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回想

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匿名ユーザー

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「回想」

「今日はこれで終わりにして、あの村で休みましょう」
「クソッ…今日も駄目だったか」
「最近は野宿続きでロクに休めなかった事だし…ま、いいんじゃないの」
「まぁワシは余裕なんじゃがな。ストライク、宿に着いたら腰揉んでくれ」
ザフトに対抗しうる力を得るため、二つ目の種子を集める旅を続けるストライク一行。
その道中、休息をとるために立ち寄ったのは山間に位置する小さな村だった。
宿で早々に夕食と今後の進路についての打ち合わせを済ませると、一同は各々の思いを胸に身体を休める。
翌日の早朝、ストライクは誰よりも早く目を覚ました。ベッドから飛び起きると、
日課である鍛錬をこなすため村人が水汲みに使うという村の近くにある森を抜けた川のほとりへと向かう。
岩が敷き詰められた地面の上で筋力向上のための基礎訓練を行い、目標の回数を黙々とこなす。
「よし、次は……はっ!はっ!はぁっ!」
それに続いて、今度は気合を込めた掛け声と共に突きを放ち型を確認する。
ストライクの声と風を切る拳の音が、時折傍を流れる清流のせせらぎを打ち消す。
ひたすら地道な訓練を繰り返した後、最後に少しだけ技の練習に取り組む。
ストライクは視線を動かして適当な岩を見繕うとその前に立って息を吐く。
力を一点に集中してそれ以外の無駄な力を抜き、一声と共に拳を振り下ろした。
一瞬の静寂の後、亀裂と共に音を立てて岩が二つに割れる。
ストライクは暫しの間、二つになった岩を前に腕を組んで考え込んでいたが、
「…流石に、拳一発で岩を粉砕するなんて夢物語か…よし、今日はここまでだな!」
自身を納得させると訓練を終える事にする。そして冷たい川の水で涙目になった瞳もろとも顔を洗い、朝食をとるため村に戻ろうとしたその時。
少し離れた場所でMS族の兄弟が争っているのを発見する。いわゆるダガーと呼ばれる系統で、二人共容姿から判断するとかなり幼い。
水を汲みに来たらしく、足元にはバケツが置いてある。
見かねているうちに兄の方が手を上げそうになったので、ストライクは慌てて仲裁に入った。
「こらこら、何やってんだお前ら」
「たびのにーちゃん…だってこいつ、いっつもおれのあとをおっかけてくるんだもん!」
「うぇ…でも、にぃちゃんといっしょにおてつだいしろってかぁちゃんが…」
今にも泣き出しそうな弟へ、ストライクが助け舟を出す。
「邪魔者扱いしたら可愛そうだろ。優しくしてやってくれよ兄貴」
「なんだよー!にーちゃんまでとーちゃんかーちゃんみたいなこというのかよー!」
「ははっ…そりゃ悪かった。でも、弟ってのは兄ちゃんの後についていきたいもんなんだ…小さい頃は特にな」
兄の方に厳しく反論されながらも、ストライクは苦笑混じりに諭した。
最後にもらした呟きは自分に向けたものであったが、それを聞きとった弟がストライクに尋ねる。
「にぃちゃんにはきょうだい、いるの?」
「あぁ…いるよ。でも今は、ちょっと会えないんだ」
ストライクは幼子の無垢な問いかけに目を細めて答えた。
「きょうだいなのに?」
「おれはそのほうがいいなー」
「だーからそういう言い方はやめろって…家族なんだから」
家族―――ストライクは自分で発したその言葉に対し、どこか寂しげな気持ちになる。
「…さ、手伝いなんだろ?それ零さないように早く帰れよ」
陰鬱な感情をすぐに心の奥に押しやると、水汲みを済ませた子供達を村に戻るよう促す。
彼らを見送るストライクの中で、懐かしい日々の記憶が蘇る。
あれはまだ、自分が闘士としてラクロア騎士団に入りたての頃。
非番の日はよく誰にもばれないよう早朝にこっそり国を抜け出しては少し離れた林の中、
あまり強くはない野生のモンスターが徘徊する場所で朝から自主特訓に取り組んでいた。
「俺は強くなるんだ…一刻も早く!」
適当に身体をほぐすとすぐに、体術向上の為ナイフを生かした構えや間合いの取り方を研究する。
それらにほんの少し時間をかけ、続いて大木に飛び蹴りを放ち技の練習などに励むのが定番であった。
派手な大技の特訓など、人前でそうそうできるものではない。
しかし、とにかく強くなりたいという思いが強い時期だったために今よりもがむしゃらに突っ走っていたと思う。
夢中になって時が経つのも忘れていた。そして気づけなかった。自らのすぐ近くに、危険が迫っているという事を。
違和感を覚える頃にはモンスターの群れに囲まれていた。数体のバクゥが茂みから姿を現す。
俊敏な動きと鋭い牙は、単体でも手ごわいが集団だと相当厄介なモンスターだ。
今の自分が、果たして勝てるだろうか?
