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グノーシス 古代キリスト教の「異端」思想 筒井賢治

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 グノーシス関係の本としては一般向けに書かれていて読みやすかった。代表的な3つの宗派(ヴァレンティノス、バシレイデース、マルキオン)を例に挙げ、異端といえどもその狭義は正統派を包括するほどにバラエティに富んでいることがよくわかるようになっている。実際多くのグノーシスの宗派が聖典を無制限に拡大していく傾向にあるのに対してマルキオン派はむしろ聖典の数を減らし、その意味において今日のカトリックに続く正統派教会は両方向からの異議申し立てを受けていたことになる。
 反宇宙的2元論、本来的自己の認識による真の神の元への回帰、などのグノーシス思想の構成要件についてはさほど厳密な説明はされてはいない。実際マルキオンの主張はグノーシスであるかどうかについて拝見が分かれるとされている。
 またグノーシス主義のピークを五賢帝時代と重なる後2世紀であるとしてその時代状況との関係についても論じている。創造されるような過激な政治運動とは結びつかなかった”ぬるい”宗教運動であったという主張が印象に残った。しかしすでに そのごのローマ帝国におけるキリスト教の浸潤、国教化に与えた影響は少なくないと想像されるのでその点からもこの時代のキリスト教を立体的に知る手がかりになるグノーシス主義諸宗派は興味深いと考えられる。

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