地下妄の手記 BRUTUSよ お前もか

BRUTUSよ お前もか


 出版事業において編集は大変重要な仕事です。ですから、秋庭さんの盗用なかんずく、盗用した文章の捏造、歪曲、改竄を一人、秋庭さんの責任とは申し上げることなく、これらの行為の主犯は編集者、出版事業者にあり、秋庭さんはその共犯、いやむしろ従犯に過ぎないことを、このwikiの中でも、何度か申し上げてきたと思います。

 さて、今回は盗用ではありませんが、編集者の責任とは何かを問う、直近な好例がありましたので、これについて私見を申し述べることといたします。

 これは、BRUTUS「ブルータス」2009年7月1日号マガジンハウス社刊、

 

 「おいしいお茶の教科書。」紅茶と日本茶の特集号です。紅茶を嗜好する私は、事前にある紅茶商のご主人から、相当に力の入った特集と聞かされておりましたので、期待して手に取ったしだいです。
 大したものです。冒頭には銀座は「通り」のひとつ東裏に店を構える有名紅茶店に集う、これまた気鋭のシェフ、ソムリエの方々。
 以下も綺羅星の如き、日本茶の名園、茶舗、紅茶商、喫茶、菓子店の皆様。全てではないものの錚々たる方々、商品が並び確かに力の入った記事群。
 しかし、それらが、ある記事それもお茶の基礎知識についての6ページ建で烏有に帰してしまったと言わざるを得ないのです。
 最初のページを挙げておきます。

 

 記事本文は、まぁ、こういうものは百人に百人が是とするものとは限らないかもしれませんが、基本を押えた
真面目なものです。(記事の出典となった参考資料が多々あったはずですが、そのことは省略されていますけれど。)
 では、何がいけないのでしょう?

                
 
 各ページに配された、4コマ漫画、このイラスト、各ページ毎にありますから全部で6篇、このうちの3篇の、起・承・転・結の結が、液体を口から噴出すものなのです。
 

                

                

 
               
              
               

 ヤマタノオロチの昔より美女が醸した酒ならではの国とは言え。飲食物を扱う企画でこれはどういうことなのでしょう?
 
 多寡が「へたうま」のイラストに目くじらを立てる様なものでなし。と言ってしまえばそれまでなのかもしれません。
 しかし、この号に寄稿された、或いは見立ての写真にまで登場された飲食店主の皆さん、あるいは茶商の皆さんは、同じ号に同一の特集企画の中に、4コマ漫画6篇の内3篇で漫画のキモとも言える「結」が口から液体(茶とおぼしき飲料)を噴出すと言う、同じギャグがあることを承知して企画に乗られたのでしょうか?

 雑誌は、執筆者には、或いは企画に参加したり、情報を提供する者には、自身以外の他の企画や、記述が、出版されるまでわかりません。
 執筆者、寄稿者にとっては、中での立ち位置や、企画の自らへの影響などは、編集者、出版事業者を信頼するしかないのです。
 編集者、出版事業者には、それに応える責任があります。読者に対する影響についても、責任があります。

 この記事は編集者の意図したものかもしれません。6篇の内3篇が同じギャグで終わっているところから見て、退屈な基礎知識に何らかのインパクトをもたらそうとされたのかもしれません。
 しかし、あまりにも飲食物を扱う紙面に対して無神経すぎます。イラストレータの独走なら、描き直しを依頼する、あるいは「結」に飲料を噴出していない3篇だけの掲載で構成する。配慮できたはずです。第一にイラストレーターはこの6ページの文字原稿を受けて、「この辺を分かりやすく面白く書いてくれませんか」との編集側の依頼を受けて執筆しているはずですから、危ない部分はなおしが出来たはずです。〆切土壇場での脱稿だったとしても、不適切なら6篇の4コマ全部ボツにしても当該6ページは図版のレイアウト変更で充分しらみをつぶせた筈です。

 編集者、出版事業者には出版物に対して種々の責任が生じます。読者すなわち購買者のみならず、寄稿者、執筆者、あるいは情報提供者に対しても負うべき責任は重いのです。編集者が出版を意図し、出版事業者が刊行し取り次ぎに流さないと本は流通しないのです。未熟で、無責任な現況は、ことサンクチュアリ出版に限った話ではないのです。