四方からにじり寄る集団に追い詰められストライクの表情が険しくなり、呼吸は荒くなる。
鈍い光を放つナイフを構えてみるが、脅威と見ていないらしくバクゥ達が気にする様子はない。
身体は震えていたものの、ストライクは自分を追い詰める獣達に気圧されぬよう必死になって睨みつけた。
敵意を向けられた事に対しバクゥ達も興奮して荒々しく牙をむき出しにする。
「この数、圧倒的不利な状況…正直言って怖くないといえば嘘だっ!だが…」
覚悟を決めるとストライクは一転して飛び出す。震える足で躓きかけるが、なんとか地面を踏み込んで前方に飛ぶ。
「虎穴に入って虎子を得る!それが俺の戦い方だっ!」
そして虚を突かれた一匹の前足をすれ違い様に逆手に握ったナイフで切り裂いた。
さらに突進してきた一体を、片足を支点にした裏拳で迎え撃つ。
拳を真横から当てられ、怯んだところにナイフを突き刺して倒すと敵も警戒心を見せ始める。
バクゥ達は低い唸り声を発して威嚇しながら、一定の距離を保って隙をうかがう。
一方ストライクは木々の間から自分を取り囲む群れに対し、背後をとられないように注意を払うと身近な個体へと近づいていく。
それを合図とするようにバクゥ達はストライクに向かって様々な角度で飛び出すと、
野生モンスター特有の四肢を生かしたしなやかさに優れた動作で翻弄する。
ストライクは振り回されまいと、敵を捉えるべく懸命に駆け回った。
だが突発かつ孤立した戦闘で引き起こされた緊張感と疲労によって反応が鈍くなった瞬間を狙われ、上腕を爪で裂かれる。
表情をこわばらせるストライクだが、動きを止めればそれこそただの餌だ。
身体に走る痛みを無視して、強引に身体を振り回す。
飛び掛ってきた一匹の顎に拳が当たり、跳ね飛ばされた拍子に別の個体と衝突して陣形が崩れる。
息つく間もなく、敵が体勢を立て直す前にストライクは一気に攻勢に出た。
倒れこんだバクゥにナイフを突き刺し、息の根を止めると次の一匹に狙いを定める。
反応が遅れた一匹を蹴り倒し、徐々に敵の数を減らしている安心感でストライクは落ち着きを取り戻す。
しかし敵も未だ勝る数に任せて次々と攻撃を仕掛け、短くそして永久とも思える攻防が続いた。
ストライクが白い鎧の随所を真っ赤に染め、頬を汗が伝い肩で息をし始めた頃。
当初の半分以下になったバクゥ達はこのまま戦うのは得策ではないと感じたのか、一目散に駆け出す。
追いかける気力も無いし、そのつもりもない。
ストライクはバクゥ達を見送ると、荒くなった呼吸を整えようと大きく息を吐いた。
その瞬間、気を緩めたストライクの目の前が影で暗くなる。
振り向くとモンスター・ゾノタートルの姿があった。
身体は通常の個体よりも遥かに巨大で、まるで別の種族のようだ。
「なっ…!?」
本来出会うはずのないモンスターの出現に不意を突かれたストライクは硬直してしまう。
その間隙を逃さず、ゾノタートルは肥大した掌を振り下ろして叩きつける。
(そういえばこの先に水場があった…でも、これはねぇだろ!)
