地下妄の手記

重宝な地図

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重宝な地図

 地下網の秘密「2」のあとがき、しかも後書きの追記ぃ?になぞらえれば(准えられたくないとは思うけど)、差し詰め、

 mori-chiさんのそらめく意思に導かれ本文ではAMSL874の実相を克明にたどった。

てなことになるのでしょうか。

AMS SERIES L874の北緯142万ヤードの謎

 まず、今一度該当の箇所、「帝都東京隠された地下網の秘密」(洋泉社版単行本の271頁と新潮社文庫版359頁)から見て行くことにしよう。

     <洋泉社単行本版>
     GHQ「874」はそれまでのスタイルを一新し、アルファベットの「S」を使って地下鉄の
    ルートを表している。また、以前の地図に比べて、緯度、経度を表す線が倍以上に増え
    ている。マイル法の経線、緯線が加えられ、それぞれの基準となった線を強調している。
    北緯一四二万ヤードにあたる緯線が東京駅を通過している。
     「二・二六事件の根源は私にある」
     一木の言葉はおそらく「下水改良」地下鉄になる。GHQの「S」がそれを教えている。

     <新潮社文庫版>
     GHQの「AMS-L874」はそれまでのスタイルを一新し、アルファベットの「S」を使
    って地下鉄のルートを表している。また、以前の地図に比べて、緯度、経度を表す線
    が倍以上に増えている。ヤード・ポンド法の経線、緯線が加えられ、それぞれの基準
    となった線を強調している。北緯一四二万ヤードにあたる緯線が東京駅を通過している。
    「二・二六事件の根源は私にある」という一木の言葉はおそらく「下水改良」地下鉄になる。
    GHQの「S」がそれを教えている。

mori-chiさんは心優しい方なので、

     北緯一四二万ヤードにあたる緯線が東京駅を通過している。(P359)

 どうして秋庭先生が突然、北緯142万ヤードを持ち出したのか、読んでいる人にはさっぱり分からなかった。

とだけ書かれていますが、私には、この段落「全文が意味不明」です。

     GHQ「874」はそれまでのスタイルを一新し、

 「それまでのスタイル」って何?L774なら5万分の一だから2万5千分の一のL874は同列視できないし、シティーマップは別物だし。

     アルファベットの「S」を使って地下鉄のルートを表している。

 それ、どっかにL874を使って、具体的に示した説明があるんですか?ここが初見のような気がしますが?

     以前の地図に比べて、緯度、経度を表す線が倍以上に増えている。

 敢て、物すごい好意的解釈だよ、L774を以前の地図とするならば。
 「基点からの距離を表す線が、『倍に増えている』」
ですが。

     ヤード・ポンド法の経線、緯線が加えられ、それぞれの基準となった線を強調している。

 「それぞれの基準となった線」とは何のことでしょう意味不明です?ヤード・ポンド法にも、マイル法?にも「経線、緯線」はありません。

     北緯一四二万ヤードにあたる緯線が東京駅を通過している。

単行本272頁、文庫版360頁(ノンブル無いけど)にそれぞれ、

     ■皇居前 このラインはマイル法では「北緯142万ヤード」にあたり、
            東京の中心とするにふさわしかった。だが、マイル法の磁
            北は年によってかすかにズレていくことから、このラインは
            少しずつ下がっていく。

     ■皇居前 このラインはヤード・ポンド法では「北緯142万ヤード」に
            あたり、東京の中心とするにふさわしかった。だが、ヤード
            ・ポンド法の磁北は年によってかすかにズレていくことから、
            このラインは少しずつ下がっていく。

 勿論、ヤード・ポンド法にしろ、マイル法?にしろ磁北は度量衡の範囲外なんですが、まぁ、磁北ってどうズレるんだっけ?下がるってことは「このラインは少しずつ南下していく。」ってことになるんですが。

