ワークス・ペトロフカ
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近況

ニュース番組によくある「街の人のインタビュー」がなんとなく苦手だ。どこそこの有名人が結婚しました、亡くなりました、と言
って街の人に話を聞く。「そうなんですか! おめでとうございます!」とか「ええっ! 残念です…」と皆が口を揃えたように同
じことを言う。何かの催しに参加した小学生へのインタビュー(ご存じの通り感想の9割9分が「楽しかった」である)じゃないんだ
から、もう少し別のことを言ったらどうなのか。「は? 自分に関係ないんでどうでもいいです」とか「昔からあいつは嫌いだった
んで、くたばって清々してます」といった感想を持つ人間は少数であれ常に存在するし、もしかしたらカメラの前で実際にそうしゃ
べったかもしれない。けれど決して放送されない。放送しちゃいけない道理は無いはずだが、何かの法案とか取り決めとかいった
「賛否両論あることが前提のテーマ」を除けば街の声は恐ろしく均一化している。どこそこの老舗が閉店しますとか、なじみの鉄道
車両が引退しますとか、ご当地のスポーツ選手が活躍しましたといったニュースに対してどんな「街の声」が放送されそうかはこれ
を読んでいるあなたも想像できるだろう。「街の人のインタビュー」はみんなが当たり障りの無い感想を述べていることを確認する
だけの、なんの意義もありがたみも無い行為になっていやしないか。SNSに投稿されて炎上した画像をわざわざ街行く人に見せた上
で「うーん、こんなことするなんてマナー違反ですね」なんて分かりきったコメントを手間暇掛けて引き出して、それでどうしよう
というのか。いや、確かに「政治家の不正は許せないですね」とか「けが人が多くて心配です」とか、それ自体はまったく穏当で、
適当で、妥当な、良識ある社会人としてふさわしいコメントなのだろう。しかしだからなんだと言うんだ? そんな感想とおれとの
間に一体何の関係が?

ところで中国のインターネットスラングに「打醤油」というものがある。2008年に生まれたこのスラングは「醤油を買う」という意
味なのだが、そのころ有名女優のプライバシー写真がネットに流出するという事件があった。広州テレビのインタビューを受けた男
性がカメラに向けて言い放った「关我屌事,我出来买酱油的」(俺と関係ねぇよ、醤油を買いに来ただけだ)という台詞がその由来
だ。この言葉はネット上で流行語となり、「(とりわけ政治に関する)敏感な話題に触れない」、「自分と関係ない」、「関心が無
い」、「興味が無い」という意味で使われるようになった。確かにつれない態度かもしれない。しかし好きでも無いアイドルグルー
プの脱退だ解散だという話題について「それらしい」表情をして「それらしい」言葉を紡ぐよりかは、ある意味よっぽど誠実じゃな
いか? わざと「人と違うおれ」を気取れと言ってるのではない。「寂しいですね」とか「上手くいくと良いですね」とか、言葉と
してはありきたりでも心からそう思っているならそれはそれで構わない。だがおれは世間全ての事柄に明るいわけじゃない。世の中
には「恐ろし興味がないこと」が確かに存在する。どうでもいいよと思ったらそう言いたい。みんなが分かりきっていることをまた
繰り返す必要なんてまったくないのだ。「ネットの声」に取り上げられたい訳じゃない。「街の人」としてテレビに出たいわけでも
ない。おれはただ醤油を買いに出かけたい。




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