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第一審公判手続の流れ
---(ここから、審理手続)---
冒頭手続
証拠調べ手続
論告・求刑・弁論・最終陳述
--(ここから、判決宣告手続)---
判決宣告
冒頭手続
人定質問
(人定質問)
第百九十六条 裁判長は、検察官の起訴状の朗読に先だち、被告人に対し、その人違でないことを確めるに足りる事項を問わなければならない。
起訴状の朗読
第二百九十一条 検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。
○2 前条第一項又は第三項の決定があつたときは、前項の起訴状の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。この場合においては、検察官は、被告人に起訴状を示さなければならない。
○3 裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。
求釈明等
(釈明等)
第二百八条 裁判長は、必要と認めるときは、訴訟関係人に対し、釈明を求め、又は立証を促すことができる。
2 陪席の裁判官は、裁判長に告げて、前項に規定する処置をすることができる。
3 訴訟関係人は、裁判長に対し、釈明のための発問を求めることができる。
黙秘権の告知等
黙秘権及び訴訟法上の権利についての告知
第二百九十一条 検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。
○2 前条第一項又は第三項の決定があつたときは、前項の起訴状の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。この場合においては、検察官は、被告人に起訴状を示さなければならない。
○3 裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。
(被告人の権利保護のための告知事項・法第二百九十一条)
第百九十七条 裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し又個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨の外、陳述をすることもできる旨及び陳述をすれば自己に不利益な証拠ともなり又利益な証拠ともなるべき旨を告げなければならない。
2 裁判長は、必要と認めるときは、被告人に対し、前項に規定する事項の外、被告人が充分に理解していないと思料される被告人保護のための権利を説明しなければならない。
罪状認否
被告人及び弁護人の被告事件に対する陳述
第二百九十一条 検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。
○2 前条第一項又は第三項の決定があつたときは、前項の起訴状の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。この場合においては、検察官は、被告人に起訴状を示さなければならない。
○3 裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。
※簡易公判手続
第二百九十一条の二 被告人が、前条第三項の手続に際し、起訴状に記載された訴因について有罪である旨を陳述したときは、裁判所は、検察官、被告人及び弁護人の意見を聴き、有罪である旨の陳述のあつた訴因に限り、簡易公判手続によつて審判をする旨の決定をすることができる。ただし、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。
※即決裁判手続
第三百五十条の二 検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。ただし、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。
○2 前項の申立ては、即決裁判手続によることについての被疑者の同意がなければ、これをすることができない。
○3 検察官は、被疑者に対し、前項の同意をするかどうかの確認を求めるときは、これを書面でしなければならない。この場合において、検察官は、被疑者に対し、即決裁判手続を理解させるために必要な事項(被疑者に弁護人がないときは、次条の規定により弁護人を選任することができる旨を含む。)を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げなければならない。
○4 被疑者に弁護人がある場合には、第一項の申立ては、被疑者が第二項の同意をするほか、弁護人が即決裁判手続によることについて同意をし又はその意見を留保しているときに限り、これをすることができる。
○5 被疑者が第二項の同意をし、及び弁護人が前項の同意をし又はその意見を留保するときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
○6 第一項の書面には、前項の書面を添付しなければならない。
(書面の添付・法第三百五十条の二)
第二百二十二条の十一 即決裁判手続の申立書には、法第三百五十条の二第三項に定める手続をしたことを明らかにする書面を添付しなければならない。
証拠調手続
冒頭陳述
検察官側の冒頭陳述
第二百九十六条 証拠調のはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。但し、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。
被告人側の冒頭陳述
(弁護人等の陳述)
第百九十八条 裁判所は、検察官が証拠調のはじめに証拠により証明すべき事実を明らかにした後、被告人又は弁護人にも、証拠により証明すべき事実を明らかにすることを許すことができる。
2 前項の場合には、被告人又は弁護人は、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。
第三百十六条の三十 公判前整理手続に付された事件については、被告人又は弁護人は、証拠により証明すべき事実その他の事実上及び法律上の主張があるときは、第二百九十六条の手続に引き続き、これを明らかにしなければならない。この場合においては、同条ただし書の規定を準用する。
検察官による証拠調べ請求(甲号証)
証拠調べは原則として当事者の請求による
CF)職権証拠調べ