避けきれない速さではないその一撃を何とか避けると考えを巡らせ、状況を把握するとストライクは距離を開けるべく数歩飛んで下がった。
続いて弾性に富んだ肉体目掛けて鋭いナイフを一本投げつけるが、ゾノタートルは軌道を読んで背を向けると硬い外殻で受けて回避する。
生半可な打撃は通用しないこのモンスターに接近戦は本来ご法度だ。
だが、ストライクはゾノタートルがやや緩慢な動作で体勢を戻す前にあえて危険を承知で接近する。
吹き付ける逆風を受けて走りながら、ストライクは左手で握ったナイフをちらりと見た。
先ほどは投げつけこそしたが、これがあの身体に刺さるかどうかも定かではない。
下手に刺して抜けなくなった方が厄介だ。となれば、逃げる以外に選べる選択肢は一つだった。
三角飛びで大樹の幹を踏み台にして跳躍し、頭部に向かって先ほどまで練習していた飛び蹴りを繰り出す。
脳に衝撃を与え、行動を停止させる。当たれば勝ちだ、ストライクの予想ではそうなるはずだった。
だが現実というものは想像通りに働くほど甘くはない。勢いよく放たれた蹴りだが、いとも簡単に叩き落される。
衝撃を受け、一瞬浮いたストライクの胴をゾノタートルは左腕で掴んで逆さ吊りにする。
掴まれた身体が音を立てて軋んだ。ぶら下がった状態で、叫び声を上げることもままならない圧迫感と激痛がストライクを襲う。
さらに先ほど倒したバクゥの血の匂いを嗅ぎつけたのか、ディンバットが集まる。
通常ならばなんて事はないモンスターだが、この状況では格好の的だ。
ゾノタートルは獲物を横取りされまいと空いている腕を振り回す。
その影響を受けてストライクも激しく振り回され、意識を失いかける。
揺れ動く視界の中で、諦念がストライクの心を支配したその時だった。
「ムービルフィラ!」
聞き覚えのある声と同時に、光条がゾノタートルの右上腕を突き抜けた。
ゾノタートルは腕に走る焼ける様な痛みで反射的に手を離し、ストライクは頭から地面に激突して転げまわった。
のたうつストライクを一人の騎士が左手の盾を構えて庇うように立ち、隣の一人は両手に持った剣を斜めに交差させて構える。
その正体はラクロア最強の声も名高い、二人の近衛騎士であった。
「…兄さん!イージス!?」
本来ならば城にいるはずである実の兄と、親友の出現に当惑するストライクだったが二人は沈黙を保ったままだ。
イージスは身を起こしたストライクを守る体勢を崩さず、デュエルはそれに並び立つ形で敵と対峙する。
デュエルはまず自分達を取り囲むディンバットの群れを見やると目を閉じ、大きく息を吸い精神を統一させた。
「はっ!!」
気合を込めて一喝し、息を吐き出す。張り詰めていた空気が振動で震え、危険を感じたディンバット達は逃げるように飛び去っていく。
デュエルはその様子には目も暮れず音だけを聞き取るとゾノタートルを見据える。
地に足をつけ態度は落ち着き払っていたが、鋭い目つきと表情に熱気は感じられず凍りつくように冷たい。
初めて見る兄の顔に、ただならぬ威圧感を覚えたストライクは固唾を呑んで見守るしかなかった。
対するデュエルは表情はそのまま、口調は普段と同じで座り込んだままのストライクへ忠告するように語りかける。
「大技を使うのは結構だが、もう少し気を使うべきだ…このようにな!」
デュエルの言葉の真意を探る前に、周囲の歪んだ空気と高温に違和感を感じたストライクは目を走らせた。
つい先刻、呪文で自分を救ったイージスがいつの間にか剣を抜いている。
