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火星の曙

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火星の曙


火星の生い立ち

火星地下に存在する大量の水…氷。
この氷を溶かして海を再生しようと言う試みは、21世紀中期頃から続けられていた。
2059年、火星上空に40時間だけ出現した巨大な重力レンズによって、
この試みは、一挙に前進する。

収束して照らされる膨大な太陽光が、氷を溶かし、火星に海を作った。
その後、太陽系の盟主である地球政府の後押しの元、ワールドドームが
作られ始め、大気が生成され、火星はテラフォーミングされる事となった。

100年もの間建設が続いている火星全域を覆うワールドドームは、
火星のテラフォーミング(地球化)政策の一環であり、太陽戦争における
地球滅亡時のノアの箱舟として、要塞化が推し進められていた。

進渉率72%の段階で終戦、現在の工事はストップしている。
重力の弱い火星から、水や空気が逃げないようにガードする空の壁で、
平均温度-100度近くの星を暖めるために、赤道上におかれた24個の
レンズから放たれる光の柱。
それが火星の基本的な姿である。



火星の環境

海の色は、地球と同じく空の色を映した物である。
火星には本来的な意味での空がない。
それはワールドドームのためであり、今もって気圧0.8しかない
外気のためでもある。

元来、火星の海の大きさは火星の1/3と言われていたが、実際に出現した海は
火星の94%を覆い尽くしていた。
何故ここまで水が大量に出現したのかは未だに解明されていない。
ある者は計算ミスといい、ある者は未知の物理現象という。

海上では未完成状態のワールド・ドームの巨大な気圧差によって生み出される
惑星規模の巨大な嵐「エルダニアストーム」が時折発生する。
何もかも吹き飛ばす、この嵐のために、火星の人々は水中に住む事になった。



火星のウェポンシステム

火星、すなわち火星海中の戦闘において、その主力となるのは
RBと、それを搭載した艦艇である。
RBは絶大な強さを持つが、その一方で航続距離が短いという欠点も持つ。
故に、RBを搭載した母艦は敵に対して近接する必要があり、
近接する故に2種類の進歩を行う事になった。

一つは、高速艦への進歩である。
RB切り離し後、離脱する。
一つは、強武装化、装甲化である。
RB切り離しまでとその後の戦闘において、自衛を行う必然から生まれたものである。
ここからさらに、自衛を超えた積極的な攻撃を意図する艦も生まれた。

前者を高速母艦、後者を正規母艦、攻撃母艦という。
これらを中核にして火星のウェポンシステムは存在する。
母艦を支援する艦艇としてそれ以外は存在するのである。

支援艦艇の一つで重要なのは、陸戦部隊(制圧部隊)を乗せた強襲揚陸艦である。
火星は都市船という単位で存在し、人は基本的に都市船の中だけで存在する。
また、陸戦を考慮していない。
都市の中での戦闘は、都市全体の生存を脅かす可能性もある。

だから、都市船は比較的少数陸戦部隊によって、容易に制圧される。
すぐ白旗をかかげ、降参するのである。
都市船が壊れれば6000万が死ぬ。
火星での戦闘は、対ゲリラ戦を除けば都市を制圧する事を目的に行われる。
だから、強襲揚陸艦は支援艦艇でありながら、非常に高い価値を持つ。

通常母艦と強襲揚陸艦を囲むように、ボックスフォーメーション
(箱型陣形)が形成される。
前方を警戒するのがXボートを複数積載する4000t級偵察艦である。
これは艦隊の耳目となり、敵をいち早く発見する事を目的とする。
また敵偵察艦との戦闘も考慮し、それなりの武装も保有する。

次に支援艦艇の中核となる2000t級の護衛艦が来る。
数が最も多いこれらの艦は、密集陣形を組んで
魚雷戦を行ない、敵RBの行動を抑制する働きを行なう。

防御にRBを裂く事は、数に余裕がない限りあまりやらないのである。
よって、航続性能に優れ、かつ艦型がなるべく小さい
これら護衛艦が使われるのである。
支援艦艇には護衛艦の母船も存在する。

最後に、1万t級の大型艦(戦列艦)が来る。
大型といえども排水量は母艦に遠く及ばない。
これらの大型旗艦は、RB戦が終った後の残敵掃討にある。
RBさえいなくなれば、戦いは通常通り、より大きく、
より装甲が厚く、より武装を持った艦が強いのである。

RBを収容する敵母艦を破壊した後、あるいは敵味方が
補給に戻った後、これら大型艦艇は進んで前進し、攻撃に移る。
この攻撃を補助するように大小の艦が存在する時もある。



火星の先住民族

普段は洞窟で居住する。
低重力で育つため、筋力は弱く、背は高い。
小学生で170cmを超える。
赤い肌をしていて第一次性徴が無く、第二次性徴の時に第一次性徴の現象が現れる。
つまり生まれた時は男女がなく、恋をした時に性別が決まる特徴を有する。
これは、環境が厳しいせいで成人になる確率が極端に低いせいだと言われる。