第二百九十八条 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調を請求することができる。
○2 裁判所は、必要と認めるときは、職権で証拠調をすることができる。
(証拠調の請求の順序・法第二百九十八条)
第百九十三条 検察官は、まず、事件の審判に必要と認めるすべての証拠の取調を請求しなければならない。
2 被告人又は弁護人は、前項の請求が終つた後、事件の審判に必要と認める証拠の取調を請求することができる。
証拠の厳選
(証拠の厳選・法第二百九十八条)
第百八十九条の二 証拠調べの請求は、証明すべき事実の立証に必要な証拠を厳選して、これをしなければならない。
証拠調べ請求の順序
→自白の取扱い、甲号証と乙号証の区別
第三百一条 第三百二十二条及び第三百二十四条第一項の規定により証拠とすることができる被告人の供述が自白である場合には、犯罪事実に関する他の証拠が取り調べられた後でなければ、その取調を請求することはできない。
証拠調べ請求の方式
相手方への防御の機会の付与
第二百九十一条 検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。
○2 前条第一項又は第三項の決定があつたときは、前項の起訴状の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。この場合においては、検察官は、被告人に起訴状を示さなければならない。
○3 裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。
(第一回公判期日前における検察官、弁護人の準備の内容)
第百七十八条の六 検察官は、第一回の公判期日前に、次のことを行なわなければならない。
一 法第二百九十九条第一項本文の規定により、被告人又は弁護人に対し、閲覧する機会を与えるべき証拠書類又は証拠物があるときは、公訴の提起後なるべくすみやかに、その機会を与えること。
二 第二項第三号の規定により弁護人が閲覧する機会を与えた証拠書類又は証拠物について、なるべくすみやかに、法第三百二十六条の同意をするかどうか又はその取調の請求に関し異議がないかどうかの見込みを弁護人に通知すること。
2 弁護人は、第一回の公判期日前に、次のことを行なわなければならない。
一 被告人その他の関係者に面接する等適当な方法によつて、事実関係を確かめておくこと。
二 前項第一号の規定により検察官が閲覧する機会を与えた証拠書類又は証拠物について、なるべくすみやかに、法第三百二十六条の同意をするかどうか又はその取調の請求に関し異議がないかどうかの見込みを検察官に通知すること。
三 法第二百九十九条第一項本文の規定により、検察官に対し、閲覧する機会を与えるべき証拠書類又は証拠物があるときは、なるべくすみやかに、これを提示してその機会を与えること。
3 検察官及び弁護人は、第一回の公判期日前に、前二項に掲げることを行なうほか、相手方と連絡して、次のことを行なわなければならない。
一 起訴状に記載された訴因若しくは罰条を明確にし、又は事件の争点を明らかにするため、相互の間でできる限り打ち合わせておくこと。
二 証拠調その他の審理に要する見込みの時間等裁判所が開廷回数の見通しをたてるについて必要な事項を裁判所に申し出ること。
(証人等の氏名及び住居を知る機会を与える場合)
第百七十八条の七 第一回の公判期日前に、法第二百九十九条第一項本文の規定により、訴訟関係人が、相手方に対し、証人等の氏名及び住居を知る機会を与える場合には、なるべく早い時期に、その機会を与えるようにしなければならない。
立証趣旨の明示
立証趣旨の拘束力の問題
(証拠調の請求の方式・法第二百九十八条)
第百八十九条 証拠調の請求は、証拠と証明すべき事実との関係を具体的に明示して、これをしなければならない。
2 証拠書類その他の書面の一部の取調を請求するには、特にその部分を明確にしなければならない。
3 裁判所は、必要と認めるときは、証拠調の請求をする者に対し、前二項に定める事項を明らかにする書面の提出を命ずることができる。
4 前各項の規定に違反してされた証拠調の請求は、これを却下することができる。
書面の提出
(証拠調を請求する場合の書面の提出・法第二百九十八条)
第百八十八条の二 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の尋問を請求するときは、その氏名及び住居を記載した書面を差し出さなければならない。
2 証拠書類その他の書面の取調を請求するときは、その標目を記載した書面を差し出さなければならない。
証人尋問の時間の申出
(証人尋問の時間の申出・法第二百九十八条)
第百八十八条の三 証人の尋問を請求するときは、証人の尋問に要する見込みの時間を申し出なければならない。
2 証人の尋問を請求した者の相手方は、証人を尋問する旨の決定があつたときは、その尋問に要する見込みの時間を申し出なければならない。
3 職権により証人を尋問する旨の決定があつたときは、検察官及び被告人又は弁護人は、その尋問に要する見込みの時間を申し出なければならない。
証拠調べ請求に対する意見等
(証拠決定・法第二百九十八条等)
第百九十条 証拠調又は証拠調の請求の却下は、決定でこれをしなければならない。
2 前項の決定をするについては、証拠調の請求に基く場合には、相手方又はその弁護人の意見を、職権による場合には、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
3 被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる公判期日に被告人及び弁護人が出頭していないときは、前項の規定にかかわらず、これらの者の意見を聴かないで、第一項の決定をすることができる。
証拠の種類と意見の内容
法326条1項の同意
第三百二十六条 検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、第三百二十一条乃至前条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
○2 被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる場合において、被告人が出頭しないときは、前項の同意があつたものとみなす。但し、代理人又は弁護人が出頭したときは、この限りでない。
証拠決定
採用又は却下決定