 なお、「二・二六事件の根源は私にある」以降は省略しますが、一木とは、一木喜德郎のことです、秋庭さんに罹ると「天皇機関説」が「下水改良」になりさがります。(判らないときは、一木の業績を確認した上で、文庫版の、270頁、356~358頁を参照のこと)

 さて、ここからが本題です。北緯142万ヤードの基点は何なのか?私もL874の現物にあたって。やっぱり現物見ると、見ないじゃ断然読める内容が違う、特に図は情報の濃度が全然違う。文庫本4冊分コピー代に吐き出して、じっくり所要部分を読んでみました。

 そこで、基点の件なのですが、具体的にはどの辺の場所を基点としているのかと言うと、私もまだまだ怪しい。しかし、北緯○○ヤード、東経○○メートルでは無いのはL874の註解から明らかです。
 もちろん、秋庭さんの様に、地形図において角度と距離の区別がついてないと言うのは、論外も論外なのですが。

 まず、AMS SERIES L874の各格子についての起点と言うか、基準の説明、該当の箇所ですが、各図の下五分の一にある地図註解の真中のこれです。



 ずぼらして、mori-chi さんのコピーをコピーしてテキスト化したものが以下の文章です。

BLUE NUMBERED LINES INDICATE THE 1,000 METER UNIVERSAL
TRANSVERSE MERCATOR GRID.ZONE 54.BESSEL SPHEROID

BLACK NUMBERED LINES INDICATE THE 10,000 YARD WORLD POLYCONIC GRID,BAND 3 N.ZONE A

超訳すると、

青い数字の線はベッセル楕円体ゾーン54におけるユニバーサル横メルカトール座標1000メートル格子を示している。

黒い数字の線は範囲帯3NのゾーンAにおける多円錐図法座標10000ヤード格子を示している。

  地球は楕円の球体ですから、その地形を平面の地図とするには、色々と調整したり、見え方、書き方についてのお約束があったりします。地図によって、ある いは地図を繋いだときに、地図上のある地点の座標としての位置が、変化すると困りますよね。そのようなことの影響ができるだけ少なくなるように地図の各種 図法は作られています。その一つがユニバーサル横メルカトール座標で、ゾーン54は経度180度から6度刻みに東回りした54番目の経度帯ということにな ります。
 ですから、縦線388000mEはゾーン54の中心経線から388キロ東の意味だと思われます。経度帯緯線の位置は0度ですので、したがって、東京駅の南側を通る横線3958000m.Nは赤道からの距離と言うことになります。
 一方で、私はまだ、範囲帯3NゾーンA(BAND 3 N.ZONE A)を特定できません。したがって、秋庭さん言うところの北緯142万ヤードの基点がどこなのか、未だにわかりませんが、換算すれば、東京駅から1298 キロメートル南の場所となります。北緯24度辺りが怪しい気がします。限が良いんで。
 多円錐図法が1950年以降主流から外れているようで、優しく日本語で解説してくれている本が見つけられなかったんですよ。何か資料が発見できるまで、また暫く暖めときます。

 「おい、全然AMSL874の実相をmori-chi氏程にも克明にたどっていないじゃないか」とのお叱りの声があるかもしれませんが、
まっ、秋庭さん程度に実相を克明に辿ったってことで。ご容赦の程 m(_ _)m

 ところで、AMS SERIES L874の註解にこんなものが、mori-chiさんの註解にも載っていますが。



 どうも秋庭さんの磁方位と真方位ネタ、のネタ元はこれじゃないかと。もちろん、国土地理院の地形図にも、磁方位と真方位のことは載っているんですが。何か、こっちの方が臭いんですよね。


 もう一つおまけ、AMS SERIES L874が戦前1930年代の陸測の地形図を几帳面になぞって1945年に作られた憑拠の一例を挙げておきます。



 ODAWARA EXPRESS RAILROAD TEITO LINE

「京王」の会長は利光だったの「京王」線です(笑 

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