1、公的扶助の歴史と特徴
① 全額公費負担・資力調査の必要
② 社会保険との相違に注意!
③ 救貧法から公的扶助が始まった・・・。
④ ナショナル・ミニマム が扶助の基準
出題ポイント・Key-word
① 全額公費負担・資力調査の必要
② 社会保険との相違に注意!
③ 救貧法から公的扶助が始まった・・・。
④ ナショナル・ミニマム が扶助の基準
出題ポイント・Key-word
公的扶助 |
社会保険 |
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費用 |
すべて公費負担。本人負担なし。 |
被保険者からの拠出が条件で、本人負担をともなう。 |
財源 |
国や自治体の一般財源からの支出。 |
基本的に保険料。 |
対象 |
資力調査により要保護状態にあると認定された者。 |
保険料を拠出する被保険者。 加入に当たっては資力調査を必要としない。 |
給付 |
必要に応じた個別給付 |
画一的な事故やニーズに対して画一的な給付。 |
給付水準 |
国が定める最低生活水準。 これに不足する部分を補足給付。 |
平均的な生活需要が充足できるように事前に設定された水準。 |
シドニー・ウエッブ (1859~1947)、ビアトリス・ウエッブ (1868~1943)は、ともにイギリスの社会民主主義者。結婚後、共同で多角的な活動に従事。 シドニーはフェビアン社会主義の理論的指導者で、1901年に著書『20世紀の政治』で、ナショナルミニマム論を提唱。 ● ナショナル・ミニマム 国民最低限の保障の意味。 シドニー・ウエッブは最低賃金を含む費用、余暇とレクリエーション、衛生的環境と医療サービス、教育の4つの分野で政府と自治体がナショナル・ミニマムを維持することが近代社会に必要な社会的基礎と主張。 現代の社会保障制度において、この用語は、国が公共政策によって、すべての国民に無差別平等に保障する最低限度の生活水準の意味でしようされている。 |
2、日本における扶助の発展
① 日本の公的扶助は生活保護法に基づく生活保護制度である。
② 保護制度は、恤救規則 → 救護法 → 旧生活保護法 → 現行生活保護法 と発展。
③ 旧生活保護法 現行生活保護法 との相違点は、
無差別平等の徹底と保護請求を権利として認める点、扶助種類の新設。
出題ポイント・Key-word
恤救規則 |
対象 |
病気や高齢などで、労働能力がない極貧の独身者と貧窮児童。 (無告ノ窮民) |
内容 |
年齢や性別に決められた一定量の米代を支給。 |
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救護法 |
対象 |
65歳以上の老衰者、 13歳以下の児童、 障害者、 妊産婦など 労働能力のあるもの、 扶養義務者が扶養可能なもの、 は除く! |
内容 |
生活 医療 助産 生業 の4種類の居宅扶助、 埋葬費の支給、 養老院や孤児院、病院などの救護施設における救護、 |
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実施機関 |
市町村長 補助機関として、方面委員 |
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旧生活保護法 |
対象 |
原則として無差別平等! 扶養義務者に扶養能力のあるものを除く。 怠惰、素行不良のものは対象外!(欠格条項) |
内容 |
生活、医療、出産、生業、葬祭、の5種類の居宅扶助。 救護施設における救護。 |
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実施機関 |
市町村長。 補助機関として民生委員。 |
3、生活保護の原理と原則
① 国家責任、無差別平等、最低生活、保護の補足性 の4つが生活保護法の基本原理!
