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【番外】JR西日本脱線事故の背景と教訓(高圧ガス Vol42 No12(2005))の検証

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【番外】JR西日本脱線事故の背景と教訓(高圧ガス Vol42No12(2005))の検証


 雑誌「高圧ガス」のこの号では「事故・トラブルに学ぶ」と題した特集記事がいくつか掲載されており、そのうちのp10-14が、桜井氏が標記の論題で記したものである。
 論文とは言えず、随想と言うのが正しそうなのだが、実質3p(1pは事故調査委員会の中間取りまとめを表にまとめたもの。)でもきちんと参考図書示してあるので・・一応論文にしたかったんだろうと、想像のつくものである。

 中間報告書への批判であるが、この2点にわけられよう。

 

1)事故調査委員会は「車両に不都合無し」と記しているが、それは本当か?車両に何らかの異常があったと推定される報道があったとされるが、矛盾する。
2)非常ブレーキは本当に脱線後だったのか。

 参考資料に寄れば、「車両の異常報道」は、毎日新聞の2005/05/02朝刊とのことであるが、

JR福知山線脱線:生死分けた階段/対向特急、100メートル手前まで(その1)
2005.05.02 東京朝刊 27頁 社会 写図有 (全2,744字) 
(略)
 乗客が“異変”を感じたのは伊丹駅でのオーバーランから。発車後、さらに不安が増す。右側に座っていた西宮市の会社員、西田貴善さん(26)は「ウイーンというものすごいモーター音がして、ジェットコースターのように加速した」。右側にいた宝塚市の大学生、加藤英樹さん(20)は「荷物を足元に置いて、両手でつり革を持たないと耐えられなかった」と証言する

 事故後で平常心を保てているかどうか、記憶は結構あてにならない事も鑑みなくてはならない。
 また、現在運転士心理分析などが抜けているのは、目下調査中のため、何とも言えず。

 次に、運転管理の実態が続くが、個人的にはここだけで、参考資料付けて、即刻リジェクトをかけたくなる。
 かつて氏が「所詮広報誌」と言いはなった鉄道ジャーナル誌は、間違いなくボツ。東京のりもの学会では、鉄研会報や同人誌だけに、最終的には「批判は本人に行くだけ。主催者は関知せず」だから明らかな間違いがあっても、頒布そのものは可能である。ただし、その場合には、その場で頒布受けた参加者から、問い詰められることは間違いなかろう。

 

 

 

新幹線の運転士の操作は次の四点のくり返しである。
1)ドア閉操作
2)運転操作レバーを力行に入れるだけで、あとはATCにより。規定速度で走行。
3)停止駅のホームの停止位置数十メートル手前で、時速30km/hの状態でATCによってかけられたブレーキを解除し、そのまま停止位置まで徐々に進行して、停止ブレーキをかける。
4)ドア開操作
よって、監視業務に近い。

1)と4)については、車掌業務である。
車掌業務では、主にドアの開閉を行う後部車掌を務めています。
参考

2)については・・・・
大阪、神戸の市街地を抜けると、いよいよ世界最高速の時速300キロまで列車を加速させます。また上り坂で何の操作もしないと、スピードが落ちてしまいます。運転士は、こまめにノッチを操作してスピードを一定に保ちます。
JR西日本のオフィシャルページ参考にした。

3)ではあるが、参考にしてもらったはずの、金沢工大=永瀬教授の「鉄道を斬る! 新幹線名古屋駅における「こだま」号オーバーランの意味するところ」を完全に曲解している模様である。

 

 

 

 

 都内の山手線を始めとする京浜東北線、メトロには、ATCやATS-Pが設置されている。新橋と有明の間を走行している「ゆりかもめ」はATOによる無人運転が実施されている。メトロの一部や最近開通した「つくばエクスプレスTX」にもATOが設置されており、無人運転も可能だが、後者の場合、各駅の出発時に運転士が運転操作レバーを力行に入れるだけである。

 ノッチは使わず、確認ボタンを押すだけ、が正当。それでは運転士の操作カンが鈍るので・・以下後述。

 続き、事故の教訓として、氏は「鉄道関係者Yへ、構造化面接方式で聞き取り調査」をしたとされる。
 ところがその質問内容、および、Y氏への聞き取り調査そのものがあったのか(Y氏が実在するのかどうか)どうかが不明で、ただ

