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グノーシスと古代宇宙論 柴田有

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"グノーシス"、"宇宙論"そして"書物復権"という帯に惹かれて購入するもその道の権威であることを後に知り無知をさらす。そもそも正統派キリスト教教義との関係、怪しげな秘密結社の類との関連以外での切り口を知らなかったので新鮮でした。前半ではヘルメス文書の中のグノーシス的テキスト「ポイマンドレース」の反宇宙論的部分を中心に解説。後半では「伝統的」プラトン主義者であるプロティノスによる批判からその対象(ここではpグノーシスと呼んでいる)の解読を試みている。前半ではヘルメス文書が書かれた時代のエジプトの政治状況、ローマ支配化で抑圧されたそれと文書との関係が推察されている。また広範で出てくるプロティノス自身の思想も変わったところがある。つまり魂の一部が恒星天のさらに上の叡智界に存在しているというものである。
 途中でやはり高名なグノーシス研究者荒井献の意見に対する反論が行われている。しかし否定的宇宙論の宇宙の部分を当時の天文学的知識に厳密に対応させて論ずるというのはどうなのだろうか(素人の意見)。
 グノーシスの星辰拒否に当たりその当時の天文学、占星術的知識に根ざした批判は徹底していて、ある種イエスの代わりに十字架につけられた人の話を思い出した。というのは見るものの思想によって全にも悪にもなる、それゆえ事実認識、特に自然科学的なそれにおいては究極のニヒリズムというのは普通の状態とまったく変わらないというのが実に印象的で隠れキリシタンの仮託崇拝の心境に似たものがあるような気がする。そしてそういった思想は物質的には何の証拠も残らないことが古代グノーシスの研究において困難なことなのかもしれないと勝手に思ってみる。

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