② 保護の実施原則として、申請保護、基準と程度、必要即応、世帯単位 の4つがある。
③ 世帯単位の例外として世帯分離の原則が設けられている。
出題ポイント・Key-word
世帯単位の原則として、次のような場合は個人を世帯から切り離して保護、あるいは保護から外すことが出来る。 これを世帯分離という。 |
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●分離して保護 ・生活保持義務者のいない世帯に転入した要保護者 ・常時の介護等を必要とする寝たきり高齢者または重度心身障害者 ・長期入院患者 ・更正施設入所者 ・救護施設等の入所者 |
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●分離して保護から外す ・稼働能力があるにもかかわらず働く努力をしないもの ・生活の世話のために被保護世帯に転入した保護を要しないもの ・結婚または転職などのため1年以内に転出する収入のあるもの ・大学などに就学しているもの |
同一の住居に居住し、生計を同じくしているものの集まり。血縁関係があるかどうかは問わない。入院や出稼ぎなどで別居している場合でも、それが一時的なもので、生計が一体化している場合は同一世帯とみなされる。 |
直系血族と兄弟姉妹を絶対的扶養義務者。 それ以外の3親等以内の親族を相対的扶養義務者。 扶養義務者には扶養の義務が課せられる。 |
4、生活保護の種類と内容
① 生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助 の7種類!と・・・
② 2000年度より介護扶助がプラスされた!
③ それぞれの給付の種類は重要だな。
出題ポイント・Key-word
生活扶助 |
原則、居宅保護の金銭給付 |
出産扶助 |
現金給付 |
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住宅扶助 |
家賃や修理費は金銭給付 保護施設を利用する場合は、現物給付 |
生業扶助 |
必要経費を支給。 技能習得費、就職支度費 |
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教育扶助 |
金銭給付 |
葬祭扶助 |
金銭給付 実際に葬祭を行ったものに支給 |
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医療扶助 |
原則、現物給付 (あんま、マッサージ、はり、灸 も含む) |
介護扶助 |
介護保険の自己負担分を支給。 それ以外は現物給付 |
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原則として、医療扶助以外は現金給付!として覚えておこう! |
5、保護施設の種類と内容
① 救護施設、更正施設、医療保護施設、授産施設、宿所提供施設
② 生活保護施設は、第一次社会事業が大部分!
③ 最低生活費の算定は水準均衡方式で行われている。
④ 保護は地域によって基準が違う!
出題ポイント・Key-word
施設 |
対象 |
サービス内容 |
助成 |
措置・費措置 |
救護施設 |
身体上または精神上著しい欠陥があって自立できない要保護者。 重複障害者、精神病寛解者 |
入所して生活扶助を行う。 障害に応じた分類保護でなく、 混合して保護を行う。 |
国 4分の3 都道府県・市町村 4分の1 |
措置 措置機関: 都道府県知事または市町村長 |
更正施設 |
身体上または精神上の理由によって養護や生活上の補導を必要とする要保護者。 売春、犯罪、家出人 |
入所して生活扶助を行う。 職業補導等 |
国 4分の3 都道府県・市町村 4分の1 |
措置 措置機関: 都道府県知事または市町村長 |
授産施設 |
身体上または精神上の理由または世帯の事情により就業能力のかぎられたもの。 施設授産と家庭授産の2種類 |
通所により、または家庭で、勤労または技能習得の機会および便宜を提供し、その自立助長を図る。 |
国 4分の3 都道府県・市町村 4分の1 |
措置 措置機関: 都道府県知事または市町村長 |
宿所提供施設 |
住居のない要保護者の世帯 |
住居の扶助 |
利用施設 |
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医療保護施設 |
利用を必要とする要保護者 |
医療の給付 |
利用施設 |
6、生活保護の実施機関と財源
① 主体となるのは厚生省。しかし、実施は福祉事務所が担当!
② 福祉事務所の所員構成や人数は条例や法令で定められている。
③ 保護費用は全額公費、国は4分の3!(← これ重要)
出題ポイント・Key-word
① 市または福祉事務所を設置している町村 |
国 4分の3 市町村 4分の1 |
② 福祉事務所を設置していない町村 |
国 4分の3 都道府県 4分の1 |
③ 指定都市・中核都市 |
国 4分の3 市 4分の1 |
④ 居住地の明らかでないもの |
国 4分の3 都道府県 4分の1 |
① 都道府県立 または 指定都市・中核都市立 |
国 2分の1 都道府県 2分の1 |
② 市町村立 |
国 2分の1 都道府県と市町村各 4分の1 |
③ 社会福祉法人または日本赤十字立 |
国 2分の1 都道府県と事業者各 4分の1 |
7、被保護者の権利と義務
① 被保護者には特別の権利と義務がある。
② 生活保護の処分に不服がある場合は、不服申し立てが出来る!
