桜井淳 発言研究まとめ@Wiki

草稿:尼崎脱線事故 大破、想定外「なぜ」

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尼崎脱線事故 大破、想定外「なぜ」 線路逸脱、専門家に衝撃 原因究明徹底を
2005.04.25 大阪夕刊 2頁 写有 (全2006字) 
兵庫県尼崎市のJR福知山線で起きた脱線事故。線路から大きく逸脱し、大破した車両の様子に、専門家は一様に「想定外の事態」と話し、徹底的な原因究明の必要性を訴える。

技術評論家の桜井淳(きよし)さんは「車両が軌道どころか、砂利の部分まで踏み越えて、完全に線路敷地外に出ている。これまでに前例のない事故で、今の段階では原因が全く分からない」と首をかしげた。

桜井さんによると、一般的に鉄道車両は1両20トン程度で、数十トンの衝撃が加わらなければ今回のような脱線は起きない。「例えば乗用車が時速100キロで突っ込んできたとしても、乗用車がぺしゃんこになるだけで、車両は軌道を多少外れるくらいだろう」。桜井さんはそう指摘し、「鉄道の設計上、ここまで大きく脱線することは想定外だ」と話した。

交通評論家の角本良平さんも「線路が折れていたり、置き石があったなどの線路の問題か、車輪が割れていたなどの電車の問題が考えられる」と言い、「普通は起こりえない事故だけに、徹底的な原因究明が求められる」と強調。

交通安全環境研究所(東京)の松本陽さんも「過去に、山道でブレーキが利かず列車が脱線した事故があったが、運転技量など色々な要因が絡んでいた。スピードだけでなく内側、外側の線路の高低差や運転技術などに問題がなかったか、総合的に判断するべきだ」と言う。

永瀬和彦・金沢工業大教授(鉄道システム)は、車両の破壊状況に注目する。「電車と電車の衝突など、移動するもの同士がぶつかったケースだと、これほど激しく破壊されることはない」と説明。先頭車両などが大破したことについて「ぶつかったのがマンションという硬い構造物だったため、車両が瞬間的に止まり、衝撃力が分散されなかったことと、後部車両のエネルギーがすべて先頭車両に吸収される形になったことで、破壊が大きくなったのだろう」と分析する。

畑村洋太郎・工学院大教授(機械工学)も「紙細工のように壊れた車両の様子からかなりのスピードが出ていたことは間違いない」と言う。「経験の浅い運転士がオーバーランで焦り、遅れを取り戻そうとした結果ではないか。私鉄との競争が激しいエリアで、ダイヤ通り運行しようというプレッシャーも強かったと考えられる」と話している。

列車運転士の心理に詳しい渡辺忠・文教大人間科学部教授(心理学)は「JR各社は、過去の事故経験の積み重ねで、列車に遅れが出ても無理に回復するな、危ないと思ったら止めろとの安全管理をしてきたはずだ。なぜこんな事故が起きたのか。安全管理の面からも徹底究明すべきだ」と話した。

◆軽量車両 「剛性弱まる」指摘も

今回の事故では、衝突した車両が原形をとどめないほど大きくひしゃげて大破し、事故のすさまじさを見せつけた。最近の鉄道車両は、省エネや高速運転のため、薄いステンレス製が主流となっており、事故車両も最新型のステンレス車両。専門家は、軽量化で車両の剛性が弱まったのではないか、とも指摘する。

事故車両は、1991年1月から製造が開始されたステンレス製で、2003年度までに484両製造されている。JR西日本では、京阪神を結ぶ主力車両となっている。

ステンレス製車両は、JRに移行する前、国鉄末期から登場し始めた。それまでの鉄製に比べて▽軽量で速度向上が図れる▽「型枠ができれば、製造面でも造りやすい」(JR西日本)――との利点がある。

しかし、鉄に比べて衝撃を吸収しやすい構造で、今回のように大きな圧力が加わると、剛性の高い鉄製に比べて車内にいる乗客に、その衝撃力が伝わるという危険性も併せ持っている。

車両メーカーは「一般に素材の違いによらず、鉄道車両の強度は荷重に耐える設計や試験が行われている。状況にもよるが、車両として強度的に劣ることはないはず」としている。

一方、ステンレス車両の強度について、佐藤信之・亜細亜大経済学部講師(交通政策論)は「車両の超軽量設計で、車体がつぶれやすくなっている可能性がある。事故の被害がこれほどまでに拡大した要因の一つではないか」と指摘する。

また、柴田俊忍・京都大名誉教授(安全工学)は、事故原因について「カーブに差し掛かった時点で乗客らが片方に集められて外向きの力が大きくなり、軽量化の影響で、JRが想定した脱線可能性のある最高速度以下のスピードでも、脱線を招いた恐れが十分に考えられる」と話している。

◆兵庫知事「大変な事故」

現場を視察した兵庫県の井戸敏三知事は、午後1時過ぎ、報道陣に対し「列車がマンションに衝突するなど、世界に類例のない、大変な事故だ。車内にはまだ10人余りが閉じこめられており、2~4人は生存しているとの情報がある。病院、搬送手段の確保、代替の輸送路の確保に、関係機関と協力して努めたい」と話した。

写真=事故発生直後、脱線した快速電車から降り、恐怖におびえる乗客(午前9時30分、兵庫県尼崎市で)=読者提供

読売新聞社

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