(証拠決定・法第二百九十八条等)
第百九十条 証拠調又は証拠調の請求の却下は、決定でこれをしなければならない。
2 前項の決定をするについては、証拠調の請求に基く場合には、相手方又はその弁護人の意見を、職権による場合には、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
3 被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる公判期日に被告人及び弁護人が出頭していないときは、前項の規定にかかわらず、これらの者の意見を聴かないで、第一項の決定をすることができる。
範囲・順序・方法
第二百九十七条 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、証拠調の範囲、順序及び方法を定めることができる。
○2 前項の手続は、合議体の構成員にこれをさせることができる。
○3 裁判所は、適当と認めるときは、何時でも、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、第一項の規定により定めた証拠調の範囲、順序又は方法を変更することができる。
提示命令
(証拠決定についての提示命令)
第百九十二条 証拠調の決定をするについて必要があると認めるときは、訴訟関係人に証拠書類又は証拠物の提示を命ずることができる。
証拠等関係カード、記載項目、検察官請求分(甲・乙号証)・弁護人請求分・職権分
証拠調べの施行
証拠書類
→朗読又は要旨の告知
第三百五条 検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠書類の取調をするについては、裁判長は、その取調を請求した者にこれを朗読させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させることができる。
○2 裁判所が職権で証拠書類の取調をするについては、裁判長は、自らその書類を朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させなければならない。
○3 第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があつたときは、前二項の規定による証拠書類の朗読は、被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。
○4 第百五十七条の四第三項の規定により記録媒体がその一部とされた調書の取調べについては、第一項又は第二項の規定による朗読に代えて、当該記録媒体を再生するものとする。ただし、裁判長は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、当該記録媒体の再生に代えて、当該調書の取調べを請求した者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官に当該調書に記録された供述の内容を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。
○5 裁判所は、前項の規定により第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体を再生する場合において、必要と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、第百五十七条の三に規定する措置を採ることができる。
(証拠書類等の取調の方法・法第三百五条等)
第二百三条の二 裁判長は、訴訟関係人の意見を聴き、相当と認めるときは、請求により証拠書類又は証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについての朗読に代えて、その取調を請求した者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にその要旨を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。
2 裁判長は、訴訟関係人の意見を聴き、相当と認めるときは、職権で証拠書類又は証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについての朗読に代えて、自らその要旨を告げ、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にこれを告げさせることができる。
証拠物
→展示
第三百六条 検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠物の取調をするについては、裁判長は、請求をした者をしてこれを示させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させることができる。
○2 裁判所が職権で証拠物の取調をするについては、裁判長は、自らこれを訴訟関係人に示し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを示させなければならない。
証拠物たる書面
→朗読又は要旨の告知及び展示
第三百七条 証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについては、前条の規定による外、第三百五条の規定による。
証人
尋問
第百四十三条 裁判所は、この法律に特別の定のある場合を除いては、何人でも証人としてこれを尋問することができる。
証人の意義及び性格、証人適格、証人の権利義務、証言拒絶兼、旅費等請求権、出頭・宣誓・証言義務
証人の保護
付添人制度
第百五十七条の二 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。
○2 前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の供述中、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。
遮へい措置
第百五十七条の三 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第一項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。