③ 不服申し立てには、審査請求、再審査請求、行政事件訴訟 がある。
出題ポイント・Key-word
● 不利益変更の禁止 |
一度決定された保護は被保護者の権利となる。 正当な理由無しに決定された保護を不利益に変更されることはない。 |
● 公課の禁止 |
生活保護に対して租税その他の公課は課せられない! |
● 差し押さえの禁止 |
すでに給付された保護、また保護をうける権利は差し押さえられることはない! |
● 譲渡の禁止 |
保護をうける権利は譲り渡すことは出来ない。 |
● 生活上の義務 |
常に能力に応じて勤労に励み、支出の節約をはかり、その他生活の維持・向上につとめなければならない。 |
● 届出の義務 |
生計の状況に変化があった場合、住所や世帯の構成に異動があった場合、すみやかに福祉事務所に届け出なければならない。 |
● 指示とうに従う義務 |
保護の実施機関から、生活の維持向上、その他保護の目的達成に必要な指導または指示を受けた場合、これに従わなければいけない。 |
● 費用返還義務 |
急迫の場合など、資力があるにもかかわらず保護をうけた場合、受けた保護の範囲で実施期間の定める額を返還しなければいけない。 |
審査請求 |
処分があったことを知った日の翌日から60日以内に都道府県知事に対して審査請求を行う。 |
再審査請求 |
裁決があったことを知った日の翌日から30日以内に厚生大臣に対して再審査請求を行う。 |
行政事件訴訟 |
処分の取り消しを求める訴訟を提起することが出来る。 しかし、この訴訟は審査請求の裁決を経た後でないと提起できない。 |
8、生活保護の動向
① 被保護者数は社会経済情勢の影響を受けて変化する。
② 被保護者数、被保護世帯数、ともに、1992~1993年度から増加・横ばい傾向!
③ 1000人(世帯)あたりの被保護者(世帯)数を保護率という。
④ 被保護世帯の累計を見ると、、ハンディキャップ世帯が9割を占める。
9、その他の関連施策
① 生活保護以外の広義の公的扶助には、生活福祉資金の貸付・社会手当て・公営住宅の提供などがある。
② 児童養育に支給されるのが児童扶養手当、障害児養育に支給されるのが特別児童扶養手当。
③ 特定目的住宅は公営住宅の一種。住宅に困っている特定世帯向け。
出題ポイント・Key-word
低所得者に対して、低利あるいは無利子で資金を貸し付け、民生委員による必要な援助指導を行う制度。 貸付には収入制限が設けられている。 おおむね市長村民税が非課税か、世帯均等割り課税のみの世帯が対象となる。(生活保護世帯も含む) ●特色 援助指導を直接民生委員がやっている、ってことだな。 ●実施機関 都道府県社会福祉協議会 実際の業務は市町村社会福祉協議会に委託されている! ●貸付金 国が3分の2、都道府県が3分の1 の割合で負担。 |
児童扶養手当 |
低所得の母子世帯などへの手当て。 所得制限あり! ● 対象 離婚などによって父母が婚姻を解消した児童、父親が障害の状態にある児童 など。 未婚であっても、父親が認知した場合は対象となる。 ● 支給額 平成11年度の手当額。 児童一人に対して月額4万2370円。または2万8350円(← 所得による) 第2子はこれに5千円が加算。3子以降は3千円ずつ加算される。 |
特別児童扶養手当 |
身体あるいは精神に障害のある児童に対する手当て。 ● 対象 一定の障害等級に該当する児童。 障害を事由とする公的年金を受けている場合、施設に入所している場合は 対象外! ● 支給額 平成11年度の手当額。 中度障害で 月額、3万4330円。 重度障害で 月額、5万1550円。 |