そして掌から染み出した熱気が剣の柄に伝わり、たちまち刃を覆っていく。
イージスは炎で覆われ赤熱化した剣を用い、ゾノタートル目掛けて素早く突きを繰り出す。
刃は届くはずも無いが、剣先から伸びた真っ赤な熱線がゾノタートルの腹を直撃し爆発を起こした。
突きで発生した熱風を浴びてストライクは顔をしかめるが、確かにその瞬間を目でとらえる。
焼け爛れた腹は黒く変色し、香ばしいを通り越して焦げ臭い匂いを放つ。痛みに悶えるゾノタートルはか細い呻きを上げた。
デュエルが間髪入れず、二対の刃を手に鮮やかな動きで駆け抜けながらゾノタートルの懐に入り込む。
続いてゾノタートルが反応する間もなく、目にも止まらぬ速さでゾノタートルの腹に滅多斬りを繰り返した。
いくら炎で怯ませたとはいえ、所詮は剣。近衛騎士である兄だがそれだけでゾノタートルを倒せるのだろうか。
不安げな面持ちで戦況を見守っていたストライクはある事に気がつく。
デュエルの剣、そして表面的につけられた多くの傷口からはっきりと視認できる真っ白な靄が漂っていた。
先程とは打って変わって冷えきった空気が自分の元へ流れてきたのを感じてストライクはこれが冷気だと確信する。
それは先ほどイージスが放った熱線との温度差で水蒸気爆発を起こし、ストライク達とデュエルの間が霧で遮断される。
ストライクは目を凝らすが、全てを白で塗りつぶされたような世界の前では無意味な行為だと感じ時を待つ。
やがて霧が晴れ、開けた視界の中でストライクは剣を鞘に収めた兄の姿を確認する。
その背後には上半身が爆散し内臓や体液を大量に撒き散らしたゾノタートルの下半身だけが残されていた。
吹き荒ぶ風を浴びて悠然と歩いてくる兄を、ストライクは感嘆と畏怖の入り混じった表情で見つめた。
(俺は軽くて素早く振れるナイフでも苦労しているというのに、兄さんは剣二本であんな動きを…)
唖然とするストライクを余所にイージスが戦闘態勢を解除し、悪戯っぽくデュエルに声をかける。
「お疲れ様です。しかし貴方ならば、完全に凍らせて動きを封じる事も出来たのでは?」
「せっかく君が見せ場を残してくれたんだ。それに応えぬわけにもいかないだろう」
デュエルは尻餅をついたままのストライクの方へ振り向くと、温和な顔つきで優しく手を差し伸べる。
その手を取り、デュエルに引き上げられて立ち上がったストライクが痛む脇腹を押さえながら怪訝そうな様子で尋ねた。
「っく……どうして、ここが…?」
「お前がこの辺りで特訓をしていると聞いてな。ここは先日から凶暴なモンスターの群れが移動しているから急いで駆けつけたというわけだ」
「君の兄さんは実に鬼気迫る表情で馬を走らせていた…『陛下。たとえ一時であろうとお側を離れる事をお許しください。私は…弟あっての私なのです』…感動したよ、僕は」
「おいおい、からかうのはよしてくれ」
秘密の特訓がばれていた事と、イージスに茶化されるほどの兄馬鹿な行動。
二つの意味で気恥ずかしくなり、ストライクは思わず顔を背けた。
「さぁ、帰ろう。僕らの国へ」
イージスが肩を貸そうと手を伸ばすが、ストライクは目を合わさず首を振って断る。
デュエルは意地を張る弟にため息をつくと、なだめるように言った。
「闘士隊に配属されて早々に個人特訓はいい事だが、あまり無茶はするなよ」
「でも兄さん、俺だって強くなって」
控えめに反論しようとするストライクの言葉に反応したデュエルは、一転して硬い表情で制する。
「お前は…お前のいるこの国は、私がこの手で守ってみせる」