○2 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。
ビデオリンク方式による証人尋問
第百五十七条の四 裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。
一 刑法第百七十六条 から第百七十八条の二 まで若しくは第百八十一条 の罪、同法第二百二十五条 若しくは第二百二十六条の二第三項 の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第二百二十七条第一項 (第二百二十五条又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項 (わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第二百四十一条 前段の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
二 児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項 の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号 に係る同法第六十条第二項 の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 (平成十一年法律第五十二号)第四条 から第八条 までの罪の被害者
三 前二号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
○2 前項に規定する方法により証人尋問を行う場合において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)に記録することができる。
○3 前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。
被告人の退廷
第三百四条の二 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人が被告人の面前(第百五十七条の三第一項に規定する措置を採る場合及び第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が出頭している場合に限り、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退廷させることができる。この場合には、供述終了後被告人を入廷させ、これに証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。
傍聴人の退廷
(傍聴人の退廷)
第二百二条 裁判長は、被告人、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が特定の傍聴人の面前(証人については、法第百五十七条の三第二項に規定する措置を採る場合及び法第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)で充分な供述をすることができないと思料するときは、その供述をする間、その傍聴人を退廷させることができる。
住居等についての尋問の制限
第二百九十五条 裁判長は、訴訟関係人のする尋問又は陳述が既にした尋問若しくは陳述と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り、これを制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても同様である。
○2 裁判長は、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問する場合において、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあり、これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が十分な供述をすることができないと認めるときは、当該事項についての尋問を制限することができる。ただし、検察官のする尋問を制限することにより犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき、又は被告人若しくは弁護人のする尋問を制限することにより被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。
○3 裁判長は、第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があつた場合において、訴訟関係人のする尋問又は陳述が被害者特定事項にわたるときは、これを制限することにより、犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、当該尋問又は陳述を制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、同様とする。
○4 裁判所は、前三項の規定による命令を受けた検察官又は弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場合には、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。
○5 前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。
証人尋問の順序・手続
人定尋問
(人定尋問)
第百十五条 証人に対しては、まず、その人違でないかどうかを取り調べなければならない。
宣誓
第百五十四条 証人には、この法律に特別の定のある場合を除いて、宣誓をさせなければならない。
(宣誓の趣旨の説明等・法第百五十五条)
第百十六条 証人が宣誓の趣旨を理解することができる者であるかどうかについて疑があるときは、宣誓前に、この点について尋問し、且つ、必要と認めるときは、宣誓の趣旨を説明しなければならない。
(宣誓の時期・法第百五十四条)
第百十七条 宣誓は、尋問前に、これをさせなければならない。
(宣誓の方式・法第百五十四条)
第百十八条 宣誓は、宣誓書によりこれをしなければならない。
2 宣誓書には、良心に従つて、真実を述べ何事も隠さず、又何事も附け加えないことを誓う旨を記載しなければならない。
