桜井淳 発言研究まとめ@Wiki

脱線転覆事故を想定した車両構造設計は可能か

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匿名ユーザー

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車体変形は防止できうるか

 

今後は、衝突実験をきちんと実施し、構造設計や強度設計において、最適な条件を見出さなければならない。

という主張を、桜井氏は福知山線脱線事故をふまえ、されているが、残念ながらそれは非現実的である。

構体模型を作って衝突させ、シミュレーションへの信頼性向上に役立てる実験は、日本でもあるが(参考pdf)、実車での試験は、経済的にもさることながら、質量が30倍(下手すればそれ以上)の鉄道車両の衝突時の反力は自動車のそれとは比較にならず、試験設備の能力の面からも非現実的である。
(※1 参考資料ではニューヨーク地下鉄用電車の仕様書に、「実車にて衝突実験をすること」とあり、プエブロの実験線で衝突実験用の壁まで作って現実にやったが、それに先んじたシミュレーションとの解析精度の確認が取れた、とのことであり、今となってはわざわざ実車実験する必要性は非常に低い。)

 脱線転覆事故を想定した車両構造設計をしていない

 

 

と、述べてはいるが具体論は無い。また、脱線転覆を想定した研究は台車においてなされており(参考1参考2)、車体が考慮されるのは横風を受けたときの影響の研究、のみである。すなわち「そもそも脱線転覆させなければそれで問題ない」という考えである。
つまり、脱線させない対策は台車で対処し、車体側の対策は衝突だけならまだしも、脱線転覆の対策まで負わさせるのは佐藤氏の言うように、

 

 

「事故が起きた。車体がひしゃげた。だから、車体強度を上げよ」と言う要求は、事故時のエネルギーを勘案すれば実現不可能な暴論であることは明らか。無論、事故対策の理念としても誤っている。

「構造設計は可能」と言い切っているが、「そのためには実験をしてデータを収集する必要がある」と。

即ち、実験は未だ一切行なわれていないにも関わらず、「構造設計が可能」と言い切っている。
その根拠はどこにあるのであろうか?

なお、先に述べた地下鉄車両の衝突試験であるが、衝突試験を行ったのは川崎重工であり、車種はニューヨーク地下鉄向けR142Aである。その際のシミュレーション結果と試験結果が良く一致したことから、同社は次のニューヨーク地下鉄向けの車両であるR143の納入時には衝突試験を免除されている。
また、この際の衝突試験では運転室の前までがひしゃげてエネルギーを吸収しているが(乗務員室・客室はほぼ無傷)、このときの吸収エネルギーは約1MJ、すなわち100万ジュールである。このエネルギーは簡単に計算すれば1トンの普通乗用車が秒速約45m(≒160km/h)で停まっている電車に正面からぶつかった(突っ込んだ)時のエネルギーに相当する。
言い換えると、踏切で立ち往生している乗用車に列車が時速160キロでぶつかっても乗客は大丈夫(車両が大規模に変形しない=乗客がケガをしない、と仮定すれば)ということになる。


(※1)田口 真他 鉄道車両における耐衝突性構造の開発(149号)p14

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