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外面と内面のレース ゲーム「スーパーマリオカート」


マリオカートと言えば、桃太郎電鉄、ボンバーマン、ストII、ゴールデンアイ、スマブラ…と続く「誰の家にでもある対戦ゲーム」であり、
友達の家に行くと(あるいは友達が家に来ると)とりあえずカセットを差し込む、という実に速効性・遊技性の高いゲームだった。

友達連中とわいわいガヤガヤプレイするのは実に楽しいし、ちょっとしたミスや運の良さで急展開が起こるとそれをネタにしてまた楽しむという
非常に優れたツールであった。「マリカ」ではもっぱら対戦かそれに飽きたらバトルで遊んでいたが、このゲームにはもう一つタイムアタックというモードがある。
友人と遊ぶのに一人しかプレイ出来ないタイムアタックを選ぶことはまず無い。ではこのモードは要らないのだろうか?

そんなことはない。タイムアタックはプレイ人数の差こそあれ実に「対戦」なモードなのである。

タイムアタックでは敵キャラもアイテムも登場せず、ひたすら走り込みタイムを削ることが目標となる。
要求されるのは自分のテクニックのみ。そのためにはストイックなやり込みと集中力が必要となる。只管打座もかくやと言ったところだ。
一旦ゴールすると先ほど自分が走った姿がゴーストとして現れる。そのゴーストは何度走らせても全く同じタイムで走る。
抜けそうで抜けないという、そのもどかしさにつられ何度もリトライしたくなる。このゴーストを追い抜くことはすなわち記録の更新を意味する。

つまりタイムアタックは自分自身との対戦なのだ。何度でも何度でも同じコースを攻めるプレイヤーは、友人との対戦とはまた違った感情を持つようになる。

友人との対戦は楽しい時間を過ごすためのものであり、アイテムによって一発逆転したり「口撃」によって相手のミスを誘うことが出来る。
自分との対戦はただ記録を目指すための物であり、ひたむきさと練習によってのみ道が開ける。

レース・対戦といった同じ概念を持つのにも関わらず、このふたつは自己の外面と内面という別の方向を向いている。一つで二度おいしい訳だ。

全コースに任天堂公認目標タイムというものが設定されている。実際にプレイして貰わないと分かりにくいが、かなり厳しいタイム設定になっている。
何かの機会で本作に触れたら、ぜひマリオサーキット1を1'03"68以下で走ってみて欲しい。公認タイムを突破出来るようになるころには相当な腕前になっているはずだ。

集中力や忍耐という自己の内面と向き合い腕をみがき、その技術でもって友達との対戦という外面を楽しむ。
伊達にマリオの名を冠している作品ではない。






※本作が「ゴースト」という要素を初めて取り入れたゲーム…らしいのだが、ホントかどうか分からない。
 2年前に発売された初代F-ZEROには無かったように思うのだが、判明したらその辺について書き加えたい。


まとめ
  • 同じ事をしているのに自分の内面と外面の両方に向き合えるゲーム
  • 公認タイムマジ鬼畜


最終更新日 2011-02-26




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最終更新:2011年02月26日 16:54