3 裁判長は、証人に宣誓書を朗読させ、且つこれに署名押印させなければならない。証人が宣誓書を朗読することができないときは、裁判長は、裁判所書記官にこれを朗読させなければならない。
4 宣誓は、起立して厳粛にこれを行わなければならない。
(個別宣誓・法第百五十四条)
第百十九条 証人の宣誓は、各別にこれをさせなければならない。
偽証の罰及び証言拒絶権の告知
(偽証の警告・法第百五十四条)
第百二十条 宣誓をさせた証人には、尋問前に、偽証の罰を告げなければならない。
(証言拒絶権の告知・法第百四十六条等)
第百二十一条 証人に対しては、尋問前に、自己又は法第百四十七条に規定する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる旨を告げなければならない。
2 法第百四十九条に規定する者に対しては、必要と認めるときは、同条の規定により証言を拒むことができる旨を告げなければならない。
交互尋問
(証人尋問の順序・法第三百四条)
第百九十九条の二 訴訟関係人がまず証人を尋問するときは、次の順序による。
一 証人の尋問を請求した者の尋問(主尋問)
二 相手方の尋問(反対尋問)
三 証人の尋問を請求した者の再度の尋問(再主尋問)
2 訴訟関係人は、裁判長の許可を受けて、更に尋問することができる。
証人尋問の方法
個別的、具体的で簡潔な尋問、一問一答式
(証人尋問の方法・法第三百四条等)
第百九十九条の十三 訴訟関係人は、証人を尋問するに当たつては、できる限り個別的かつ具体的で簡潔な尋問によらなければならない。
2 訴訟関係人は、次に掲げる尋問をしてはならない。ただし、第二号から第四号までの尋問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 威嚇的又は侮辱的な尋問
二 すでにした尋問と重複する尋問
三 意見を求め又は議論にわたる尋問
四 証人が直接経験しなかつた事実についての尋問
関連性の明示
(関連性の明示・法第二百九十五条)
第百九十九条の十四 訴訟関係人は、立証すべき事項又は主尋問若しくは反対尋問に現れた事項に関連する事項について尋問する場合には、その関連性が明らかになるような尋問をすることその他の方法により、裁判所にその関連性を明らかにしなければならない。
2 証人の観察、記憶若しくは表現の正確性その他の証言の信用性に関連する事項又は証人の利害関係、偏見、予断その他の証人の信用性に関連する事項について尋問する場合も、前項と同様とする。
書面・物を用いての尋問
(書面又は物の提示・法第三百四条等)
第百九十九条の十 訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。
2 前項の書面又は物が証拠調を終つたものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。
(記憶喚起のための書面等の提示・法第三百四条等)
第百九十九条の十一 訴訟関係人は、証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、書面(供述を録取した書面を除く。)又は物を示して尋問することができる。
2 前項の規定による尋問については、書面の内容が証人の供述に不当な影響を及ぼすことのないように注意しなければならない。
3 第一項の場合には、前条第二項の規定を準用する。
(図面等の利用・法第三百四条等)
第百九十九条の十二 訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。
2 前項の場合には、第百九十九条の十第二項の規定を準用する。
許されない尋問の方法
誘導尋問、誤導尋問、威嚇的又は侮辱的尋問、重複尋問、意見を求める尋問、議論にわたる尋問、直接体験しなかった事実についての尋問
第二百九十五条 裁判長は、訴訟関係人のする尋問又は陳述が既にした尋問若しくは陳述と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り、これを制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても同様である。
○2 裁判長は、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問する場合において、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあり、これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が十分な供述をすることができないと認めるときは、当該事項についての尋問を制限することができる。ただし、検察官のする尋問を制限することにより犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき、又は被告人若しくは弁護人のする尋問を制限することにより被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。
○3 裁判長は、第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があつた場合において、訴訟関係人のする尋問又は陳述が被害者特定事項にわたるときは、これを制限することにより、犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、当該尋問又は陳述を制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、同様とする。
○4 裁判所は、前三項の規定による命令を受けた検察官又は弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場合には、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。
○5 前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。
(主尋問・法第三百四条等)
第百九十九条の三 主尋問は、立証すべき事項及びこれに関連する事項について行う。
2 主尋問においては、証人の供述の証明力を争うために必要な事項についても尋問することができる。
3 主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。