太古の遺産から受け継いだ進化ESPを使うことが出来、これによって得られる
バイオテクノロジーが、厳しい環境で生き抜いてきた秘訣となる。
また、卵生で脳が発達していて超能力が使える様になるまで卵の中で過ごす。
誕生時、記憶や感情を焼き付ける長老がいて、焼き付けた後は普通に生活する。
中には、地球風の教育を強制された者も多い。

熱を逃さないようにする術に長けていて、肌を寄せることを習俗としてよく行なう。
現在はほとんど全滅しており、少数が庇護を受けて存在するに過ぎない。



火星経済

火星経済は典型的なモノカルチャーであり、水資源の供給が唯一で最大の産業であった。
これは戦争需要の急増により順調に発展していたが、ある日突然ストップする事になる。
汎銀河大戦が終ったのだった。

戦争の終焉は火星経済に致命的なダメージを与えた。
水の、重水素の消費量が突然落ち込んだのである。
これに、火星よりも低重力、すなわちよりコストの安い木星衛星群の
水供給源が、とどめをさした。
誰も割高な火星の水を買おうとはしなくなったのである。

火星独立戦争の火種はこの経済構造から生まれる不景気があり、不景気が民衆の
不満を生み、(モノカルチャーを推し進めた)太陽系政府への批判を強める結果となった。
多年にわたり戦時経済で運営されていた太陽系は、平時に戻った事で
極端な緊縮財政と軍の削減を行なった。

軍の削減は、タフト大統領をもって”マーシャル元帥の言う事が分かった”と
言わしめたもので、2億を超える知類が復員し、直後に労働力の飽和を引き起こした。

その上で、軍需の落ち込みが、そのまま生産高の低下を呼んだ。
莫大な国債償還に脅える国家は、この事態に対し、適切な対処を欠いた。
結束していた太陽系という大家族は、停戦を期に三々五々に
勝手なことを言い出すことになる。

結果出現したのは未曾有の不景気である。
この中でもっともダメージを受けたのは、太陽系最終要塞として
建設を急がれていた火星だった。



太陽系から見た火星の戦略価値

汎銀河大戦以前…、太陽戦争が発生する前から、太陽系知類は
火星を要塞化する思想を持っていた。
最も演算能力が優れたネット・レースが一致して異星人との戦闘を予想、
対策の一環として火星を運用することを提言していたからである。

これは2059年に出現した重力レンズと、続く火星先住民の
発見によるところが大きい。
10年後の2069年にはネット・レースが予想していた通り、火星で
空間接続素子”星のかけら”が発見され、シールドの形成が確認された。

空間接続素子(星のかけら)とは、美しく青く輝く宝石のようなもので、
強い電荷をかけられると励起し、絶対物理防壁を形成する。
火星でしか採取出来ず、火星でしか効果を現さない
(別の場所に行くと、別の物質に変質する)
この物質は、火星共々異世界の産物と推定され、結果、
火星の戦略価値を左右するものとなった。

火星近辺でまでしか効果を及ぼさないこの”根本的物理性質の異なる”物質は、
今見る火星が本来、異世界のものである事を確認させる事となった。
同時に絶対の盾を作り上げる手段を、知類は手に入れたのである。

2149年、火星でのワールドドーム建設が始まる。
これは一般的に蒸発する水資源を守るための行動と
説明されていたが、実際は要塞化であった。
火星を包み込むようにして形成されるシールド。
太陽系が攻め込まれ、滅亡に追い込まれようとする時、シールドが発現する。
ドームは巨大なシールド発生器であり、火星に設置された24の都市船は
知類を守る最後の砦を企図して建造された。

再び太陽系を取り戻せるようになるまでシールドが護り、火星は第2の揺りかごになる。
地球が破壊され、また太陽そのものにNEPが叩き込まれても、火星だけは残り続ける。
その後何百年か、あるいは何千年後かに、知類は都市船を空に浮かべ、
宇宙に逆侵攻する計画であった。

これらは完全に人間を超えてしまった神々とも言えるネットレースや、
バイオサイボーグが一致して選択した生存競争での生き残り戦略であり、
千年戦争の概念である。



都市船

海中に、都市船という巨大な都市潜水艦が24個存在する。
未完成ワールドドームによって、寒暖の差が極端に存在するために発生する
巨大な嵐(エルダニアストーム)を避けるため、このような形式となっている。

仕様としてはほぼ宇宙都市に準じており、実際宇宙船に改装される事が
検討されている。
普段は固定しているが、必要に応じて、微速移動が可能である。
火星の人々は、全員がそこに住む。

火星の住民は、調査科学者と火星水資源打ち上げ網建設に関わった
労務者の子孫であり、彼らは多年にわたり、太陽系を支え、世代交代を
繰り返して、ついには火星人と呼ばれる個性の獲得に至った。

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