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はじめに

本ページは「ふしぎの国の世界大戦」用ミニゲームサプリメント「礼号作戦」の解説です。本ミニゲームは里々を
学習ついでに弄くってみようという目的のもと製作されており、必ずしも楽しく快適なゲームではないことをご理解ください。
また、このミニゲームを作るにあたり、整備記録内の「潜水艦ゲーム改」を大変参考にさせていただきました。

ゲームの概要

大平洋戦争中の1944年12月に、フィリピンのミンドロ島において日本海軍が米軍に対して行った礼号作戦
日本軍側司令官、すなわち第2水雷戦隊司令官となって勝利を目指す偽海戦風ウォーゲームです。

ゲームの目的

10ターン目が終了した際に、一定以上の勝利ポイント(Victory Point、以下VP)を得ている事。
VPは様々な行動により増減します。

ユニット

あなたの手持ちには3つのコマがあります。すなわち
駆逐艦「霞」 「清霜」「朝霜」の3隻で構成された部隊
駆逐艦「榧」「杉」「樫」の3隻で構成された部隊
重巡洋艦「足柄」軽巡洋艦「大淀」の2隻で構成された部隊 です。

3隻ないし2隻の船からなる集団をユニットと呼びます。これら3ユニットは毎ターン1回ずつこの順番で行動し、順番が回ってくるたびに
毎ターン3マス移動する事が出来ます。ただし、ゲームの仕様上好きなマスに移動出来てしまうチートが可能です。ご使用は良心と相談してどうぞ。
この順番で行動するのは、一般に駆逐艦の方が速力や小回りの点で優れている事、また「霞」には司令官木村少将が乗船しているため
命令伝達が最も速やかに行われる事が理由です。

各ユニットにはパラメーターとして指揮統制値と耐久値を持ちます。
指揮統制値とは艦内が一致団結している様子や士気の高さ、水兵の戦意を数値化したものであり、これが高いほど立派な戦闘が可能になります。
耐久値は艦船がどのくらい傷ついて戦力を消耗しているかを数値化したものであり、後述するVPに影響します。

指揮統制値は戦闘行動を行わなかったターンのみ自動で回復しますが、耐久値はゲーム中回復する事はありません。
ただし、戦闘に際し耐久値が影響を与える事はなく、0になったとしてもユニットの行動には無関係です。これに付いても後述します。

ゲーム開始時点で各ユニットは耐久値および指揮統制にダメージを受けた状態で表れますが、これはミンドロ島へ進撃する最中に
敵航空機の攻撃で消耗している事を表しています。実際の戦闘では、ミンドロ島へたどり着く前に駆逐艦「清霜」が撃沈されてしまっているのです。

移動と戦闘

マップの□で記された点は海であり、自由に行動出来ます。「島」と記された部分はミンドロ島でありそこへ移動する事は出来ません。
マップ上で○で記された点にユニットが移動すると艦砲射撃が実行出来きます。指揮統制に応じた確率で判定がなされ、
上手くいった場合プレイヤーは2ポイントのVPを得ます。艦砲射撃を実行しなかった場合は戦闘行動を行わなかったと見なされ、指揮統制値が回復します。

マップ上には敵の魚雷艇、輸送船が隠れています。ゲーム開始時点では何処にいるか分かりませんが、毎ターンの始めにランダムで
付近を飛行する味方の水上偵察機からの連絡が入り、座標を突き止める事が出来ます。これら魚雷艇・輸送船は退避命令を受けており積極的な
行動を禁じられているため、座標を動く事はありませんが、座標そのものはゲームを始める度に変わります。プレイヤーのユニットの座標と
これら敵船の座標が重なると自動的に交戦し、指揮統制に応じた確率で輸送船なら3ポイント、魚雷艇なら4ポイントのVPを得ます。
得られるVPに差があるのはその目標の軍事的価値を表しているためです。また、敵から指揮統制、耐久値に手痛い反撃を受ける危険性も魚雷艇>輸送船>艦砲射撃となっています。