一 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だつて明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
二 訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
三 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
四 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
五 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
六 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき。
七 その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。
4 誘導尋問をするについては、書面の朗読その他証人の供述に不当な影響を及ぼすおそれのある方法を避けるように注意しなければならない。
5 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。
(証人尋問の方法・法第三百四条等)
第百九十九条の十三 訴訟関係人は、証人を尋問するに当たつては、できる限り個別的かつ具体的で簡潔な尋問によらなければならない。
2 訴訟関係人は、次に掲げる尋問をしてはならない。ただし、第二号から第四号までの尋問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 威嚇的又は侮辱的な尋問
二 すでにした尋問と重複する尋問
三 意見を求め又は議論にわたる尋問
四 証人が直接経験しなかつた事実についての尋問
乙号証の取り調べ
証拠調べの請求(検察官)
証拠調べ請求に対する意見等
証拠決定
証拠調べの施行
自白調書の任意性を争う場合
弁護人の意見
任意性の立証
(取調べの状況に関する立証)
第百九十八条の四 検察官は、被告人又は被告人以外の者の供述に関し、その取調べの状況を立証しようとするときは、できる限り、取調べの状況を記録した書面その他の取調べ状況に関する資料を用いるなどして、迅速かつ的確な立証に努めなければならない。
被告人側の立証
証拠調べの請求(被告人側)
証拠調べ請求に対する意見等
証拠決定
証拠調べの施行
被告人質問
証人尋問の方式にならって行なわれることが多いが、証拠調べの請求・決定・宣誓等は行なわれない
職権分の証拠等関係カードに記載される
第三百十一条 被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。
○2 被告人が任意に供述をする場合には、裁判長は、何時でも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができる。
○3 陪席の裁判官、検察官、弁護人、共同被告人又はその弁護人は、裁判長に告げて、前項の供述を求めることができる。
証拠の証明力を争う機会の付与
第三百八条 裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人に対し、証拠の証明力を争うために必要とする適当な機会を与えなければならない。
(証拠の証明力を争う機会・法第三百八条)
第二百四条 裁判長は、裁判所が適当と認める機会に検察官及び被告人又は弁護人に対し、反証の取調の請求その他の方法により証拠の証明力を争うことができる旨を告げなければならない。
公判前整理手続等に付された事件における証拠調べの追加禁止
第三百十六条の三十二 公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件については、検察官及び被告人又は弁護人は、第二百九十八条第一項の規定にかかわらず、やむを得ない事由によつて公判前整理手続又は期日間整理手続において請求することができなかつたものを除き、当該公判前整理手続又は期日間整理手続が終わつた後には、証拠調べを請求することができない。
○2 前項の規定は、裁判所が、必要と認めるときに、職権で証拠調べをすることを妨げるものではない。
被害者等による意見の陳述
第二百九十二条の二 裁判所は、被害者等又は当該被害者の法定代理人から、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、公判期日において、その意見を陳述させるものとする。
○2 前項の規定による意見の陳述の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
○3 裁判長又は陪席の裁判官は、被害者等又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、これらの者に質問することができる。
○4 訴訟関係人は、被害者等又は当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、裁判長に告げて、これらの者に質問することができる。
○5 裁判長は、被害者等若しくは当該被害者の法定代理人の意見の陳述又は訴訟関係人の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人に対する質問が既にした陳述若しくは質問と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、これを制限することができる。
○6 第百五十七条の二、第百五十七条の三及び第百五十七条の四第一項の規定は、第一項の規定による意見の陳述について準用する。
○7 裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を提出させ、又は意見の陳述をさせないことができる。
○8 前項の規定により書面が提出された場合には、裁判長は、公判期日において、その旨を明らかにしなければならない。この場合において、裁判長は、相当と認めるときは、その書面を朗読し、又はその要旨を告げることができる。
○9 第一項の規定による陳述又は第七項の規定による書面は、犯罪事実の認定のための証拠とすることができない。
(意見陳述の申出がされた旨の通知の方式・法第二百九十二条の二)
第二百十条の二 法第二百九十二条の二第二項後段に規定する通知は、書面でしなければならない。ただし、やむを得ない事情があるときは、この限りでない。
最終更新:2009年02月06日 23:28