 

 

 

「事故は安全闘争の敗北の結果もたらされた必然的帰結である」

との証言を得た、とされるだけでトレーサビリティ上問題大ありである。

 

 

 

 今の車両の構造設計には脱線・転覆を想定した工学的安全対策が施されていない。高速化するため、更に経済性を上げるため、アルミニウムやステンレスの構造材や外壁を採用し、軽量化を図ることに問題があるのではなく、想定事故が不適切なため、救える命も救えないほど軽量化されていることが問題なのである。車両の構造設計には、実規模での衝突実験や脱線実験、さらには脱線・転覆実験を実施していないため、現実的な事故データが反映されていない。

 今の車両どころか、実車両使った実験は、鶴見事故ふまえた、狩勝実験線での競合脱線実験くらいしか思いつかない。実車での衝突実験ですら、車体の重さを鑑みて、莫大なエネルギーを受け止めるだけの実験装置が存在するかどうか。まして、脱線転覆実験はテレビ番組の企画で、永瀬教授が模型列車をカーブで脱線転覆させたものがあるが、この企画は「カント」の存在の説明のためにおこなったものであった。

 脱線への備えは、台車・線路側でなすものであって、車体で備えるのは、せいぜい踏切事故対策で前面強化、だけである。
(鶴見事故も、これによってフィードバックされたのは、車輪形状の変更・脱線防止ガードの設置、であり、車体側への対策ではない。(参考))

 

 

 

 

車両メーカーの元エンジニアは、今回の事故後においてもなお、「車両構造に改善を求めるのは的外れであり、起こらないように工夫すべき」と強調しているが、人間の注意力と簡単な工学的安全対策だけで大惨事が防止できるのであれば、過去の大惨事は全て防止できていたはずである。

 参考文献により、佐藤国仁氏の「私信」を採用したとあるが、この文だけでは佐藤氏がいわんとすることが解らない。佐藤氏は、「速度超過のみを主要因としてその理由と再発防止を考えるべきです。」と述べている。
 それを踏まえて「車両構造に改善を求めるのは的外れ」と述べたのではないか、とも、仮定できる。

 しかしながら、どんな対策を取っていても、悔しいが事故は人間の想定の外をついて発生する。真摯に事故に学び二度と起こさせないためにはどうすべきか、その視点が氏には欠けている。

 

 

 

 

最悪の事故を想定した安全評価を実施する必要がある。

と、氏は述べるが、その具体的方法は何であろうか。

 自動運転システムの導入による監視業務への移行にも配慮すべきである。

と、結んではいるが、逆にモラールの低下を及ぼすことに成りはしないか。「なぜ起こる 鉄道事故(山之内秀一郎 朝日文庫)」p316-317に

 

 

 

「機械やシステムが便利になると、人間はその分怠け者やぼんやり者になり、新しいミスを犯す危険性がある」とあり、システムを「客に死傷が出るような事故はシステムで守る。その他はなるべく人間の責任に任せた方がよい。

と述べている。先述のATO採用している路線のうち、つくばエクスプレスや東京メトロ南北線は、時々運転士がATOバックアップに回して自ら運転操作をおこなっている事も鑑みて、日本のあらかたの鉄道システムはこの考えに近いモノと思われる。

 参考文献・・・まで検証対象になるのかぁ?
 述べられている参考文献は、12はあるが氏の著作によるものが2件。トレーサビリティ上問題有りが2件(Y氏の聞き取り調査と、佐藤氏の私信。)ほとんどをしめるのがATC・ATS-P・ATOの解説ではあるが、市民的危機管理入門vol405JR福知山線脱線事故の衝撃(IV)―私の社会対応記録―に述べた内容と全く同じ。

 さすがに「政権速度」は訂正済だったが、

 

 

  • ATC・ATS-P・ATOのAを、あいかわらず"Auto"の略と誤ったまま("AUTOMATIC"が正当)。
  • ATO説明中
    「東京急行は、東京メトロで部分的にATOを採用」
    という不明快な文はそのままであった。

 

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