桜井淳 発言研究まとめ@Wiki

草稿:兵庫・尼崎市のJR福知山線脱線事故

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兵庫・尼崎市のJR福知山線脱線事故 車両ちぎれ「く」の字 血まみれ乗客次々
2005.04.25 東京夕刊 19頁 写有 (全3281字) 
◆地震のような衝撃

「何が起きたんだ」。電車が突っ込んだマンションや近くの商店、工場などには大きな衝突音が響き、悲惨な事故現場を目の当たりにした住民らは毛布や氷、医薬品などを手に救助に駆けつけた。

「どーんという衝撃音があり、地震かと思った」。車両が激突したマンション8階に住む会社員川北宏安さん(36)は何が起きたのか分からなかった。5階に住む会社員(31)も、「阪神大震災のような突き上げる振動を感じた」。マンション住民は、消防に通報し、けが人の搬送を手伝うため外に飛び出した。

現場の北約100メートルにある会社の男性社員は「鉄と鉄がこすれるようなすごい音がして、地震かと思った」。外に飛び出すと、女性が血だらけで線路に座り込んでいるのが目に入り、フェンスを乗り越えて線路に入り、おぶって線路の外へ救助した。女性は「『助けて。死ぬ』と何回も繰り返していた」。放心した人や泣いている女性がたくさんおり、その間を電車のいすを外し負傷者を載せて運ぶ人たちが行き交った。

近くの鉄工所の男性従業員(32)は、線路脇のフェンスをペンチで切り、けが人を助け出した。「頭から血を流して動かない人もおり、足ががくがく震えた」という。

現場南側にある建材製造会社「日本スピンドル製造」の本社工場には、負傷者が救急隊員や同社の従業員らによって次々と運ばれ、医師が重傷者から順番に治療にあたった。従業員の武田亥三男さん(53)は「骨折していることがすぐにわかる人や、血だらけの人たちのうめき声が辺りに満ちていた」と青ざめていた。

関西労災病院には午前11時半ごろ、トラックが荷台に8人のけが人を乗せて到着。乗客らは顔や手足から血を流し、「痛い、痛い」とうめいていた。西宮市の兵庫医科大病院にも救急車が次々に入り、負傷者約100人が搬送されてきた。兵庫県立塚口病院では負傷者26人が搬送され、顔から血を流してぐったりした男性や、手や腰を押さえたり、足を引きずったりしたお年寄りらであふれた。

◆識者の声 かなりのスピード超過?/設計の想定外の規模

今回の脱線事故について、専門家は一様に「想定外の事態」と話し、徹底的な原因究明の必要性を訴えている。

畑村洋太郎・工学院大教授(機械工学)は「紙細工のように壊れた車両の様子から、かなりのスピードが出ていたことは間違いない。経験の浅い運転士がオーバーランで焦り、遅れを取り戻そうとした結果ではないか」と分析。「私鉄との競争が激しいエリアで、ダイヤ通り運行しようというプレッシャーも強かったと考えられる」と話す。

「一般的に脱線の原因として、線路や車輪の破損などが挙げられるが、福知山線は電車の本数も多く、きちんと整備されているはずで、今回のケースでは考えにくい」。交通評論家の角本良平さんは、そう指摘したうえで、電車が通常より速度を上げていたとされる点に関し、「現時点では断定できないが、かなりの速度超過があったとしたら、それが脱線の原因になった可能性はある。徹底的な原因究明が必要だ」と強調する。

永瀬和彦・金沢工業大教授(鉄道システム)は、カーブで脱線している点に注目し、「車両や線路に特別な不具合がなかったとすると、大幅なスピード超過が原因になったと考えられる」と推測する。

一方、技術評論家の桜井淳(きよし)さんは「車両が軌道どころか砂利の部分まで踏み越え、完全に線路敷地外に出ているが、鉄道車両は数十トンの衝撃を受けない限り、今回のような脱線は起きない。仮に車が時速100キロで突っ込んできても、車両は軌道を多少外れるくらいだろう。鉄道の設計上、ここまで大きく脱線することは想定外だ」と、衝撃を隠せない様子で語った。

