転士はそれまで車掌をしていたもう1名に運転を任せ、今度は車掌に変身する。このパターンが交互に繰り返される。これでは運転士の疲労が激しく、咄嗟(とっさ)の判断を要求される場合にその判断が狂うかもしれない。」(p75)
と、述べており、
その程度の操作は何もしないに等しいでしょう。
鉄道マニアの中には、ことさら、その2点を強調しますが、私から見れば、何もしていないに等しいのです。(参考)
との齟齬はなおも残ったままである。