魚雷艇、輸送船共に座標が分かっていなくとも、プレイヤーのユニットが運良くその座標に移動すれば発見出来ます。

艦砲射撃にせよ艦船との戦闘にせよ、戦闘後は指揮統制値と耐久値が減少していきます。敵艦船が座標を変更しないのを良い事に毎ターン連続で戦闘し続ける事も可能ですが、
VPを得る確率(=指揮統制値)はどんどん下がっていきます。戦闘行動を行ったターンは指揮統制は微塵たりとも回復しません。
艦砲射撃が可能な場所に敵艦船が潜んでいた場合は艦船との戦闘が優先されます。これは史実において、当初の作戦目的が敵艦船の撃沈であるためです。
ちなみに両艦船を比べた場合、輸送船からは反撃が無いため指揮統制値・耐久値の減少が少ないことを覚えておくと良いでしょう。

ターンの終了時には敵航空機からの攻撃が処理されます。各艦は自動で対空戦闘を行い、結果として指揮統制値と耐久値にランダムなダメージを受けます。

最終ターンが終了すると、各ユニットは再び2日かけて母港へ戻る事になるのですが*1、この際全てのユニットは
敵の航空機や潜水艦、または魚雷艇により多かれ少なかれ耐久値にダメージを受けてしまいます。
マップの◇で記された点にユニットがいる状態で最終ターンを終了すると、そのユニットは離脱扱いになります。離脱扱いでない場合、ペナルティとして
帰投時に耐久値により大きなダメージを受けてしまいます。これは夜明けまでに敵航空機の行動範囲から逃げ切れないという事や、
敵潜水艦に良い条件を与えてしまう事などが理由です。

VPと勝敗

前述の通り、艦砲射撃を実行する事で2ポイント、艦船と交戦する事により、輸送船なら3ポイント、魚雷艇なら4ポイントのVPを得る事が出来ます。
ゲーム終了後、各ユニットの残りの耐久値から損失VPが算出されます。ゲーム中得たVPから損失VPが差し引かれ、最終的なVPが決定します。

さて、如何にして勝敗を判定するか?

この作戦が行われた段階で日本海軍の組織的戦闘能力は壊滅しており、稼働する船はたとえ海防艦であろうと重宝されていました。
米軍との物量差は圧倒的であり、敵艦を沈める事より無事に帰る事の方が重要かもしれません。
史実の礼号作戦では、「清霜」の撃沈、「足柄」「朝霜」が中破、「大淀」「榧」の小破と引き替えに、
輸送船1隻を撃沈、3隻を小破、魚雷艇数隻が損傷、30機程度の航空機を完全に喪失、若干数が損傷、滑走路の一時使用不可、
物資の荷揚げの一時中断という戦果*2を挙げています。

しかし、本来の目的であった「米軍のルソン島上陸を遅らせる事」という観点で見ると、これは全く達成されていません。
ミンドロ島砲撃により米軍の作戦行動に何らかの遅延が発生したかというと、それは断じてノーなのです。
むしろ貴重な稼働艦艇、しかも商船の護衛に最適な駆逐艦や巡洋艦を無意味にすり潰したと強弁する事も出来なくはないでしょう。
先ほども書いたとおり物量差は圧倒的なのですから、荷揚げされた物資を幾ら砲撃したところで文字通り「割に合わない」のです。
これが礼号作戦が「帝国海軍の組織的戦闘における最後の勝利」であると言われる理由かもしれません。
戦術的勝利だけど戦略的敗北だった、という「いつも通りの」表現をする事も出来るでしょう。
ただ彼らを擁護するなら、レイテ沖海戦で栗田艦隊が諦めた「航空機が手ぐすね引いて待っている敵泊地への襲撃」を成し遂げたのは事実ですし、
それを考えれば敗北続きの連合艦隊とその将兵の士気高揚*3に大きく貢献した事は想像に難くないと言えます。
戦争をするのは生身の人間である以上、士気というのは重要なファクターでしょう。

さて、勝敗についてですが、VPが0以上なら胸を張って勝利と言えます。というかマイナスでも全く不思議じゃないです。
簡単そうに見えてかなりきつい勝利条件です。マイナス5くらいでも辛勝と言えるのではないでしょうか。
とどのつまり、いかにして「割に合う」作戦にするかがキモなわけです。