◆「助けて」声途絶える 3両目乗客「真ん中まで飛んだ」

担架で運ばれた血まみれの乗客は、両腕をだらりとたらし、「く」の字に曲がった銀色の車両の中からは、うめき声が漏れた。通勤客で込み合うJR福知山線の快速電車で25日朝起きた脱線事故。「助けて、という声がだんだん小さくなった」「人間が折り重なっていた」――。死傷者は250人を超え、マンションに突っ込んだ車両の中に閉じ込められた人たちを救出しようと、懸命の作業が続く。一命を取り留めた乗客たちは、「スピードが出過ぎていた」「速度を上げていた」などと証言した。

〈本文記事1面〉

「悲鳴が起きて車両の後部から真ん中あたりまで飛ばされた」。マンションに激突した電車の3両目に乗っていた兵庫県川西市の会社員男性(64)は青ざめた表情で語り、「いつもよりスピードが速いと思っていたら、突然車体が線路の西側に傾いた。なぜこんなところで脱線するのか」と続けた。

電車の1、2両目の車両は、客車部分と車輪部分が引きちぎられ、銀色の車体はマンションの壁にめり込んで、ぺちゃんこにひしゃげるほど。3両目と4両目の連結は完全に外れ、折り重なるようになって脱線した。

電車の上には、レスキュー隊員たちが割れた窓から車内に入り、全身血まみれになった乗客を次々と運び出した。担架には血のりがべっとりとつき、比較的けがの軽いとみられる乗客もぼう然と座り込んでいた。

先頭車両にいたという女性(25)は「気が付くと、人が折り重なって倒れていた。どうやって電車から出てきたのか覚えていない」。

同じ車両にいた神戸市北区の女子大学生(18)は、「床で倒れている人や何かにひっかかってぶらさがったままの人もいた。倒れている人の中にはぐったりして、亡くなっているように見える人もいた」とおびえていた。

4両目に乗っていた同県宝塚市の西尾幸子さん(45)によると、電車は本来なら停車するはずの伊丹駅を通過。急停車したあと、いったんバックして伊丹駅に戻り、同駅で乗客を降ろして再び出発した。

「行き過ぎまして申し訳ございません」とアナウンスが流れ、その後電車は、周りの景色が飛んでいくぐらいにスピードを上げて走ったので、「怖い」と思っていた。大きな衝撃があって傾いたのは、「もうすぐ尼崎駅です」というアナウンスが車内に響いた直後だった。

同じく4両目にいた伊丹市の会社員、吹井鉄兵さん(23)は事故後、外に逃げ出し、線路脇を避難中に3両目の惨状を目の当たりにした。人間が折り重なって倒れ、何人かは窓から首を出していた。「ほかの乗客と協力して、座席を取り外して担架代わりにして10人ほど運び出した。みんながパニックだった」と体を震わせた。

3両目に乗車していたNHKの男性アナウンサーも、NHKテレビで現場から中継し、「急ブレーキの衝撃とともに乗客が折り重なるように倒れた。頭から血を流した人、腕から血を流している人、ぐったりしている人もいた」と語り、「マンションの1階近くから『助けて』という女性の声が聞こえていたが、だんだんと小さくなり、今は聞こえなくなった」と訴えた。

◆現場カーブ「計算上は133キロで脱線」 JR西が会見 制限速度70キロ

JR西日本では、25日午前11時15分過ぎと午後1時過ぎの2度にわたって、大阪市北区の本社で、村上恒美・鉄道本部安全推進部長らが記者会見を開いた。

2度目の会見では、現場付近での速度について質問が集中。村上部長は、「現場カーブは制限速度が70キロだが、計算上は133キロで脱線する」などと明かした。カーブに入る手前の直線の制限速度は、120キロだという。

また、事故の際の車掌とのやり取りも明らかにされた。電車がオーバーランのため、伊丹駅を約1分半遅れで発車した後、車掌がトラブルを指令に報告した。その最中に事故が発生したとみられ、「今、脱線しています。脱線です。脱線事故です」と一報を伝えたという。

事故原因について、村上部長は「詳細の究明には時間がかかると思います」とだけ述べるにとどまった。

写真=大破したJRの車両(左手前)の横で救護を受ける乗客ら(午前9時50分、兵庫県尼崎市で、本社ヘリから)

写真=マンションに激突した車両から救出作業をするレスキュー隊員ら(午前10時23分、兵庫県尼崎市で、本社ヘリから)

読売新聞社

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