その口調にはどこか陰りがあり、ストライクは戸惑いを覚えつつ渋々押し黙った。
「僕をお忘れですか?」
「ははっ…それはすまない」
暗くなった空気を押し流そうとイージスが冗談めいて言うと、デュエルは再び表情を崩して肩をすくめた。
ストライクは笑い合う二人を眺めて、どこか取り残されたようなやり場のない悔しさにいたたまれなくなる。
弟を救い出した事に安堵したデュエルはそれに気づかず、馬の元へと歩き出す。
「こんな所で隠れて鍛えずとも、基礎をしっかりと積めば強くなれるさ。そしていつか僕と…」
イージスは何かを感じ取ったのか、励ましの言葉を添えてストライクの肩に手を置く。
だがそれも中途半端に言いかけたままで終わり、イージスは双眸を細めると手を離しデュエルを追って歩き出す。
並んで歩くイージスに対しデュエルは悪びれる様子もなく、ぼそっと呟いた。
「しかし、陛下をお守りすべき近衛騎士が個人的な動機で動いてしまったのは不味かったな」
「止めるころか、着いてきた僕も同罪ですよ」
「後で一緒に始末書を書くとしよう」
ストライクは足を止め、笑いあう二人の背中を見つめた。国を守る騎士の誇りと尊厳に満ちたその姿から頼もしさと同時に、途方もない距離感を感じる。
兄は、自分を守ると言った。それは今までもそうだったし、これからもそのつもりなのだろう。
だが自分は違う。自分も、あの位置に辿り着きたいのだ。
幼い頃からずっと助けられてばかりだった。受けた恩に対して、返した数はあまりにも少ない。
だからいつかは、自分が兄や友をこの手で助けたい。力になりたかった。
自分を動かしていたのは、二人への憧れ―――――。
(まぁ、こんな恥ずかしい事はイージスにすら打ち明けたことはないけどな…)
懐かしい日々の回想を終えたストライクはしばしの間、感傷に浸る。
「うわぁぁああああ――――ん!」
静寂を打ち破ったのは、先ほどの兄弟のものらしき悲鳴。
ストライクは異常を察知すると、すぐさま走り出す。
先程ストライクと出会った兄弟が、ゾノタートルに襲われていた。中身を周囲にばら撒いたバケツが転がる。
「に、にいちゃ…」
「だだだっ、だいじょうぶ!おれがついてるから!」
兄は弟を庇おうと勇気を振り絞り前に出るが、ゾノタートルの爪が無慈悲にも襲い掛かる。
「ちくしょう…ちくしょうっ!」
幼い命が絶たれようとする刹那、振り上げた腕にナイフが突き刺さりゾノタートルは悲鳴をあげてのけぞった。
「えらいぞ、兄ちゃん」
全力疾走で駆けつけたストライクが勢いを殺さずよろめくゾノタートルに拳で一撃を見舞う。
一瞬の静寂を経て、悶絶しながらゾノタートルが倒れこむ。
いとも簡単に戦闘を終えると、ストライクは振り向いて兄弟に顔を向けて表情を崩した。
「あっ…あ…」
「わぁぁああああああん!」
自分の元へ駆け寄ってきて泣きじゃくる二人の頭を、両手でそれぞれ軽く掴み揺らしてやる。
「やっぱり兄弟は、仲良くしないと…な?」
優しげな声で呟いたストライクは、二つの命を救った充足感に包まれていた。
今の自分は、こうして誰かを助けられる。
それは紛れもない事実であり、まるで朝陽が如くストライクの心の奥に差し込む。
彼は下ろしていた顔を上げ、精悍な瞳で空を見据えた。
(どれだけ憎まれようと、俺と兄さんは二人きりの兄弟なんだ…理由を知るまで諦めないぞ、俺は)

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