四方山話

偵察機が敵の居場所を突き止める確率=毎ターンの頭に各々に魚・輸双方に対して3分の1の確率
艦船への攻撃及び艦砲射撃の成功率=(そのユニットの指揮統制)%
ゲーム終了時の損失VP=(300-(全ユニットの耐久値))÷100 (小数点切り捨て)

実際にプレイして貰うと分かりますが、このゲームは運がかなり絡みます。史実でも、襲撃がもう少し早いか遅いかしたら大量の獲物が停泊していたのです。
例えば、艦隊が母港カムラン湾に帰投した翌日、戦車揚陸艦25隻、輸送船3隻、タンカー7隻、水上機母艦2隻、魚雷艇母艦1隻、駆逐艦9隻という
米軍の大船団がミンドロ島のサン・ホセ港へ入港しています。また出撃の4日前には輸送船25隻、駆逐艦11隻の船団がミンドロ島へ向け出港しています。
襲撃の直前に帰ってしまったため、結果として日本艦隊は誰もいない港へ殴り込みを掛けてしまう事になったのです。
ちなみにゲームに登場する輸送船はこの船団の物で、この時荷揚げが遅れたために取り残されてしまった輸送船です。

獲物、と書きましたが、その一方で日本艦隊出現の報を受け急いで援軍に向かった米軍の部隊もあり、
重巡2、軽巡2、駆逐艦8隻で構成されたこの艦隊は、第2水雷戦隊が襲撃を終えた12時間後に現場に到着しました。
戦力差を考えるとフルボッコはおろか全滅の危険性すらあったと思われます。薄氷を踏む思いで手に入れた辛勝に如何なる価値があるか?
それはもう個人の自由の領域であり、逆に「やり直せる歴史ってイイなァ」とドライにゲームするのもまた個人の自由でしょう。

ゲームの中身をアドバイスするなら、2パターンくらいのやり方があるかと

1つは王道、散開しながら南下します。この時指揮統制はぐんぐん回復し、時には100を超えます。これはつまり今後少なくとも1回は確実に攻撃が成功する訳ですから、
よく考えて動かしましょう。水偵から情報を得たら*4、残りの耐久値を横目で見つつ神に祈ってひたすら敵艦をぶん殴ります。
7ターン目くらいから離脱を開始、行きがけの駄賃に艦砲射撃をして撤退。

もう1つはひたすら艦砲射撃を繰り返す事。こっちは多分指揮統制の回復が間に合わなくなること必至です。試してないけど。

今現在の問題点と改善案

・運ゲー過ぎ → 多少史実と逸れても水雷艇・輸送船をもっと広い範囲にばらまけば良くも悪くもバランスは変わる。偵察システム要変更。
・耐久値意味無さ過ぎ → 耐久値に応じてユニットの攻撃力が変わる!とかはボードゲームというより要電源ゲーム的か。でもVP制だしなぁー。
・ネタがマニア過ぎ → 仕方ないね
・マップの読み込みがトロ過ぎ → ctrlキーを使えば割と快適になる。クリックしすぎてバルーン消すこともあるけど…。
出来の善し悪しは別として、里々を弄くり回す良い機会になったのは確か。

里々の勉強がてらに作ってみたミニゲームだけど、できるならもっとグラフィカルなものにしたい所だ。
knight and vultureみたいにバルーンを追加して云々はちょっと手に負えそうにないけどさ。
選択肢のツールチップとかフォント変更関連のさくらスクリプトがとっても役に立ちそうではある。
でもさぁ、そもそもウォーゲームってこんな感じにグラフィカルな訳でしょ。
ローグライクゲームじゃないんだから、バルーンに線と文字のコマってのも、作者ながら今時どうかと思う…。




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最終更新:2010年04月27日 16:18

*1 ゲーム上一瞬で戻ってくれますけど

*2 と胸を張るには小さすぎるのですが…

*3 でなくとも維持

*4 あるいは偶然遭遇したら